日本和装ホールディングス株式会社は、きものを販売している会社ではありません。
無料のきもの着付け教室を運営し、受講者や修了生がきものを購入した際の一部を手数料として受け取るという、『きものを販売しているのではなく、きものを着たくなる、購入したくなる機会を多く作る=きもの人口を作る』ことが同社のビジネスです。

同社は「顧客参加型企業」として、顧客が参加する持株会がある、また顧客(きもの教室の修了生)をCMモデルとして全国1000名!?に出演してもらう、など、顧客との距離の近さは際立っています。

きものを着る機会が年々減少している中、同社のきものに対する想いや、業界全体の発展に取り組む姿勢は、お話を伺っていて正直感動しました。

着付け教室の修了生からIR担当になった大森さんに、お話を伺いました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

―― 私御社のお名前をまだ知らない時に、あのコマーシャルを見たことがあるんです。
「きもの♪きもの♪きものが着られる・・・♪」って。

大森:
ご覧いただいてありがとうございます。
実はあのCMに出演しておられる女性は、当社が運営する「無料きもの着付教室」の修了生の皆様なのです。
着付教室の受講生募集を教室の修了生の皆様自身に行っていただくという試みをスタートした時のCMシリーズ、昨年(2012年)春の受講者募集ですね。

CMシリーズ

 

このCMの好評を受けて、2012年秋の受講者募集は「100人CM」と名付けて、修了生の皆様にご出演いただくものとしました。CMの撮影風景などもこちらからご覧いただけます
皆さん、本当に活き活きと、着物を着る機会や、着物を通じて知り合った方々と交流することを楽しんでおられる様子を感じていただけるのではと思います。

100人…と申し上げましたが、実は全部で109名になっているのですが、これは当日のご欠席などもあるものと考えて多めに出演をご依頼しましたところ、皆さん、この撮影を本当に楽しみにして下さいまして、誰一人遅刻や欠席をされることなくお見えいただいた、その結果です。

―― 109人の修了生がCMに出演…それはすごいですね!

大森:
「2013年春の受講者募集CM」はもっとすごいですよ!
「超・CM」と名づけて全国で1,000人の修了生の皆様にご参加いただきました。

編集室注:YouTube公式チャンネルで全国各地域の「超・CM」が公開されています!

―― 1,000人ですか!ますますすごいですね…!楽しみです。
それにしても撮影風景やCMを拝見しますと、受講生の皆さんは着物を着るということをことを本当に楽しんでおられるように感じます。。改めて、御社のビジネスモデルや教室の特長についてお話いただけますでしょうか?

大森:
はい。当社は着付教室を運営していると申しましたが、教室で受講料をいただいているわけではありません。
一言で言うと販売仲介業、着物や帯の販売を仲介している会社、着物の生産者と消費者をつなぐ「販売仲介業」です。

きもの人口を作ろう

(クリックして画像を拡大)

―― なぜこのビジネスモデルを採用しておられるのでしょう?

大森:
約30年前、当社の創業者であり現社長でもある吉田が、個人で舶来品の輸入をしていた頃、呉服屋の御主人さんから「着物なんかもう売れないよ」というお話を聞きまして。
どうして着物が売れないのだろう?と考え続けた結果、やはり自分で着物を着たり、着物を選んだりできない人が増えているからではないか。着物を着られる人、着る機会を増やせば需要が高まって、着物が売れるのではないかということに思い至りました。

私達の役割は、無料の着付教室で着物を着られる人、着物の消費者――私達はそれを「きもの人口」と呼んでいるのですが――を育て、増やしていくことです。
そして、着物の消費者となった方々に生産者さんをご紹介して、商品の理解を促進し、販売機会も創出する。さらに、修了生の皆様にも引き続き、着物を着る機会をご提供する。そうやって着物の流通を活性化させています。

私たちの収益源は、受講料ではなく手数料です。
受講生・修了生の皆様と生産者(加盟店)様との間で売買が成約しましたら、生産者様側から販売仲介手数料を頂くことで成り立っている事業なのです。

日本和装の収益モデル

(クリックして画像を拡大)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 着物業界では非常に珍しいビジネスモデルなのでしょうね。

