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表紙

皆さん、こんにちは。本日は、ご多用のところ、多くの方にお集まり頂きましてありがとうございます。 ただいまご紹介にあずかりました、カイオム・バイオサイエンスの代表を務めております、藤原でございます。

皆さんの中には、「バイオ」と聞くと難しいとお感じになる方もおられると思います。本日は、できるだけわかりやすくご説明してまいりたいと思いますが、すべてをご理解いただくことは難しくとも、技術の雰囲気や我々のビジョンなどをお感じいただき、共感していただければ何よりでございます。

P2:私の医療に対する思い (0分38秒)

まずは、こちらのスライドをご覧ください。私はこれまでずっと医薬畑を歩んでまいりましたが、医薬に対して本当に本気で向き合うことになったきっかけは、身内の大病、特に母の肝炎を経験したことにありました。
母は、10年ほど前に先生からC型肝炎の治療を勧められました。当時の治療薬では、「40%は完治する」とのことで、先生からは「半年間の副作用に耐えられますか?」と言われました。当時は母も若く、体力もありましたので、その40%に賭けて治療を受けさせることにしました。

結果、どうなったか。残念ながら、母は残る60%に入ってしまいました。病気は完治せず、副作用はもちろん、後遺症も残ってしまったのです。それでも、先生にお会いしたときには「いつも母がお世話になっています」とお礼を言い、医療費を払わなければならない。こんな理不尽な産業はないなと、その時に心から思いました。それが、原点にある想いなのです。

P3:当社の基盤技術である“ADLib®システム”との出会い:2004年8月 (1分53秒)

そうした中、2004年の8月に私が出会ったのが、当時はまだ世に出ていなかった「ADLib®システム」でした。
ここに書いた「これホンマやったらすごいなあ」というのは、ADLib®システムの存在を知った時の、私の心の言葉です。この通りにいけば、「確実に医療に革命を起こせる」、そしてこの技術は、確実に誰もが使える技術になると確信しました。それで、思い切って起業することにしたのです。

P4:代表取締役社長 藤原正明 自己紹介 (2分31秒)

ではここで、簡単に私の自己紹介をさせて頂きます。 先ほど申し上げましたように、医療にずっと携わっております。

最初は中外製薬さんに研究者としてお世話になりました。私が非常に幸運だったのは、そこでエリスロポエチンというバイオ医薬品の先駆け的な存在の薬に出会ったことでした。すごい威力を発揮する医薬品に出会った私は、バイオ医薬品に強烈に惹きつけられました。
中外製薬ではアメリカのバイオベンチャー企業とのコラボレーションの窓口も担当させていただき、こんなにダイナミックに事業を起こせる仕組みがあるんだと実感したことも、非常に良い経験となりました。

その後、機会を得てコンサルタントに転じ、組織を作ることや標準化を学びました。起業前のキャリアの最後は、クインタイルズという、臨床開発受託で世界最大規模の企業です。その中の一部門を担当しまして、大規模なリストラの実施を含む、組織を率いる者として避けられない経験もさせて頂きました。

私の一番の財産は、医療業界の大きなネットワークの中で、色々な方に支えられ、様々な経験を積んできたことにあります。ADLib®システムを最初に見た時に、私が研究者としての経験しか積んでいなかったら、起業に踏みきれたかどうかはわかりません。

P5:会社概要 (4分35秒)

会社の概要はこちらのスライドでご覧いただけます。
現時点で、派遣社員も含めて50名ほどの体制で仕事をしております。現在、本社は市ヶ谷(東京都新宿区)、研究所は和光(埼玉県和光市)にありますが、本年5月の連休に、西新宿5丁目(東京都渋谷区)に統合移転の予定でございます。

P6:アライアンスパートナーシップ (4分59秒)

現時点でのパートナーシップについては、こちらのスライドに記載しております。
企業では中外製薬さんが最大のクライアントであり、グラクソスミスクライン(GSK)さん等々とも仕事をさせていただいております。 後ほどお話ししますが、アカデミアとのコラボレーションもこれからもどんどん増やしていく予定です。
これらのパートナーシップは、将来、我々が付加価値の高いソリューションをご提供するベースとなる契約でございます。

