データセンターを持つ通信事業者や企業向けに、セキュリティ機器やネットワーク機器を販売しているのはテクマトリックス株式会社 です 。
ルーター等の価格競争が激しい分野ではなく、導入や運用まで高いノウハウが必要な分野に注力することで、低価格競争に巻き込まれない経営をしているそうです。

一方で、自社開発をしているアプリケーションサービス(CRM/医療分野)も経営の柱。
「いち早くサービスをクラウド化することで、大手と戦える状況になった」と話す森脇執行役員にお話を伺いました。
(なお、テクマトリックス株式会社は2012年11月28日に東証一部への指定申請を発表しています)

Q1: 御社のビジネスは何でしょうか?わかりやすく教えて下さい。

―― 御社のIRサイトでは何と言っても「おしえて、由利くん!」という、社長自らがキャラクターになった早わかりコンテンツが印象的ですね!

森脇:
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
当社は最先端の情報技術を活用して社会にお役立ちできるITサービスを提供しております。
各事業分野のそれぞれの深い専門性に加えて、最新の情報技術を扱っているので、個人投資家の方々にはなかなか事業内容をご理解頂くことが難しいのではと考えまして、当社のサービスや情報技術に親しんで頂くため、コンテンツには色々と工夫しております。

事業分野

(図表:「テクマトってなに屋さん?」より当社で一部加筆)

―― 御社の事業内容、あるいは今後の成長戦略を理解する上でポイントとなるキーワードなどはありますか?

森脇:
様々な業界のお仕事をさせていただいておりますが、共通しているのは「セキュリティ&セイフティ(安心・安全・快適)」「クラウド」がキーワードであると思っております。

―― わかりました。それでは一つずつおうかがいしていきたいと思います。
まずは「セキュリティ&セイフティ(安全・安心・快適)」についてお聞かせください。

森脇:
まずはこちらの漫画をご覧ください。

よくわかるマンガシリーズ「ここがスゴイ!編」より)

情報基盤事業では、私たちの社会インフラとなったインターネットを安心・安全に使って頂くための技術とサービスを提供させていただいています。

最近、インターネット上の脅威やそれにまつわる事件が報道されております。
ネットワークやシステムへの不正侵入(ユーザ認証や保存ファイルの監視・制御など)やネットワークを介したサイバー攻撃などの脅威への備え(ウイルス、スパムメール、フィッシングなど)はもちろん、インターネットサービスが停止せずに安定的に使えるための機器、例えばシステムに大量のアクセスがあった場合のトラフィックの交通整理をする「負荷分散装置」――これは当社が強みとする分野の一つですが――なども含めた、幅広い範囲の安全・安心の要望に対応できるのが当社の特徴のひとつです。

セキュリティアプリケーションインフラストラクチャ

(クリックして画像を拡大:「7つのソリューション」より引用)

―― 御社の役割は、こういった機器を見繕い、仕入れ、販売するという部分になるのでしょうか?

森脇:
うーん、少し違いますね。
当社は、単に機器を販売するだけでなく、機器に関連するシステム設計、保守や運用・監視サービスなどを一緒に提供させていただいています。
そして、単純に設置すればよいという機器よりも、むしろ設計、設定や調整などに高度なノウハウが必要なもの、技術的に難易度の高いものを積極的に取り扱うことで、他社さんとの差別化をしているところがあります。

負荷分散装置についても、導入にあたってお客様から「サーバの処理速度を考慮して、ロードバランシング(負荷分散)させるにはどうしたら良いですか」、「どういったセキュリティの装置を、どのように導入すれば社内のセキュリティが担保できるでしょうか」といった、活用に関する専門的なご相談を受けます。
単に機器を納入するだけの商社的な会社では、こうはいきません。

そういったご相談を経て設計をし、製品を見繕って、販売をしてサポートをして…1件1件非常に丁寧に仕事をさせていただきます。
だからこそ単純な価格競争に陥らないし、その後の保守や運用・監視等についてお客様と長期間にわたるお付き合いをさせていただけるものだと考えております。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― こちらの漫画で言うと「技術力」の部分ですね、
「目利き力」があると書いてありますが、これは具体的には?

