都心を中心にこだわりのマンションを提供している株式会社サンウッド
「売りやすいマンション」ではなく、「住んで良かった」と思えるマンションを提供したいと思ったから、企画開発・販売を全て自社で行なっているそうです。

(マンションは企画開発・販売それぞれ別会社で行うことが多いそうです)
それも、わずか50名で用地の取得から販売まで行う、驚きの少数精鋭。

自社のマンションに込められた哲学、そしてこだわりとビジネスの両立をいかに実現するか、同社企画・財務部の明石さん、河島さんに伺いました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

―― ホームページを拝見しますと、分譲、仲介、リフォーム等の事業が記載されていますが、この中でどの事業がメインとなっているのでしょうか?

河島:
「分譲」です。当社は新築分譲マンションの企画・開発、販売が事業の中心となっています。直近の決算(2012年3月期)では、「不動産販売」にセグメントされるこの事業の売上が全体の98%ですから、ほぼすべてであると申し上げて良いかと思います。

明石:
当社は、基本性能の高いマンションを作りたいという想いから創業した会社です。
当時は、世の中には必ずしも品質が十分でない物件が多かったこともあり、マンションは“一戸建てを諦めた人たちが選ぶ住居”と見られがちでした。
しかし、マンションで当たり前だと思われていた“常識”を打ち破り、都市生活者に必須ともいえる高品質の住宅を、住宅地にふさわしいエリアで開発、販売したいと考えたことが始まりです。

そのため事業も「マンション分譲」が大部分を占めるシンプルな構造ですが、分譲戸数の増加に伴い、お住まいになってから必要となる「リフォーム」や「仲介」等のサービスも開始しております。

今期以降の主な分譲予定物件

2012年3月期 第2四半期決算説明資料 P18-19 図を一部修正)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― マンションは“一戸建てを諦めた人たちが選ぶ住居と見られがち”とのお話がありましたが、なぜそのようになっていたのでしょう?

明石:
かつてマンションは住宅を大量かつ安価に供給するという使命もあり、供給者側の事情が優先された結果、同じような間取りが並び、住む方々の快適さやプライバシーは犠牲にされてきたと考えています。
また、販売者と開発者は分離しており、「完売すること」が目標になった結果、買いやすいマンションが多く供給され、「戸建を買えない人が買うもの」になっていました。

当社は、こういった「供給者の論理」ではなく、消費者、お客さまが住んでよかったと思うマンションを作りたいと考えています。
〜集合住宅から「集戸」住宅へ〜というスローガンは、都心部の住環境が良い場所に戸建てのような快適性を持ったマンションをお届けしたいという私たちの想いです。その実現のためにブランドポリシーを策定し、製販一体で事業に取り組んでいます。

用地の取得から企画開発、販売、アフターサービスまですべてを一貫して対応し、お客さまに理想の住環境をお届けすることにこだわり続けていることが最大の特長でしょうか。

河島:
一番のこだわりといえば、共用廊下に直接面した窓のある居室を作らない(=「プライバシー1st」)という理念を掲げ、現在までずっと守り続けていることだと思います。
「こんなマンションは作らない」といった約束事を明示しているのは珍しいかもしれません。

―― 共用廊下に直接面した窓のある居室、ですか。割とよく見かける気がしますが、なぜをそれを作らないと決めたのですか?

明石:
たとえば、下の図面で「従来のマンション」としてお示ししたような部屋の場合、共用廊下側の部屋にも窓がないと建築基準法上「居室」として表示が出来ませんので、廊下に面した窓を作るんですね。
ですが、そこは共用廊下ですから当然人の影が見えたり、気配を感じたりしますので、結局は開けることができない、閉めっぱなしの窓になってしまいます。

これって当たり前かもしれませんが、住んでみて初めてそのデメリットに気付かされるのではないでしょうか。
それでも住戸を横一列に配列し、「全戸南向き」と謳った方が売れ行きも良いため、南側と北側に居室を作るケースは良くあります。同じような部屋を作る方が効率もいいですしね。

こういったプライバシーが守られていない、セキュリティの弱い構造に疑問を持っていたため、まず初めにこのようなマンションは作らないと決めました。
そして、プライバシーを確保するために、例えば1つのエレベーターを2~4戸くらいで使うように住戸を配置し、共用部の廊下と専有部の自分たちの住まいとの間の区切りを明確にしました。

プライバシーの確保

2012年3月期 第2四半期決算説明資料 P26 図を一部修正)

河島:
その他に、バルコニーでも隣との間の壁をコンクリートにしてしまう、もしくは隔て板を通常より30㎝高くして隣が見えないようにすることや、天井を高くして室内空間にゆとりを持たせることなどの本質的な性能を重視したマンション作りを行っています。

―― 天井高を高くすることもこだわりのひとつですか?