P7:アジェンダ(事業内容 ビジネスモデル) (5分29秒)

P8:日本人の死因別死亡率 (5分30秒)

ここからは、事業の内容をお話させていただきますが、その前に事業環境として、「日本人の死因別死亡率」のグラフをご覧ください。

皆さんご存知かと思いますが、癌で亡くなる方がどんどん増えています。これは、裏を返せば癌でしか死ねなくなってきているということでもあります。高齢化社会では、どうしてもこれは避けては通れない問題です。

P9:抗体医薬とは? (5分58秒)

こうした中、抗体医薬が脚光を浴びるようになりました。

抗体は、血液中の免疫細胞から作られている物質です。抗体には、病原菌などある特定のものだけをつかみ、それを排除する性質がありますので、人が疫病から逃れる上で非常に大きな役割を果たしています。血中に存在する成分として、タンパク質の次に多いのが抗体です。

では、なぜ抗体医薬が必要なのか。インフルエンザを例にとってご説明しましょう。若い人の場合は、新たなインフルエンザが発生し、その病原菌(抗原)が体内に入ってきても、それに適応した抗体を体内に作ることができます。しかしながら、人は歳を取ると抗体の機能も低下するため、新たな抗原に十分対応することができなくなります。それが、お年寄りがインフルエンザに罹った場合に重篤化してしまう理由なのです。

加齢による抗体の機能低下は、癌の場合にも顕著に現れます。年齢とともに、人は体内にある細胞の異変に気付かなくなり、抗原に対応する抗体も十分に作れなくなります。その結果、癌がどんどん大きくなってしまうのです。抗体医薬は、「外で」その癌に対する抗体を作って治療をしていく医薬品なのです。

P10:抗体医薬品と従来の医薬品(低分子医薬品)の主な違い (7分22秒)

では、抗体医薬と一般薬は何が違うのでしょうか。

抗体は、先程申し上げましたようにもともと生体内にあるものを基にそれと非常に似たものを医薬品として開発しますので、副作用が少ないという特長があります。
また、先程申し上げましたように、ある特定の抗原だけしかつかみませんので、少々不適切な例えかもしれませんが、わかりやすく申せばミサイル――非常に精緻なミサイルのようなものであると言えます。

P11:世界の医薬品市場における抗体医薬品の位置づけ (8分11秒)

こちらのスライドでお示ししておりますのは、昨年(2012年)のグローバル医薬品売上高トップテンです。赤枠で囲んでいるのが抗体医薬です。ついに抗体医薬がグローバルでトップに立ちました。

現在使われている医薬品というのは、全体でだいたい1万種類ぐらいありますが、抗体医薬はまだ40種類ぐらいしか認可されていません。その中の5つがトップテンに入っており、1製品当たりの売上が非常に大きいのが特徴となっています。要するに、それだけ使われている医薬品だということになります。

P12:抗体医薬品市場の将来予測 (8分51秒)

抗体医薬の売上は今後も伸び続けると予想されています。現在、グローバルで4兆円前後の売上が、わずか10年足らずでさらに倍になるという予測があります。医薬品全体の市場規模が約80兆円ですから、10年後には、抗体医薬がその10%を占めるという予想です。

P13:3つのコア事業(概略図) (9分10秒)

では、こういった市場の中で我々カイオムがどういった事業をしているかについてお話します。

主たるお客様は、製薬企業です。現在、我々は3つの事業を営んでおります。

一つ目が、創薬アライアンス事業です。これは共同研究となります。先方(製薬企業等)が保有しておられる病気のターゲット(抗原)に対して我々が抗体を作り、先方の要件を満たすものがあればそれを臨床に進めていただくというものです。

二つ目は、基盤技術ライセンス事業です。これは、我々の技術をそのままそっくりお貸しするものです。この事業では現在、富士レビオさんが唯一のお客様となっております。当社のADLib®システムを使っていただき、創薬をしていただくというビジネスです。

三つ目は、リード抗体ライセンス事業です。これはアカデミアとのコラボレーションが基本になっていますが、先生方がお持ちの非常にユニークなターゲット、もしかしたら大きな病気の原因であるかもしれない抗原に対し、我々が抗体を作製し、思う存分研究していただきます。我々はその成果を特許化させて頂いた上で、そのデータを営業ツールとして製薬企業さんにお話をし、契約を締結して開発を進め、進捗に応じたキャッシュを得るというビジネスモデルとなります。