よくわかるマンガシリーズ「ここがスゴイ!編」より)

森脇:
そうですね。私どもは元々ニチメンデータシステムという、総合商社のニチメン(現「双日」)の情報部門から派生した会社です。
海外製品の輸入販売というのは私たちの会社のDNAに組み込まれています。

現在取引している会社は、セキュリティ分野ならRSA(現EMCジャパン)、マカフィー、日本アイ・ビー・エムなどです。これらの米国メーカがいわゆる勝ち組企業であり、彼らの積極的なM&A(合併や買収)戦略により、米国メーカの取扱い製品が広がっていきます。
その企業から一次代理店として仕入れが出来るポジションを確保しています。勝ち組企業の非常に恵まれた商材ラインアップの中からお客様やそのニーズに合わせて選択してきたことで、目利き力が磨かれています。

―― その目利き力、技術力、サポート力が情報基盤事業の業績にも反映していると。

森脇:
はい。やはり、いい製品を選び、いい保守を提供してくれる、そういったお客様のご評価が大きな差別化要因であり、保守契約の増加(ストックビジネスの強化)にもつながっていると思います。

Q3: 事業環境をどう見ていますか?また、それに対応する成長戦略は?

―― なるほど。安定的に収益を確保できる事業があるというのは頼もしいですね。
ところで“セキュリティ”の観点から情報基盤事業が伸びている背景について
改めて整理していただけますか?

森脇:
直近で申しますと東日本大震災後の企業のBCP(事業継続計画)の見直しが大きいですし、引き続き大手企業や政府機関へのサイバー攻撃が増加していることから、セキュリティ製品に関連する設備投資需要は引き続き旺盛です。このあたりが背景にありますね。

(クリックして画像を拡大:2012年3月個人投資家様会社説明会資料P10-11より)

―― わかりました。次にもうひとつのキーワードである「クラウド」について、お伺いします。

森脇:
情報基盤事業では、ここ最近、クラウドサービス事業者やデータセンター事業者がクラウド需要の高まりで設備投資を積極的に行っております。クラウドサービスを始めるときには、大規模な設備投資が発生します。――特にセキュリティに関連する機器が必要となりますので、それを当社から納入させていただいています。また、先程申し上げましたとおり、機器納入後は保守や運用・監視等のサービスも発生しますので、継続的な事業拡大を見込んでいます。

一方、アプリケーション・サービス事業では、当社が従来から販売していたシステムをクラウドサービスとして提供しております。これは企業のIT投資の方向性が、設備の「所有」からサービスの「利用」へと変化している傾向を捉えたものです。

―― なるほど。ここで、アプリケーション・サービスの事業内容とクラウド化、両方を併せてお話いただいて良いでしょうか?

森脇:
はい。
当社はもともと、データベースを使ったシステム開発に強かったので、それを活かした受託開発を行っていました。それが例えば医療やCRM(編集室注:Customer Relationship Managemant:情報システムを使って顧客と関係を構築する仕組み)のお客様につながって行き、そこを深堀りした結果が、現在の「医療事業」や「CRM事業」になっています。

CRM事業や医療事業では、自社開発したソフトウェアをそれぞれ「Fastシリーズ」、「SDSシリーズ」として提供してきました。これらをさらに発展させ、クラウドサービス(SaaS: Software as a Service)でもそれぞれ「FastCloud」「NOBORI」として提供しています。

クラウド事業の強化 ①「SaaS」

(第29期第2四半期 決算説明会資料 P15より引用)

―― CRMというのは、冒頭で説明された図表の中の「コンタクトセンター」、医療というのは「医用画像」ということですね。今までシステムとして買取(オンプレミス)で提供していたものをサービスとして提供される方向であると。
まずCRMについてお伺いしたいのですが、この分野には大変多くの企業が参入している中で、御社が扱っておられるこの「Fastシリーズ」の特徴や強みは何ですか?