大森:
そうですね。フリービジネス、あるいは仲介業というのは他の業界では決して珍しい物ではないと思うのですが、着物の業界では――特に30年近くも前の創業当時は、吉田も「何を始めたんだ、この若者は」といった目で見られたようですね。

今でも呉服業界でこういった販売仲介を営んでおりますのは当社だけですから、ある意味異端児なのかもしれませんが、すごく革命的な事をしてきたという自負もあります。

―― 「無料の着付教室」というこのビジネスモデルは、一般の方々にご理解いただく上でもなかなかご苦労があったのではと思います。

大森:
はい。特に当社がジャスダックに上場した2006年前後は着物の過量販売、つまり必要としていない着物をご高齢の方々に販売する商法が社会問題にもなりまして、呉服業界の大手小売さんが倒産するなど、逆境の事業環境でした。

―― 業界自体が、厳しい目で見られていた時期だったと…。

大森:
個人の方々も着物業界のことはよくわからないし、(社会問題の影響で)あまり良いイメージももっておられない、そういった中で当社が「無料の着付教室を開催しています」とお話しても、胡散臭いのでは?と言われてしまうことも多々有りまして。そのあたりを払拭するために、企業広告やCMも色々展開してまいりました。

―― 今年2月の東証二部への上場も、信頼性を担保するという意味では大変重要だったということになるのでしょうか。

大森:
その通りです。特に当社の場合、主たるお客様は40~50代の主婦層でいらっしゃいますので、ご主人に信頼していただくことも重要です。

「日本和装って一体どんな会社なんだ?」というお話になった時に、「東証上場企業よ」、とおっしゃっていただければ男性の方にもわかりやすいのではという想いもありまして、待ち望んだ東証上場の日、私が書いたIR担当者ブログは嬉しさいっぱいの内容になってしまいました(笑)。

―― 喜びが伝わってきます(笑)。
ところで40―50代の女性が主なお客様でいらっしゃるということですが、先程のCMを拝見しまして、大人の女性の着物姿は素敵だなと改めて感じました。
私、着物というと、若いお嬢さんの振袖、あるいは七五三でお子さんが着ているものを見るぐらいしか、これまで機会がなかったのですが。

大森:
ええ、本当に。
実は、当社は基本的には振袖は扱わないんです。
そもそも、着物を着る機会がない、あるいは着物を着ることができる人が少なくなった原因のひとつに「人生の一大事の時にしか着て行けないような着物」を売っているから、ということがあると思っていますので。

―― 着物を着る機会と言えば…七五三、成人式、あとは冠婚葬祭ぐらい?

大森:
ええ、そのぐらいしかありませんよね。それってすごくフォーマルな、洋服で言えばタキシードをあつらえたみたいな状態になるわけです。

当社が扱うのは、洋服に例えるならば、スーツのような、日常のお出かけに着ていただけるもの。ちょっとしたお出かけで楽しんでくださいね、っていうものをご提案しています。
そうでなければ着物は普及していかないと考えているのです。

―― 日常のお出かけで着物着たきれいな女性が増えるって、すごく素敵ですね。

大森:
男性の個人株主様からも、アンケートなどのコメント欄で「着物の女性が増えるはいいことだ」と「やはり日本女性は着物だ」といったご意見をいただくことが多いです(笑)。

―― 素直な感想だろうと思います(笑)。
ところでその、「着物を着られる女性」、つまり講座の修了生さんは、これまでの累計でどれぐらいの人数になるのでしょう?

大森:
17万2千人を超えています。

―― 冒頭の「100人CM」のお話などをお伺いしますと、新規のお客様だけでなく、既存のお客様である修了生さんも大事にされているのかなという印象がありましたが、確かに17万2千人という数は大きいですね。

大森:
おっしゃる通りです。
今から4年ほど前に、新規のお客様の取扱高(編集室注:お客様が着物を購入した金額。売上高はこの取扱高に手数料率を掛けたものが主となります)――つまり4か月の着物の教室の間に新規のお客様が購入された着物の額と、修了生の皆様がその後のイベント等で購入された取扱高が逆転しまして、修了生の皆様のほうが多いという状態になりました。

その頃から当社も、そうやって積みあがってきたお客様(修了生の皆様)に、一度持ってもらった着物への興味を持ち続けていただく、ずっと着物の消費者でいていただくための取り組みに本腰を入れるようになりました。

