投資用マンション建設に特化して事業を展開している株式会社アーバネットコーポレーション
マンション建設といえは、分譲マンションが主流ですし、建築から販売まで一貫して手がける企業が多い中(販売は利幅が高いそうです)、敢えてある分野に特化する経営姿勢は非常に珍しいように思います。

将来の年金不安が高まる中、マンション投資は、富裕層だけのビジネスではない模様。
そして、「私が(個人株主、個人投資家さんに)よくお話をさせて頂いているのは、分散投資の重要性ですね」と仰る、鳥居取締役のお話は、非常にユニークで、何回もハッとさせられました。
不動産や建設に興味が無い方でも、今回のインタビューは必読です。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

鳥居:
当社は、不動産業界の中でも

  • 投資用ワンルームマンションを開発して
  • 一棟まるごと卸売りする

というかなり特徴のあるビジネスをしています。
投資用ワンルームマンションを開発して個人の方々に販売している企業は他にもありますが、卸売りに特化しているのは当社だけと思います。

販売先は、投資用ワンルーム販売会社の中でも、厳選した3社さんとしております。
なかでもお取引が大きいのは、株式会社明和さんです。
ここは独立系で、あまり金融機関にも知られていないのですが、月70戸程度を販売しておられますので、東京圏内の月間売上戸数ではおそらくトップクラスだと思います。
あとの2社は、プロパティー・インベストメント・マネージャーズさんと、アセットリードさんですね。

―― それにしても、なぜ卸売りに特化しておられるのですか?

鳥居:
販売リスクを徹底して回避するためです。

マンションの場合は、販売が一番大変です。それは投資用でも分譲でも変わりません。
販売まで自社で行うということになりますと、人数も必要になりますし、売れるか売れないかはやってみないとわからない。そういったリスクを極力避けた結果が現在の形です。

―― 販売機能を持たない、ということは御社の強みは「作る」ことにあるわけですね?
リリースを拝見しますと、開発物件が、日本住宅建設産業協会主催の賞で優良事業賞
を受賞しておられるとか…。

グランティアラ新御徒町

プレスリリースより引用:クリックして画像を拡大)

鳥居:
そのとおりです。
当社は、新興ディベロッパーさんとひとくくりにして見られてしまうことも多いのですが、そういった会社の多くは、大手のマンションディベロッパーで営業をやっていた方が独立し、設立した企業です。

でもね、当社の社長は「設計屋」なんですよ。
「いつかは自分のプランどおりのマンションを建てたい」、そういう強い想いで独立して作った会社ですから、設計屋としての感覚を色濃く持っているし、建てることに関してはプロです。それが当社の特色ですね。

先日も、本当に細長い土地の物件を竣工させまして、「こんな細長いところに建てられるのだろうか」と私も、社内の者も心配していたのですが、造っちゃったんですよね(笑)。
私が言うのも何ですが、やっぱりプロの仕事だなぁ、と。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 設計力が高いということなのでしょうか?

鳥居:
そうです。それにうちの設計はプランがすごく早いんですよ。
土地が決まって図面が来ると、あっという間にプランを上げてしまいます。これは本当に見事なくらい早くて。

もちろん、本設計の前にはプランの見直しや調整をしますが、ファーストプランは、図面から法律から何から全部見て、1日~2日でさっとあげてしまうことができます。

―― 設計されるプランにはどのような特長があるのですか?

鳥居:
うちは結構こだわりの物件を作りますね。
すごいところになると、全体で50戸しかないのに、18種類ぐらいの形の部屋がある、そんな物件をつくっていたりします。

(ホームページ「4つのオリジナルブランド」より引用)

―― うーん、確かにこだわりの物件という感じがします。
でも、同じような部屋をたくさん作ったほうが開発側から見るとコスト効率が良いのではありませんか?

鳥居:
おっしゃるとおりでしょうね。単純にマンション投資の利回りだけで見ると、うちは必ずしも良くはないんですよ。

ただ、賃貸の入りは非常にいい。これは絶対的に良いです。
うちの物件は(株)明和さんの調査で入居率が98%強ですから、ほとんど損失はありません。

―― それはすごいですね、なぜなのでしょうか?