P14:事業別収益モデル (11分7秒)

当社の事業収入は、安定収入と成功報酬から成り立っています。各事業において契約が成立すると一時金をいただき、労役を伴う場合は共同研究費という形で安定収入をいただいております。

リスクが高く、開発完了までの道のりが長い医薬品においては成功報酬型の契約が一般的です。たとえば臨床試験に入った時に10億円の成功報酬をいただき、承認を受けたときに数百億円の利益を得るといった形の契約となります。これは成功するかしないか、ゼロか100かの世界ですので、相互にリスク分担する契約形態あるとも言えます。

その他、収入として大きいのはロイヤリティ収入です。特に製品の導出の場合は、一つの製品で年間数千億円の売上があるような場合は、15~20%の料率で、年間一千億円を真水の利益として得ることも可能となります。

P15:抗体医薬品関連の提携:リード抗体 (12分22秒)

ではここで、ここ数年に締結された契約事例をお見せします。こちらの図表では大型契約に絞って記載しておりますが、合計数百億円規模のマイルストン収入を得られる契約になっております(ロイヤリティは含んでおりません)。

大事なポイントは、これらはすべて「臨床試験に入る前」の契約であると言う事です。こうした事例が存在する事から、我々としてはできるだけ早い段階で契約を締結して早期にキャッシュを得たいと考えています。

P16:アジェンダ(創薬基盤技術 ADLib®システム) (12分57秒)

ここで少し、ADLib®システムというものが何かについてご説明します。雰囲気だけでも是非つかんでいただければと思います。

P17:世界的に著名なNature誌に掲載 (13分6秒)

カイオムとして創業したのが2005年2月。その3か月後の5月末にネイチャーバイオテクノロジーというこの業界では非常に有名な雑誌に論文が掲載され、ここで初めてADLib®システムを広くご紹介させていただく機会をいただいたのです。

P18:獲得したアワードと助成事業 (13分44秒)

バイオベンチャーの常ではございますが、ある意味常に期待が先行し、我々はそれに必死で喰らいついてきたようなところはございます。ADLib®システムが有名な雑誌に紹介されたおかげで、当社に対しては社会の皆様から非常に高い期待をいただきました。その結果、こちらのスライドにお示ししておりますように、これまで様々なアワードをいただきましたし、助成金についても、計5つ、総額4億円ぐらい助成をにより技術を今日のレベルまで高める原動力となりました。

P19:従来技術:多くの抗体医薬品を創出 (14分7秒)

では、ADLib®システムとは何か。それをご理解いただく上で、これまでの抗体作製技術について簡単にご紹介したいと思います。

大別して2つの方法があり、一つはマウスを使う「マウスハイブリドーマ法」というものです。これは、マウスに抗原(例えば癌の原因となるものなど)を何度か投与し、マウスの免疫システムでそれに対する抗体を作るものです。そして、得られた抗体をヒト型抗体へと変換し、抗体医薬を作製します。

もう一つは、ファージディスプレイ法と言います。こちらは本日、細かくはお話しいたしませんが、大腸菌に感染するウイルスに抗体の一部を発現させ、良い抗体をその中から拾ってくる、技術です。

P20:抗体医薬品を研究開発する企業の悩み (14分45秒)

さて、当社は創業直後、先程のスライドでも御説明したネイチャーバイオテクノロジーなどの掲載誌を持って製薬会社さんに「とにかく会うだけ会ってください」と営業をしておりました。その中で、従来の抗体の取得方法についていくつかの問題点が明らかになってきました。

課題は大別して3つありました。1つは、「抗体は取れるが種類が限定されている」ということ。2つ目は、「(抗体の取得に)時間がかかり過ぎる」こと。そして3つ目は先程申し上げました「従来の技術ではどうしても抗体が取れない抗原がたくさん存在するということ」です。これはそもそも抗体に適さない抗原なのだというあきらめが業界にはありました。だったらこれを攻略しようということで、私たちはこの8年、色々とトライをしてきたのです。