森脇:
何と行っても、コールセンター大手のベルシステム24さんとの協業によりそのノウハウを製品開発に取り込めているということが大きいですね。
コールセンターに電話が入った時のコールトラッキング(編集室注:コールセンターに着信した電話に対してお客様のお名前、住所、電話番号、過去の通話内容などの履歴情報を電話オペレーターの使用しているPCに表示させるシステムのこと)から、オペレーターが対応し、対応しきれない場合は上席のスーパーバイザーが返答すると、そういった一連の対話の履歴を記録していくその動き、つまり、まさにベルシステム24さんが培ってこられたノウハウをシステムにしたものが、この製品なのです。

この分野には海外の競合製品などもありますが、当社の場合は「うちはベルシステム24さんのノウハウを元に作っていますので、日本のコールセンターのオペレーションに一番合っているシステムですよ」とご説明できるところが、差別化要因としては一番大きいところだと思います。

―― なるほど、それは強みとなりそうですね。
ところで、このFastシリーズをどのようにクラウド展開されているのですか?

森脇:
今、一番考えているのはソーシャルネットワーク対応ですね。
最近では、製品や会社に対する評判や良い・悪いの評価はソーシャルネットワークの中にありますから、その中のデータを抽出してFaskHelpの中に取り込んでいくといった取り組みを進めています。

―― いわゆる「アクティブサポート」ですね。
問い合わせが来ている、あるいはクレームが入っているわけではなくても、ソーシャルメディアで困りごとや不満が書かれていたら、それを積極的に拾ってサポートすることも先々見ておられるということでしょうか。導入社数は増えているのですか?

森脇:
そうですね。現在、NTTデータさんのBizXaaS®クラウドへOEMでご提供しています。

NTTデータさんは、自社でもCRMソリューションはお持ちですが、当社のサービスも良いとご評価をいただきまして、どちらかを選べるようにしていただいております。

―― なるほど。医療事業についてはどのような取り組みをされているのですか?

森脇:
医療分野全体の市場規模としては、人口が減少し、病院の数も減っているわけですから、減少傾向にあります。しかし、診療報酬の改訂や医療情報の外部保存ができる規制緩和が大きな商機となっています。

以前は病院の外部で医療情報をデータで保管することはできなかったのですが、今はデータセンター内、病院の外部での保存ができるようになったことで、この分野でのクラウドサービスへの期待が高まっています。
当社もこの機会をとらえて「NOBORI」というサービスを立ち上げました。

―― 医用画像の分野では超大手の医療機器メーカなどが競合になると思いますが、クラウド化が進んでいくことで競争のルールが変わって、今までの市場シェアや順位が変わってくる可能性があると思います。その意味でも、御社にとって好機であると言えるのでしょうね。

森脇:
はい、医療分野については特にそのように思います。

Q4: 個人投資家の皆様にひとこと、お願いします。

―― 最後に個人投資家の皆様へ、メッセージをお願いします。

森脇:
情報基盤事業においては、インターネットの脅威が増々高まっているため、当社がお取引をしている企業さんは安全対策を皆さん行われるようになり、その結果、お取引が広がっています。

アプリケーション・サービス事業においては、クラウド需要の高まりにより、CRM分野や医療画像分野でもクラウドを使うといった市場ニーズの大きな変化が起こっている時期で、これまで培ってきた日本市場で強いアプリケーションを、強力な販売パートナーと広げていけるポジションにあります。
積み重ねてきたものが時代の変化にマッチしているという手応えを感じています。

一方で、当社の事業は外の方々から見ると事業内容の専門性が高いこと、最先端のIT技術を利用していることなどからご理解頂きにくい部分があると感じております。
今後も分かりやすくご説明するために、今回いくつかご紹介した漫画を作成したり、説明会資料もできるだけわかりやすく作ったりの工夫もしていきます。

今年(2012年)9月からは株主優待も開始しておりますので、そういったきっかけで、あるいはこのインタビューをきっかけとして、より多くの個人の方々に当社をご理解いただけましたら嬉しく存じます。

また、2012年11月28日、自社株式取得の実施と東証一部銘柄への指定申請を発表しております。自社株式取得は株主の皆様への還元策です。また、当社の株価はもっと高く評価されるべきという株式市場に対する強いメッセージとも考えております。
これと合わせて東証一部銘柄への指定を発表させていただきました。継続的な業績拡大、企業信用力の向上に今後も努めてまいります。よろしくお願い申し上げます。

―― 本日はありがとうございました!


(編集室注)
2012/12/17 にテクマトリックスさんの個人投資家説明会資料が公開されました。
併せて読むと、もっとテクマトリックスさんが理解できます!