鳥居:
賃貸物件を借りようとする人は、「このあたりに住みたい」って地域を限定して周辺の賃貸物件を探しますよね。そうすると、うちの物件が目につくんですよ。必ず記憶に残るので、多くの場合はうちを選んで下さいます。
実際、うちの物件がいっぱいになってから別の物件を選ぶ、そういうケースはよく見ております。

そういう意味では、当社が建てる物件は最初からお客さんが付いてくるようなものですから、販売会社さんとしてもいいと思います。

―― 家賃も落ちなさそうですよね。
だとすると、最初の利回りは少し低いとしても、トータルで見ると良いという考え方ができるのでは。

鳥居:
(家賃は)落ちないと思います。
(当社の外観デザインは)白黒ですし、石を使わずにタイルを使っているんですよ。

タイルは汚れに強いですから、意外と汚くなりませんので、入居者さんも変わらず入ってくださいます。ですから、当社は長期で見た時の利回りは悪くないと思いますよ。

―― それにしても、最近色々な会社さんにお話をお伺いしていますと、不動産関連ではとにかくいい場所、いい立地にまとまった土地を仕入れる所が生命線だっていうお話が多くて。
土地の仕入れに関してはどのような工夫をしておられますか?

鳥居:
そうですね。ワンルームマンションって、うちの仕入部門が優れているというのもあるんでしょうけど、意外と小さな土地で、真四角だったらそれこそ60坪でも建てられるんですよ。

―― ペンシルビルみたいな?

鳥居:
社長はあまり作りたがらないですが(笑)。でも、作れると思いますよ。
そういう意味では小さい土地、個人がお持ちになっている土地でも建てられる。

それと、分譲ものではありませんので、基本的に持ち主と住む人が違いますよね。そうすると等価交換という方法で有効活用することもできる、うちはそこも結構得意です。

Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する戦略は?

―― ということは、相続関連で土地を入手されることも?

鳥居:
あります。昔の人って非常におおらかな所があって、友達だから住んでていいよ、とか建てちゃっていいよとか(笑)、そういうケースも結構ありまして。
でもお互いに代が替わっていて何が何だかさっぱりわからない、そんな状況の中で、老朽化した建物を建て直したいけど建て直せない…そんなご相談もいただくことがあります。

―― うーん、なるほど。でも確かに、相続をどうするのかという、そういったところから押さえていかないと土地の仕入れは難しいのでしょうね…。
ところで、土地の仕入れから物件の購入のほうに話が移るのですが、最近、投資用マンションを購入する方々の層が広がっているというのは本当ですか?

鳥居:
広がっていますね。従来ですと、投資用マンションを購入されていたのは、税理士さんや弁護士さん、あるいは外資系商社マンなどのいわゆる「お金持ち」の方々や地方公務員の生活が安定している方が何戸か、あるいはフロアごと、相続がらみの方になると棟ごと(笑)購入される、そういう感じだったのですが、最近――特に去年の10月以降顕著なのですが、当社に「投資用のマンション、どこに行ったら買えますか?」というお問合せをされる方が増えています。

―― 御社では直接販売はされていないですよね?

鳥居:
はい。ですが当社は上場企業ですので、投資用マンションというワードで検索していらっしゃるんでしょうね。そこで、当社では販売していないと申し上げると「どこに行ったら売っているんですか?」と。
これは本当に最近ですね、以前はそんな方はいませんでした。

ではそういう人達がどんな方々なのかというと、例えば看護師さんとか、普通のサラリーマンや少しお金をお持ちのアラフォーの女性とか、これまでとは違う層が出てきたという印象ですね。

でもまあ確かに、今の定期預金の利率などと比べると利回りはいいんですよね。
今、当社の物件ですと表面利回りがだいたい5%を割るくらいで、これはバブルの時代と比べると全然世界が違うわけですが、0.03%とかいう今の定期預金金利と比べれば100倍以上ですよね。今そんなものないよ、っていう感じで購入したいと。

確かに今後の金利はどうなるのとか、いろんなリスクはありますが、今のところ金利が上がるような要素はどこにも見えませんので「大丈夫なんだろうな」というのはあるのだと思います。賃貸の需要はまだまだ上がり続けますしね。

―― 主に(需要があるのは)東京ですよね?

鳥居:
東京ですね。東京以外ではなかなか売れないです。

―― 確か御社の物件は東京に集中していたのでは?