動画1:様々な抗体を生み出すADLib®システム (15分30秒)

ここでは、動画を使って(ADLib®システムの)仕組みをご説明します。

我々は、DT40というニワトリの細胞を使っています。これは核の中の遺伝子です。二重螺旋という言葉を聞かれたことがあるかと思いますが、それをほどいた場合のイメージ図です。四角いボックスが抗体を作る材料になっている遺伝子です。

手を広げたこのY字型の、ちょうど肘から上の部分をコードしているのは、variable region(可変領域)のV。そして、その下の足までがconstant regionのC(定常領域)です。ニワトリの細胞の場合は、その上流に25個の偽の遺伝子が乗っています。 イメージとしては、モンタージュ写真をイメージいただければと思います。

では、どうやって抗体が多様化していくかですが、ある薬剤の存在下でこの細胞を培養してやりますと、このように、モンタージュの写真の顔の一部が切れては上書きされる現象がおこり、結果として「違う手」ができてきます。そして、それぞれの細胞が出しているこの抗体は別のものをつかむようになります。これが分裂のごとに起こりますので、当社は、結果的に数兆個ぐらいの「違うものをつかむ手」を持った細胞を作ることができます。
(動画:http://www.chiome.co.jp/technology/adlib.html )

動画2:ADLib®システムによる抗体作成から臨床応用まで (17分5秒)

では、そこからどうやって抗体を取っているのかというお話を申し上げます。

この動画では、体内で異常化した癌細胞(抗原)に対応する抗体を私たちがどのように取得するかについてご説明しています。先ほどお話ししましたように、当社は数兆個の細胞をいつでも使える状態にしておりますので、その色々な抗体を出している細胞が存在する海の中で「釣り」をするのが、ADLib®システムの抗体取得法の基本的な考え方です。この癌の原因となる抗原を認識する「手」を持っている抗体(細胞)が簡単に釣れてきます。細胞が釣れるまでにかかる時間は、わずか30分です。釣れてきたものは個別に「生け簀」に移します。この細胞は非常に増殖が速く、同時に、自分の表面に出ているものとまったく同じものを培養液中に出すという性質があります。

現時点では(DT細胞がニワトリの細胞なので)抗体はニワトリ型の抗体として出てきますが、これをヒト化する技術があります。ターゲットの抗原を握る「手」の部分だけを移植することで、限りなく人の抗体に近いものができます。

以上にて、ADLib®システムを使って新薬の開発に至るまでのストーリーを縮めてお話しさせていただきました。
(動画:http://www.chiome.co.jp/technology/adlib.html )

P22:ADLib®システムの特徴:「(1)多様性」「(2)迅速性」 (18分54秒)

以上のように、ADLib®システムには、従来の抗体作成法では取得できなかった種類の抗体を取得できるという特長があります。大抵のケースでは平均10日程度で抗体を作るのも特長です。

P23:ADLib®システムの特徴:「(3)困難抗原への対応」 (19分8秒)

さらに、「医薬品になりやすいが従来の技術では抗体の取得が難しい」ターゲット(GPCRなど)に対しても強みを持っているのが、ADLib®システムの大きな特徴です。

P24:顧客の求める抗体作製技術:ADLib®システム (19分40秒)

カイオムは、先程申し上げた従来の技術における「あきらめ」をすべて解決することを目指して技術開発を行い、競合優位性を築いております。

P25:ADLib®システムの特許権について (19分48秒)

2003年7月、カイオム誕生の一年半前に出した特許は、2010年までに世界主要各国で成立しております。 特に米国では若干長く、2025年まで特許が有効です。

P26:アジェンダ(今後の事業展開) (20分9秒)

最後に、今後の事業展開についてお話します。

P27:抗体医薬品における基盤技術を持つ海外バイオテクノロジー企業の価値 (20分14秒)

その前に、当社がベンチマークにさせて頂いている企業についてご紹介いたします。
特に注目しているのは、リジェネロン社です。そしてもう1社が、モルフォシス社。どちらも抗体を作製する基盤技術を持っているという点で、当社と似ていますが、特にリジェネロン社は昨年12月31日時点において、当社の時価総額と比較して40倍以上の企業価値を持っております。