明石:
はい。どんなに面積が広くても天井が低いと部屋は狭く感じてしまいますし、将来のリフォームを考えた場合には、二重床や二重天井にしておく必要があります。そういったゆとりを確保するためにも、階高を高く取るようにしております。

2012年3月期 第2四半期決算説明資料 P27より引用)

―― リフォームされることが前提なのですね。

河島:
そうですね。戸建ての場合はすべて自分の思い通り変えることができますが、マンションは構造部分が共用部となりますので、構造部分の後からの変更は難しくなります。
せっかく建物の寿命が長くても設備が古くなってしまっては快適性が低下してしまいますよね。
集合住宅の安全性や利便性に戸建ての良さをプラスしたマンションを作りたい、というのが私たちの考え方ですので設備もいつまでも使い易いものを使って頂きたいのです。
また、家族構成等の変化があった場合にも、間取り変更等のリフォームによって対応し、末永く快適に住んで頂きたいと考えております。

もちろん、リフォームだけでなく、引き渡し前にお客さまの設計変更のご希望に応えるようにしています。
住まいは万人にとってベストというものはなくて、お客さま一人ひとりのライフスタイルや好みによってニーズは異なります。コンセントやダウンライトの位置変更などの小さなものから、間取りやキッチン・浴室の移動などの大きな変更まで対応する「オーダーメイドプラス」というシステムで、お客さまの希望にそった住まいづくりをサポートしています。

間取りや仕様・設備の変更の行いやすいマンションを、専門用語では可変性の高いマンションといいますが、そのようなマンションならお客さまの要望にも応えることができ、また、資産価値を考えた場合もポイントになると思います。

オーダーメイドプラス

(参考:ブランドポリシー「オーダーメイドプラス」

―― 実際に仕様や間取りを変更することは多いのですか?

河島:
多いですよ。当社の分譲事例では、設計変更受注率は62%!多くの物件で引渡し前の設計変更を実施しています。まさに「集戸」住宅ですね。
「製販一体」の特性を活かし、営業や建築の担当者がお客さまから直接ご要望をお伺いし、間取りを変えることができます。

明石:
住まいのプライバシーやセキュリティはしっかりと。間取りについては可変性を高めておく。そういった構造面をしっかり作ることが、サンウッドが考える「質の高さ」です。
内装を派手にするとかそういった表面的なことではなく、後から変えることのできない基本構造をしっかり作ろう、というのが大きな特長です。
その分、どうしても原価は高くなってしまうのですが…(苦笑)。

編集室注:
サンウッド社は「ブランドポリシー」に基づく住まいづくりをしておられます。
ここでご紹介した以外の内容はこちらからご覧いただけます。

―― 原価と言えば、先ほどの共用廊下や階高、天井高の件もそうですね。
あと1部屋、2部屋を作ればもっと収益があがる、という中でも、あえて優先しているということですよね。

明石:
もちろん、そのために建設費が上昇してしまうことや、もう少し階高を低くすればもう1フロア高く作れたのに、といったことは常にあります。

ですが、それではどちらが良いのかと言われれば、やはり他人の目が気にならず、天井も高いほうが良い。ならばそれを守っていこう、というのが私たちの考え方ですし、社員もそこは当社の使命だと思って頑張り続けています。

―― 「高品質の住宅」とおっしゃっているその意味は、だいぶわかってきました。
もう一点、冒頭で「住宅地にふさわしいエリアで開発、販売」というお話がありましたが、具体的にはどのような地域なのですか?

河島:
東京都心部においては港区や渋谷区が多く、その中でも白金、松濤などの由緒ある住宅地や赤坂などの利便性の高い場所が中心です。
また、都下であっても吉祥寺など住みたい街として人気の高いエリアで開発をしております。

――  高い品質のマンションに、プレステージ感のあるエリア。
となりますと、お客さまも年齢や所得の高い方が多そうですね。

河島:
はい。一般的なマンション購入者層と比較しますと、二次取得者と言いまして、買い替えや買い増しのお客さまが多いですね。
お住まいのマンションに満足できなくなった方や、子供が独立したので2人で住むマンションに引っ越したいといった方々ですので、当社のお客さまは、購入時の年齢は40歳以上、購入前住居が持ち家の方々がそれぞれ半数以上を占めております。
そのため、平均年収が2,000万円以上という方も多くいらっしゃいます。

――  サンウッドのファンになって下さる方も多いのでは?

