薬を作っているのは、テレビでも有名な巨大製薬会社だけだと思っていませんか?

規模は小さくても、まだ根本的な治療薬がない、ドライアイ・アトピー性皮膚炎のという巨大市場に向けた治療薬を開発する、株式会社アールテック・ウエノ

しかも、創薬ベンチャーでありながら、黒字経営

ビジネスマネジメント部の中村さん・早野さんに、なぜ眼科と皮膚科なのか、10年から20年近くもかかる「創薬」とはどんな業界なのか、詳しく伺いました。(前後編でお届けします)

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Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する成長戦略は?

中村:
「RU-101」の対象疾患であるドライアイは、グローバルで1,500億円の市場があると言われています。しかも目を酷使する機会が多くなった現代社会の環境を受けて過去5年間では約2倍に伸び、今後も年率10%の成長が見込まれる成長分野となっています。

研究開発中の医薬品のうち、今年度(2012年度)特に力を入れているのは、
-RU-101:重症のドライアイ
-RTU-1096:アトピー性皮膚炎
の2つですが、後者のアトピー性皮膚炎もやはり、成長市場です。

患者数は日本だけで600万人、米国では1,000万人と言われ、増加傾向です。
現在の治療方法である外用薬(塗り薬)の市場規模は約350億円とされていますが、アトピー性皮膚炎に限らずアレルギー反応が原因で起こる「アレルギー性疾患」は世界的に増加傾向です。

―― アトピー性皮膚炎治療薬「RTU-1096」について教えていただけますか?
これはどのような点が新しいのでしょう?

アトピー性皮膚炎治療薬「RTU-1096」について

中村:
アトピー性皮膚炎も、ドライアイと同じく対処療法的な治療法しかない分野です。アトピー性皮膚炎の主な治療薬は塗り薬、しかも副作用が色々あると言われるステロイド系*が大半です。
一方で、患者さまの数は多く、増加傾向にある。
ですから、本当によく効いて、かつより副作用が少ない薬が求められている疾患なのです。

当社が開発中の「RTU-1096」は――まだ非臨床段階ですのではっきりとは申し上げられませんが――従来の薬とは作用機序(メカニズム)がまったく異なる(いわゆる「ファースト・イン・クラス」)ほか、安全性の高さがひとつの特長になると思います。
また、飲み薬(経口薬)ですので、従来のステロイド剤を全身に塗布するような治療と比べて、患者さまの生活もぐっと楽になりQOL(生活の質)の向上にもつながると思います。

来期にはフェーズ1に着手する予定です。
「RTU-1096」は「ファースト・イン・クラス」ですし、市場規模も大きいですから、もしかするとフェーズ1段階でも良い条件で導出できる可能性があるかもしれません。

―― 先ほど、アトピー性皮膚炎を含む「アレルギー性疾患」は世界的に増加傾向とおっしゃいましたが、「RTU-1096」も、アトピー性皮膚炎以外の治療への展開をお考えなのでしょうか?

中村:
はい。もちろん、非臨床段階ですからまだまだ先のことではありますが、炎症を伴うような病態だったら色々と効くのではないかと。アトピーをはじめとして色々な適応ができるかもしれないと期待を持っています。

 

Q4: 今後の成長を見据えて取り組んでいることは?

―― 今後5年間を見た時の成長シナリオを教えていただけますか?

中村:
2016年度までに5つの開発品について、前期第2相臨床試験(フェーズ2a)まで完了させ、順次、有望なグローバル製薬企業に開発権、商業化権を導出(ライセンスアウト)していきます。これにより、ライセンス収入、ロイヤリティ収入を得ながら毎年の増収を図り、2016年度には売上高100億円を目指します。

研究開発については、レスキュラ®とAMITIZA®の2品目による安定した売上の約30%を目処に効率よく先行投資し、着実に利益を出していく方針で、利益を度外視して際限なく研究開発投資することは考えておりません。

成長戦略と研究開発

(クリックして画像を拡大 :第23期 株主通信 「05 アールテック・ウエノの成長戦略と研究開発状」より引用)

 

―― 今までのお話を総合すると、大変期待できる気が致します。
それでは最後の質問なのですが、個人投資家向けIRはどのような方針で臨んでおられるのですか?

中村:
当社は、現役の医師でもある社長が、患者さまの視点で本当に求められる薬を生み出そう、皆さまの生活の質(QOL)の向上のお役に立ちたいとの気持ちで医薬品の開発をしている企業です。
ですから、IRでは、投資家さまの目線で見た時に当社の何をお伝えしたら良いだろうかということを常に考え、ブラッシュアップしていきたいと思っています。

早野:
前回の株主通信(第23期)については、投資家さまが一番気になるのはどういうことだろうかを考えて、そこにフォーカスした内容としました。

やはり一番気をつけているのは、株主の皆様がこの冊子を手にされる頃――当社は3月決算ですので6月末の株主総会後に発行しているのですが――、その頃には皆さま将来のことを見ておられますから、社長メッセージについても、前期のこういった結果を踏まえて今後はこうやっていきますとか、今はこういったステージですので、このようなことをやりますといった内容を中心に、将来の当社の姿がわかるようなものを作りたいですね。

当社もまだIRは3年目ですのでまだまだ課題はありますが、私としては毎年、常に全力を尽くしながら少しずつ成長させていきたいと思っています。

中村:
当社の場合、冒頭でお話致しましたように「黒字経営」なのは良いのですが、なまじ収益があるばかりに、研究開発投資による利益の増減で株価が上下してしまうのが悩ましいところです・・・(苦笑)。

当社は基本的には創薬ベンチャーですので、本日ご紹介したドライアイやアトピーの開発が進んできましたらガラリと局面が変わる、そういった中長期の成長を楽しみに、配当を受けながら気長に株を保有していただけましたら幸いに存じます。

―― 本日はありがとうございました!