P28:先駆者モデル分析:Regeneron社(米)とMorphoSys社(独)の概要 (20分47秒)

その理由についてお話いたします。

両社とも、完全ヒト抗体を最初から出せる技術を有していますが、リジェネロン社はすでに医薬品、製品を持っているところが大きく違います。
リジェネロン社は、一昨年(2011年度)までは数百億円の赤字会社でしたが、昨年一気に大きな黒字に転換しました。一方でモルフォシスは、数年前から利益幅は決して大きくはありませんが、ずっと黒字を継続されてきた会社で、今年は大きく下げています。その理由としては、ようやくここにきて事業モデルを転換され始めたのではないかと思っております。

P29:先駆者モデル分析:R社とM社のパイプライン数と時価総額の比較 (21分46秒)

こちらのスライドでは両社のパイプラインの数をお示ししております。リジェネロン社は20弱。モルフォシス社もここへ来てパイプラインを増やし始めています。

P30:先駆者モデル分析:Regeneron社の成功要因分析 (22分20秒)

では、リジェネロン社はもともと抗体の会社だったのかとい申しますと、創業されたのが1988年ですから、それまでの15年はバイオであっても違うものを扱っておられます。この技術を2003年に完成され、そこからこのようなパイプラインをいくつも作られてきています。そしてサノフィ―アベンディス社、アステラス製薬とそれぞれ、推定ではありますが、独占的な契約を締結し、それ以外の企業とは契約されていません。この図の中にサノフィ―と入っているのは、皆この共同研究で生まれてきた、あるいはその事前に作ったものを買い取られたパイプラインです。このように、パイプラインのほぼ半数強を、今、この技術で生み出されているということがわかります。

以上申し上げましたように、完全ヒト抗体を作れる技術、大手との提携、複数のパイプライン、そして黒字化。これらをもって企業価値を上げてきた企業が、我々のベンチマークするところです。

P31:パイプライン創出戦略 :抗Sema3A抗体(横浜市大との共同研究) (23分24秒)

我々も、従来から考えていたことではございますが、やはり一番付加価値の高いものを作っていかなければならないと考えております。
その中で、現在、我々が非常に注目しているのが「Semaphorin3A」というターゲットでございます。

これは、横浜市立大学と随分前から共同研究をスタートしていたものです。この物質は、今までの技術では全く抗体が取れないということで、先生から何とかならないかとご相談をいただき、わずか8日で抗体が取れました。この物質は非常に面白く、神経にも炎症反応にもどうも作用しているらしいということがわかっております。ですので、色々な展開が今後考えられます。

P32:パイプライン創出戦略: 抗Sema3A抗体の薬効試験 (24分30秒)

以前は今年度中に導出というプランで考えておりましたが、当初期待していたある疾患に対してはあまり明確な効果が出ませんでした。
ただ同時進行していた敗血症モデル――これは後で少し説明しますが、非常に致命率が高い疾患です――では、我々もちょっとびっくりするぐらいのデータを得ることができました。敗血症という疾患は、発症すると20%ほどが亡くなられるという非常に重篤な疾患ですが、我々の抗Semaphorin3A抗体は発症後の投与でも効くというデータが得られましたので、2月6日に特許を急遽出願しました。当社はさらに付加価値の高いデータを取得した上で、契約を締結し、来期の売上に貢献させていく計画です。

P33:パイプライン創出戦略: 抗Sema3A抗体がターゲットとする敗血症市場 (25分43秒)

こちらのスライドは、アメリカにおける敗血症の疾患患者数と死亡者数です。約80万人の患者さんのうち、死亡者数が13万人で、要するに20%弱の方が発症してしまうと亡くなられるということを示しています。
根本治療に値する薬は、現時点ではございません。開発品目数は現在20個ありますが、開発に苦戦されているようです。
現在の治療は、亡くなられる前に輸液をしたりステロイドで心臓機能をなんとか維持させるというもので、それでうまく死の境から戻ってこられた方が助かるということですが、それに対し我々の抗体は単独でそういった効果が期待できます。

