前編:グレーゾーンの開拓でライブ市場のさらなる拡大を目指す

中編:バリューチェーンの内製化は「攻め」と「守り」両面の施策

後編:守りを固めつつ、新たな挑戦も続けていく

リスクマネージメントと品質向上、そしてインフラ力の強化を実現

―― バリューチェーンを内製化する目的について、インタビューの前編では「イベントから生まれる収益の最大化」と「リスクの最小化」とお答えいただきました。これらについて、もう少し詳しくお話いただけますか?

宮腰:
では、リスクマネージメントの側面からお話しましょう。
チケット機能を例にとりますと、テイパーズとの関係を強化したことで、我々は今後とも安定的に付加価値の高いチケッティングサービスを提供していくことが可能になりました。イベントの企画制作では、海外のイベント企画制作からスタートしたインターグルーヴが国内のイベントも徐々に手がけるようになったことで、従来は外部パートナーの方々への依存度が高かったこの業務についても、グループ内で対応できる体制になってきています。

―― イベント収入はアーティストマネージメント事業の中でも特に大きな割合を占めていますから、これを支える業務についてリスクマネージメントをしておくことは重要ですね。

宮腰:
はい。ですからここに関して内製化のオプションを持っておくことは、事業運営上、当然とも言えます。それに、内製化はビジネスの拡大につながりますから。

―― と、言いますと?

宮腰:
バリューチェーンの各機能を自分たちでも提供できるようにしたことで、自ら提供する部分についての品質向上はもちろんのこと、外部パートナーにとっても、より緊張感を持った商品やサービスの提供を促す事になります。

また、これは結果的にそうなったという話なのですが…バリューチェーンの内製化を進めてきたことで、アミューズグループに所属することがアーティストにとっての「ワンストップソリューション」になっているという面もあると思います。アミューズには、すべてのプロダクツとバリューチェーンが揃っている。揃っているだけでなく、その品質やサービスの履行も、アミューズという上場企業によって担保されている――これらは、アーティストが所属事務所を選ぶ基準として、非常に意味があることだと思います。

―― アーティストに選ばれるための「インフラ力」もより強化されたわけですね。
では、収益の最大化についてもお話いただけますか?

宮腰:
アーティストの生み出したプロダクツから生まれるキャッシュを、内製化によって実額として最大限に取り込んでいく。それは、アミューズのビジネスモデルそのものです。

図表2:バリューチェーンの内製化
図表2:バリューチェーンの内製化

(出典:2018年3月期 第2四半期 決算説明会資料)

グッズでは、大手アパレルブランド出身者が立ち上げた希船工房が、その企画力・デザイン力や生産のノウハウを生かして、Tシャツなどアーティストグッズの品質向上を目指しています。また、最近では、様々な企業とのコラボレーションで、アーティストというプレミアムブランドを生かしたグッズの開発・販売も進めています。

写真1:プロダクツの拡充例
写真1:プロダクツの拡充例

(出典:2018年3月期 第2四半期 決算説明会資料、2017年3月期 決算説明会資料)

アミューズの公式オンラインショップ「A!SMART」は、アーティストグッズはもちろん、CDや映像作品、掲載雑誌などアミューズが発売元でないものも集めることで、お客様にとっての「ワンストップソリューション」になるようにしています。今後、LINE TICKETが本格的に稼働していけば、LINEというポータルからA!SMARTへの連動も可能性としては考えられますので、その効果には大いに期待しています。

プラットフォームの外販も開始

―― 図表2「バリューチェーンの内製化」を見ると、テイパーズとの合弁会社として設立したライブ・インデックスの役割が大きいようですね。

宮腰:
はい。ファンクラブサービスはもともと内製化していたのですが、ファンクラブ運営のカギであるカスタマーサービスはテイパーズにお願いしている部分も多くありました。今回、ライブ・インデックスを設立したことで、ファンクラブ運営も物販・グッズのカスタマーサービスもアミューズグループのバリューチェーンの中で対応できるようになっています。グッズの会場販売を自社グループでできるようになったのも大きな成果ですね。

―― このバリューチェーンは他の芸能事務所でも使えそうですね!

宮腰:
その検討も進めています。ライブ・インデックスという窓口を作ったことで、アミューズとテイパーズのサービスを統合した形でセールスできるようになりました。今後は、他の事務所さんにもA!SMARTやファンクラブシステムを使っていただけるように進めていきたいと考えています。

―― 新たな挑戦ですね!

後編「守りを固めつつ、新たな挑戦も続けていく」へ続く