鳥居:
はい。政治・経済・行政・人材のすべてが集中する東京、特に23区内は、最寄り駅10分以内に存在感のある良いマンションを作れば賃貸付けも好調ですから、やはり東京圏での不動産開発が最もリスクが少ないと考えています。

物件の開発状況

(クリックして画像を拡大:第15期中間決算のご報告 P4より引用)

―― ということは本当に需要が強い状態でしょうね、今。

鳥居:
もちろん、当社は卸売ですから直接見ているわけではないのですが、やはり需要は強いと言えるでしょうね。

当社の物件は、竣工から4か月目の月末に販売先から最終決済を受ける契約になっているのですが、今、竣工から1~2ヵ月で全戸販売できてしまう状況です。
(投資用マンションが売れて)どんどん回転している状況なので、我々としても土地を仕入れたらゼネコンに建設をたのんで、あとは販売会社からの代金回収を待つだけという、いわゆる製販分離で非常にいい商売だなぁと(笑)。

このビジネスモデルで、うちは上場できたわけです。

Q4: 今後の成長を見据えて取り組んでいることは?

―― 色々お聞きしていると非常に御社のビジネスは堅実だなぁという印象を受けます。

鳥居:
そういう意味でも、うちは非常に設計会社っぽいんでしょうね。

売りやすい良い物件を売りやすい規模で造っていて、あとの販売のリスクを抱えずに適正な利益を載せた価格で売っていく。
過大な投資というか無理な土地の仕入れとか、そういったこともしない。
「ちょっとそれはカタすぎませんか?」って言われそうなビジネスモデルです。

先ほどお話した新興ディベロッパーさんなんかは、それこそ2倍3倍と売上を伸ばしていくことができるでしょうし、それができるのがこの業界のすごいところなんですけれど、うちはその気はありません。
目の届くところでやっていく。

もちろん全物件、自分達で土地も見にいきますし、設計も当然見ていますし、建設工程も監理しますから、責任をもって良い物件ができるのはそのところかなと。

そして「東京から動かないぞ」、と。このあたりは投資家さんからもよくもっと拡大路線をと突っ込まれるのですが(笑)。

―― 今後、規模的にはどのあたりを目指して行かれるのですか?

鳥居:
今の目標としては、100億の売上、100億の総資産、それに自己資本率25%っていう言い方をしていますね。
あとは利益率――当社の場合は粗利(売上総利益)率を指標としていますが、これを20%以上に持っていきたいですね。

当社の場合は固定費が少ないので、売上が上がれば営業利益はどんどん上がってしまう。それで喜んでいてはいけないので、売上総利益、つまり売上から土地・建物の原価を引いた額ですよね、ここをしっかり見ていくのが大事だと思っています。

―― なるほど、それ以外には何かありますか?

鳥居:
そうですね。これはまだ確たるものを申し上げられる段階ではないのですが、不動産業界も間違いなくシニア市場向けが必要になっていきますので、当社も2~3年後ぐらい、つまり消費税が導入されるあたりを目処にシニアビジネスに参入したいとは思っています。

Q5: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。

―― ありがとうございます。色々おうかがいしてまいりましたが、最後に、個人投資家さんの皆さんに何か一言、いただけますでしょうか?

鳥居:
私が(個人株主、個人投資家さんに)よくお話をさせて頂いているのは、分散投資の重要性ですね。なぜ私が言っているんだ、という思いもありますが(笑)。やはりそこは申し上げています。
不動産セクターというのは、1企業の努力では太刀打ちできない経済環境の影響を受ける業界ではありますので、そこを前提として考えていただくと、やはり分散投資は必要かと。

でも、じゃあ新興不動産セクターだから全部ダメなのかと言えばそんなことはなくて、そこは「それぞれの会社を見ていただきたい」ということなんですね。

たとえば当社の場合、基本的にもう二年先のものまでは、答えが分かっている――売値も利益も読めている状況にあるわけですね。そういった中で、今ならまだ割安ですし、配当利回りで行くと5%以上あるわけですから、そういう意味では買い時なのではないかな、と思っております。

投資家目線で今後考えておいていただくとすれば、当社の業容が拡大していく局面で、借入金が増大して自己資本比率は下がっていきます。
ここで(自己資本比率の目標を)25%を目標ですと言っているのですから、資本増強も当然あり得るということです。
当然、現状で具体的な話はありませんが、資本増強すれば、希薄化の可能性はあります。ありますが、でも株価は必ず上がるような資本増強しかしませんので、そこを信じて今後3年ほどは大丈夫だと思われてお買いになったらいかがかなと思います。

そして、もうひとつ。本日何度も申し上げておりますけれども、当社はリスクを非常に嫌う会社です。
我々が嫌うリスクというのは投資家の皆さんのリスクでもありますので、そこは安心していただいても良いのではないかな、と、そう思っております。

―― 本日はありがとうございました!