これはあくまで我々の想定ではございますが、例えば80万人の半数である40万人が治療の対象になり、一人あたりの治療費――これは先発薬=副作用によって以前販売中止となった薬を見ても100万円くらいをとって良いであろうと想定されます。そうしますと、単純計算でこういった大きな売上も可能になるということです。すでにいろんな企業さんとお話はさせて頂いていますが、今後、大きな商品にしていきたいと考えております。

P34:パイプライン創出戦略:アカデミアとの共同研究状況 (27分11秒)

アカデミアとの取り組みについてお話いたします。これらはまだアーリーステージのものが多いのですが、どれも今までの技術では基本的に抗体を取得できないものを相手にしており、最近の進捗としては静岡がんセンターとの共同研究における進捗があります。

P35:技術アライアンス戦略:高付加価値リード抗体の創製 (27分29秒)

これも今年の1月末にプレスリリースをさせて頂きましたが、実は前からやりたいと思っていたアライアンスです。

今までは抗原に対して抗体を作るということでしたが、今回はそれぞれが保有する違う技術を駆使してより付加価値の高いものを共同で作ろうというものです。我々が得意なのは0から1をまず生むところです。そもそも抗体が取れないのであればそれを作らないとその先に行くことができません。

ただその先については、様々な技術があり、1の価値を3にしたり5にしたりする技術を保有している企業は沢山あります。その1つがBiotecnol社です。他にも抗体の機能を高める技術あるいはコンピュータによる予測技術などたくさんありますので、今後はこういった企業さんと手を組み、より早期により価値の高いものを作っていこうと考えています。

P36:技術アライアンス戦略:Biotecnol社(Tribody技術を保有)との技術提携 (28分36秒)

Biotecnol社の概要は、こちらのスライドに簡単にお示ししております。我々より若干後に創業した企業で、企業規模としては当社とほぼ同じくらいです。現在ロシュ傘下に入っている企業で、ジェネンテックという一時期10兆円を超えるような企業価値を有していた企業が認める技術を持っております。

P37:技術アライアンス戦略:Tribody技術とは (28分55秒)

Tribodyというテクノロジーは、簡単に申しますと、先ほどから申し上げております「手」――抗原をつかむ「手」を3つ持っているものです。例えば、がん細胞(抗原)殺すナチュラルキラーセル――それこそ、落語を聞いた後などにぐっと活性が上がり、がんに対する抵抗力が強くなるというような――そういったつなぎあわせで、より優しくがん細胞を叩けるような抗体医薬を今後共同で作っていきたいと考えております。。

P38:高付加価値ビジネスモデルへの転換:長期ビジネス戦略 (29分30秒)

ここまで我々のビジネスモデルを3つ申し上げましたが、現在の主たる事業は創薬アライアンス事業です。当社としては「完全ヒトADLib®システム」を完成させ、基盤技術ライセンス事業においてより大きなロイヤリティを頂けるような契約をとっていきます。最終的には今後一番注力していきたいのは、リード抗体ライセンスアウト事業で、高付加価値企業への転身を加速するために、実際の抗体医薬(開発品)をどんどん作っていきたいと思っております。

P39:第三者割当増資による資金調達:目的・背景、具体的使途 (29分59秒)

そのために、第三者割当増資による資金調達を2月半ばにリリースさせていただきました。資金使途としては、抗体医薬の初期開発までを実施すること、それから複数の技術企業を含めた共同研究、あるいは開発候補抗体のセレクション、そういったことをやっていきたいと考えております。

P40:第三者割当増資による資金調達: 概要 (30分25秒)

資金調達額は、総額50億円を目指しております。

ポイントとしましては、株式数の希釈化は10%であるということです。資金調達金額につきましては、若干上下はあると思いますが、割り当てた株数が固定ですので、10%は超えないということです。
この資金調達方法は、非常に健全なエクイティコメットラインと呼ばれる手法です。かつてのMSCBのようなものではございません。上限と下限があり、この枠を外れると資金調達できませんし、株価の高いところで行使されれば、引き受け会社にも我々にも多くのキャッシュインが可能になるものでございます。

マイルストーン社は、これまでバイオ企業でも複数の投資実績があり、当社は、そのスピード感とこのタイミングで出来るベストなパートナーということで選ばせて頂きました。

P41:当社のミッション (31分30秒)