―― CM出演なども、その一環なのですね。

大森:
はい。その他にも、着姿コンテスト「きものブリリアンツ全国大会」を開催したり、電通さんとの共同出資でモデル事務所(子会社)を作りまして、そこにご登録をいただいた方にテレビ出演の機会があったりと、あるいは着付けの講師として働いていただいたり、修了生の方が活躍する場をどんどん作っているところです。

顧客参加型企業へ

(クリックして画像を拡大 :2012年上半期株主通信 P7-8より引用)

(クリックして画像を拡大 :2011年株主通信 P9より引用)

 

―― ブリリアンツ持株会、これは面白いですね。
社員持ち株会は、もちろん、ありますし、お客様には是非株主になっていただきたいという企業さんも多くいらっしゃいますが、お客様が持株会を作られているというのは、私は初めて拝見しました。

大森:
実は、ただのお客様では持株会を作ることはできないのです。ではなぜ当社がお客様の持株会を作ることができたのか。それは、「双方向のやりとり」が鍵でした。

実はブリリアンツ持株会に入ることができるのは、お客様の中でもCMや全国大会などに出演・参加された方だけです。なぜかと申しますと、これらに出演した方には、当社からきちんと報酬――CM出演料やモデル料をお支払しているからなのです。

そういった「双方向のやり取り」があることから、これらのお客様は「取引先」として証券会社から承認されました。ですからこれは、普通の小売業やサービス業などで簡単に実現できることではないのです。

―― なるほど…。ところで持株会の設立時期はいつ頃なのですか?

大森:
設立は、昨年(2012年)の8月です。入会されるお客様も増えてきています。先日撮影を終えた、2013年春のCMには1,000人のお客様が参加されましたので、入会資格をお持ちのお客様がまた増えました。

―― 今後が楽しみですね!

大森:
はい、本当に。
先日私、当社の会報誌のIRコーナーの対談企画で、修了生であり株主様でもあるという方とお話をさせていただいたのですが、その方は、自分が着ることで着物業界を活性化させたい、自分が着物の消費者となることが業界を活性化する一助になると思うから、そういった思いで着物を着始めたと。そしてそれは日本和装に通うようになってそう思ったのだと。そうおっしゃって下さいました。
さらに、そういった人を増やして着物の業界を活性化させようとしている日本和装を応援したいと思ったから当社の株主になったのだと…そう熱く語って下さいました。

―― 見事なまでに御社のミッションが共有されていますね。

大森:
いやもう、本当にすごいんです。お話して私の方が感動してしまったくらいで。
実はその方、元々、ご自分のご実家が着物産業に関わっていらしたらしいのですが、そういった産業も地元ではどんどん衰退している、生産者が減り、業界が縮小していることを目の当たりにしておられるんですね。ですから、そういった応援をしたいと。

―― 持株会以外でも、株主になっているお客さん(受講生・修了生)がいらっしゃるのですね。

大森:
はい、いらっしゃいます。株主通信に一緒に同封している株主アンケートの記述であったり、あるいは、IR担当として色々お話をさせていただく中で、株主です、ファンなんですとおっしゃって下さる方は結構いらして…有難い限りです。

―― なるほど。そうすると持株会についても既存のお客様層も、そういった方がリードして下さる可能性が高いと。

大森:
高いと思います。それこそが当社の強みですね。

 

Q3: 事業環境とその対応は?また、今後の成長戦略は?

―― 着物が好きで、着物を購入し、日常で楽しむ女性が増えていくことは生産者さんにとっても非常に喜ばしい、ありがたいことかと思います。だからこそ御社の「無料着付け教室」も成り立つのでしょうし・・・。

大森:
はい。当社のビジネスモデルは、「着物の消費者を育てる」ことに加え、「着物の流通をシンプルにし、生産者さんと消費者さんの距離を縮める」ことで、生産者さんからご支持をいただいて来ました。

きものをもっと身近なものにしよう

(クリックして画像を拡大)

―― こちらの図を拝見しますと、これまでの着物流通というのは多数の問屋さんが介在しておられたのですね。

大森:
はい。その結果、消費者ニーズが生産者に伝わりにくくなってしまったこと、中間マージンがかさんで着物が高価なものになってしまったことも問題なのですが、着物業界にとってもうひとつ重要な問題がここにありました。
代金回収の問題です。

―― 代金回収の問題、ですか?