明石:
そうですね。お知り合いの方をご紹介下さったり、あるいは賃貸用やお子様の独立に備えて買い増しをされるお客さまも結構いらっしゃいます。

私たちとしてもこれまで以上にお客さまとのつながりを深めていきたいと思っています。
例えば、入居後にこんなサービスはいらなかった、こんな設備があれば良かった、そういった声は吸収してきたのですが、全物件で伺えた訳ではありませんので、そこはもっと徹底していきたいと思っています。

また、戸建てなどは施工者さんと連絡を取り合っていて、「10年たったからちょっと外装を頼むよ」と連絡しやすいケースもあると思います。私たちも気軽に頼っていただけるように常にコミュニケーションを図っていきたいと考えています。

そういった意味で、今年の4月には「サンウッドオーナーズ倶楽部」を立ち上げました。
まだメールマガジンやハウスクリーニングなどの情報をご案内したり、バースデイプレゼントを送るなどの活動にとどまりますが、居住者さま同士の交流を図ったり、暮らしをちょっと豊かにするサポートなどを提供して、お客さまとの関わりをもっと密なものにし、お互いに顔がわかるような関係になっていくことが理想ですね。

(クリックして画像を拡大 : 2012年3月期 決算説明会資料 P25より引用)

Q3: 事業環境とその対応は?また、株主への取り組みは?

―― 基本的な戦略については非常によくわかりました。
それでは、今後の成長のためにはどのような戦略をとっていくのか、その点についてお話いただけますか?

明石:
不動産は景気に左右されやすい業界ですから、残念ながらリーマン・ショックのような事態が起きた時に影響を受ける可能性は高いです。
あるいは、東日本大震災の後に、お客さまがタワーマンションを避けるようになった、そういった事態も現実に起きていますし、その影響は、当社のように分譲事業専業でやっておりますと大きくなることも事実です。

昨年が大きな赤字となってしまったのは、リーマン・ショックの前に将来の採算悪化を懸念して計画中の分譲予定物件の土地を売ってしまったため、昨年度に完成しお引渡しする物件がなくなってしまったことが主因です。
売上高を確保することばかりを考えると事業継続できない可能性もあるため、そういった変動があり得るというのは株主さまには理解していただきたいと考えています。

もちろんその分、私たちは出来る限り安定的な配当を行うことで還元したいと考えています。着実に利益をあげていくことで配当を高める、マイナスが出たとしてもできる範囲で還元していくというのが、一番当社の身の丈にあったやり方なのかなと思っています。

現在株主になってくださっている方々も、そういった点をよくご理解いただいた上で長期ホルダーとなっていただいている方や、そもそも当社のマンションの購入者でいらっしゃるケースも多いです。
私たちとしましては、そういった方々のご理解とご信頼を得ながら、「いいマンションを作りますから、これからも応援して下さい! 評価される企業になれるようもっと頑張ります」というスタンスで、お客さまとも株主さまともお付き合いをしていけたら理想的ですね。

―― 長期ホルダーの方々が多いのですか?

河島:
株主総会にいらっしゃる方々は長期ホルダーが多いですね。
ご質問いただく内容もひやかしとか批判ではなくて、「これはどういうことなんだ」とか、「もう少しこうした方がいいんじゃないか」とか、「IRをもう少しやって夢を語って面白い会社にしてくれ」とか、企業を応援するような、ステークホルダーならではのご意見を下さる方が多くて、すごいなと思いますし、私たちとしてもそういった方々にはしっかり応えていきたいですね。

明石:
私自身が営業を担当していた頃、モデルルームに「株主なんだけど」と言って見学に来られる方もおられましたし、現在の部署に異動してからは株主総会などでお顔を拝見して「あ、この方はご購入者だ」と気づくことはよくあります。そういった方のご質問は、やはり深みがありますね。

ですがもちろん、ご購入者でない個人の投資家や株主の方々も大歓迎です。
IR活動も広い意味ではPR活動の一環ですから、そこで当社の考え方や物件の特長などを知っていただくことは重要だと思っています。

―― 本日はありがとうございました!