当社のミッションは「新たな医療を待ち望む世界中の人々のために」3つの事を実行して参ります。これまで我々は主に技術を磨くことに力を入れてまいりました。これはまだまだ継続しますが、ようやく「革新的医薬品を創出する」という第二ステージがスタートし始めております。

最後の「医療に革新を起こす」は、私がこの会社を起業する一番大きなモチベーションとなった「ADLib®システムにより医療に革新を起こせるかもしれない」という思いを意味しており、これを実現するための技術開発を行っております。

P42:技術開発:技術革新とビジネスの連動 (32分2秒)

これまでも「3つの事業」を睨みながら技術改良を行なってまいりましたが、今、まさに最終兵器となる「完全ヒトADLib®システム」の開発を進めておりますす。

P43:技術開発:完全ヒトADLib®システムの構築 (32分16秒)

動画でご説明しておりますが、簡単な例え話で申しますと、従来は「ニワトリの顔」が並んでいたモンタージュのパーツを全部「ヒトの顔」に並べ替えて、人の抗体遺伝子間で置き換えるということを実現します。そうしますと、僅か10日程度で人の抗体医薬品と同じ物が取れるようになる。
これが完全ヒトADLib®システムであり、私がADLib®システムを最初に知った時に思ったことです。

P44:技術開発: 完全ヒトADLib®システムの構築 ~GC再現性とIgG産生確認~ (32分43秒)

昨年度(2011年12月)に上場して、はじめてこの開発に大きな投資を行って来ましたが、おかげさまで、昨年後半から成果がどんどん出て来ました。

直近では、プロトタイプのその原型くらいのイメージのものですが、一つの細胞で要諦となる要素が全部ワークするということが確認されました。これで私としては、「完全ヒトADLib®システム」は作れる、その確信がほぼ得られました。

プロトタイプにつきましては、今も取り組みは継続していますが、ここまで来たら安易に「これでいこう」という判断はしたくない、モンタージュ現象がどれくらいうまく回って多様化できるかをしっかり見定めた上で最終的な優良株を作製・選択いきたいと考えております

当初は、我々はこのレベルをプロトタイプと定義していたのですが、前倒しで開発が進んだこともあり、研究員が「もうちょっと我々は完全ヒトADLib®システムをより質の高いものにするためのプロトタイプを作れます」と提案してきました。そうであれば、妥協することなく確実なプロトタイプを作ろうということで技術開発を進めてもらっています。ただし、来年3月の完成のゴール設定だけは動かしません。非常に楽しみな段階に入ってきております。。

P45:当社のビジョン:究極のオーダーメイド医療 (34分4秒)

「完全ヒトADLib®システム」ができると何が実現できるのかという話で締めくくります。従来は、冒頭でお話した私の母の例のように、「(薬を)投与してみないと分からない」という治療でした。

最近ようやく、医薬品投与の前にコンパニオン診断を行うことで、事前の効果予測、あるいは副作用予測がある程度可能になってきました。「効果がある」且つ「副作用が少ない」患者さんたちにとっては有り難いのですが、それ以外の患者さんは、いわば治療難民です。ですから、こういった患者さんたちに治療をご提供できる世界を実現できるのが、この「完全ヒトADLib®システム」なのです。

私は長生きしたい。でも、将来ガンが出来てしまった時に、「この薬を使った場合、治癒する確率は5割です」と言われたとします。要するに5割は効かないということですよね。であれば自分自身のがんに最も効果の高い抗体を創り、その抗体によって治療をしていきたい。これが我々の原点になっています。

P46:当社のビジョン (35分7秒)

技術がそこまで進化すれば、必ずルールは変えられる。いえ、ルールは変えなければならないと思っています。

今までは、すべての人には医薬品は効かないということを前提に、統計確率という手法で医薬品は開発されてきましたが、これは他の産業ではありえません。私達は、この「完全ヒトADLib®システム」を完成して究極のオーダーメイド医療の仕組みを完成させ、他の産業では当たり前の、対価を頂く以上、必ず何らかの効果があるものを提供する」ということを目指しています。

ご清聴ありがとうございました。(以上)