大森:
これだけの問屋さんが介在されますので、生産者さんは代金回収がとても大変で、180日手形、200日手形が当たり前の世界らしいのです。ですが、実際の生産者さんは家内工業のように小さなところも多く…

―― 資金繰りは決して楽ではないわけですね。

大森:
そうなんです。これも、着物業界を縮小させていったひとつの原因になっていました。
ですから当社の締め日は毎日。そして10日後に全額立替払いを行っています。
今日の販売会で売れた着物や帯の代金は、10日後には日本和装から入金されているのです。

日本和装の確信

(クリックして画像を拡大)

―― 生産者さんはすごく助かりますね!
でも御社では毎日が支払日?それは大変ですね…!

大森:
毎日が支払日です。大変ですが、そこは頑張っています。
生産者さんにしてみれば、お客様を集める苦労は不要ですし、自分が作ったものを直接お客さんにアピールできるし、お客様の声も聞ける。
売買成約後のお仕立ても検品も、お客様に届けるというところまで日本和装が担当し、代金回収も早いとなれば、非常にメリットがある。だからこそ当社をご支持いただいているのです。

―― 御社の取り組みは、生産者さんを守ることにもなりそうですね。

大森:
そのように自負しております。
当社の子会社には「はかた匠工芸」という帯の製造をする企業があるのですが、ここは、2009年に博多織の大手問屋さんが倒産した際に、その影響で経営が立ち行かなくなってしまった企業です。

その工場がなくなってしまうと、技術も、技術者も、今では入手できなくなった織機も失われてしまう。博多織の一部が消えてしまう。それはあってはならないことだと、当社が買い取った、それが「はかた匠工芸」が子会社になった理由なのです。このように、私達には、織物を保護する、生産者を活性化するという気持ちを根幹に持ち続けています。

生産者さんに新たな可能性を開くという意味では、海外向けの二次製品――たとえば着物帯を使った家具のようなものの展開を進めています。ニューヨークを皮切りに、昨年(2012年)12月にはパリにも子会社を設立しました。

―― 二次製品というのは具体的にはどのようなものなのですか?

大森:
たとえばこれ、帯の地で作っているんです。
ニューヨークのデザイナーがデザインしたオットマンと椅子なのですが、こういったところに着物の地を使っているんです。美術品や家具として日本の織の文化、染めの文化、生地の良さをお伝えする、そういった取り組みを始めています。

ある意味芸術作品と申しますか、アートの世界に入って来ますので、椅子が一脚三百万円ぐらいしますけれど。

―― 着物ってそもそもアートを着て歩いているようなところがありますものね。

大森:
そうなんです。これは成約に至らなかったので相手方のお名前は申し上げられないのですが、2011年に当社は、おそらく皆様もご存知の高級宝飾品ブランドの店舗内装を受注するお話を進めていました。
店内装飾に帯の地を使ったり、といったお話だったのですが…とても残念です。

―― そういった海外での取り組みが実ってくることは、生産者さんの新たな収益源となるのはもちろん、着物文化の素晴らしさが、生産者さんにも消費者さんにも再認識されることにもつながるのでしょうね。

大森:
本当にそうですね、おっしゃる通りです。

 

Q4: 個人投資家の皆様へのメッセージをお願いいたします。

―― 色々お話をうかがってまいりましたが、最後に、個人投資家の皆様へのメッセージをお願いしたいと思います。

大森:
私たち日本和装は、着物を着られる「きもの人口」を増やし、きものファンを育て、新たなきもの流通を作ることで、日本の着物文化を守り、そして海外にも広めていきます。
皆様にも是非この夢にご参加いただきたいですね。

日本和装の特徴

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女性はもちろん、男性向けの着付教室もスタートしておりますので、ご自身も着物との関わりを楽しんでいただければ幸いです。

皆様に安心して株式を保有いただけるよう、当社のIRは本当にオープンな姿勢で取り組んでおります。
私が書いているIR担当者ブログ、そして社長自身が書いているブログホームページYouTube…いち早くお知らせし、親しみやすく・わかりやすくお伝えしていくのが当社のIRですので、是非一度ご覧下さい。

―― 本日はありがとうございました!