「リゾート地に別荘を持つ」。広告で見かけるたびに憧れます。
日本におけるリゾート会員権ビジネスのパイオニイアである リゾートトラスト株式会社。業界内のシェアは72%と圧倒的です。

ビジネスとして考えると、物件の分譲収入だけでなく年会費(施設運営費)が固定収入として入るストックビジネス。収益構造から見ると、ホテル経営というよりは不動産販売・管理事業に近く、非常に安定した経営だと初めて知りました。

新規の顧客のうち、なんと約9割!が既存顧客からの紹介とのこと。
そのロイヤリティーの高さの秘密から、メディカル事業など、さらなる事業展開まで、お話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい

IR担当:
当社の主要なビジネスは、リゾートホテルを中心とした会員制の事業です。
リゾートトラストという当社の社名はご存知なくとも、主要ブランドである「エクシブ(XIV)」の名前は聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

エクシブ京都 八瀬離宮 グランドエクシブ軽井沢

(クリックして画像を拡大)

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40年前、日本で最初にこの業態を開始して以来、おかげさまで会員数も年々増加し、現在は14万人を超えています。
業界内のシェアは約72%と、圧倒的1位を維持しております。

売上高・営業利益、会員数の推移

(クリックして画像を拡大:「中期経営計画「Next40」策定について」P6より引用)

―― 右肩上がりですね…!その秘訣はどこにあるのでしょうか?

IR担当:
実は40年前、当社がこの事業を開始した当時は、「日本はリゾート経営には向かない」という見方が大勢を占めていました。
日本では四季の変化にともなって宿泊施設の稼働率は大きく変動するので、(宿泊費だけで)高い建設費や人件費をまかなうことが難しいだろうと考えられていたのです。

この課題を解決するために取り入れたのが「会員制」です。 不動産部分を会員へ売却し、投下資本を会員にも負担して頂くことで、経営リスクを減らしました。
会員の皆様はホテルの運営、維持管理を当社に預けることで、別荘を持つよりも手軽にリゾートホテルを所有できるというWin-Winの仕組みを構築しました。

「タイムシェアリングシステム」「エクスチェンジシステム」といった、会員にとって魅力のある独自の利用システムを取り入れたのも成功要因と考えています。

欧米タイムシェアビジネスとの違い ~独自のリゾートビジネス~

(クリックして画像を拡大:「2012年インベスターズガイド全文」P6より引用)

―― エクスチェンジシステムとは何ですか?

IR担当:
当社は、ゴールデンウィークなどの大型連休や土日といった、宿泊希望が集中する日をあらかじめ公平に割り振り、絶対に使える日である「占有日」というものを作っています。ただし、その占有日は都合が悪いという場合もありますので、そういった場合に、会員同士で占有日を交換して使うことができるのが「エクスチェンジシステム」です。

―― それは便利ですね。でも、どうやって会員間で交換するのですか? 個別に連絡を取り合うのは難しいですし…。

IR担当:
使わない日を当社にお預けいただくだけでよいのです。
施設はすべて当社が運営していますので、日付を変えたり施設を変えたり、色々な形で条件を変えて会員同士の占有日を交換し、使って頂いています。さらに、利用予定のない部屋は1ヶ月前からは先着順で利用可能になる「フローティングシステム」もあります。

―― そういったシステムがあって、なおかつ色々な施設を使えるのは確かにお得感が高いと感じます。
今、どれぐらいの数のホテルがあるのですか?

IR担当:
43施設(内、会員制ホテルは37施設)です。
各施設のコンセプトは、アメリカントラディショナル、コロニアルスタイル、クラシックモダンなど、お客様に飽きが来ないようにそれぞれ変えております。

これまでは洋風の施設が中心だったのですが、2014年春、三重県の鳥羽で着工する予定の「エクシブ鳥羽別邸(仮称)」は、当社初の純和風建築となります。一万坪くらいの敷地に回遊式の日本庭園、天然温泉の露天風呂がある、120室規模の広々とした施設となる予定です。

完成予想図:エクシブ鳥羽別邸(仮称)

当社では、サービスなどのソフト面だけでなく、施設の開発というハード面においても、会員の方々からの「こういう施設が欲しい」「この場所にあったらいいな」といったお声を取り入れ、立地としても大都市から2~3時間で行けるところを中心に選定しています。

―― それだけの土地をまとまった規模で調達されるのは大変ではありませんか?

IR担当:
そうですね、ただ、郊外の立地ですので土地の価格自体はそれほど上下しません。ですから、いい土地があれば先にある程度取得しておくということもしています。現時点でも鳥羽を入れて7カ所、ホテル開発用の土地を持っています。

―― では、2016年春開業予定の「エクシブ鳥羽別邸(仮称)」を皮切りに、6箇所は順次新しい施設が建っていくということですね。 会員さんとしては楽しみですね。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 先ほど、会員数が右肩上がりで増加しているグラフをお示し頂きましたが、それは加入した会員さんが基本的にあまり退会せず、新規会員も増えているということを表しているのでしょうか?

IR担当:
もちろん新規会員の増加もありますが、大きな要因としては、当社のエクシブが分譲方式ですので、会員様の権利は永久のもので、亡くなられた場合も相続されますので、会員であり続けることになります。

―― なるほど、会員数は毎年積み上がっていく「ストック」なのですね。そして、個人の方々からすると貴社の会員権は資産になる。
となると、会員の方々からすると気になるのはその資産価値かと思います。たとえば、建物のメンテナンスについてはどのように予算を確保しておられるのですか?

IR担当:
その点はご心配ありません。
当社の場合、物件購入時にお客様にお支払いいただく預り保証金(総額の約10%)を30年間、年7.4%の定率で毎年償却し、収入に計上して修繕等の支出に充てています。つまり、メンテナンス予算は予め確保されているのです。

そしてご指摘の通り、建物の資産価値を維持していくために、お客様に利用して頂く為に細かなメンテナンスが必要と考え、行なっているのです。

基本的なビジネスフロー

(「2012年インベスターズガイド全文」P7より引用)

さらに申し上げますと、当社の施設の場合、運営するのも当社です。ですから、施設の運営管理費――フロント周りなどの当社の人件費をカバーするために毎年頂いている会費も、固定収入となっています。

―― 御社には、保証金の償却収入と年会費という固定収入がある。そこは一般の宿泊施設経営とは大きく違うところなのでしょうね。

IR担当:
はい。一般の宿泊施設の場合、お客様がいらっしゃらない限り、収入が得られません。
当社の場合は固定収入がありますから、極端なことを言えば、お客様がいらっしゃらなくても、固定費をほぼ賄えるような収益構造になっています。さらに、お客様がいらっしゃれば、レストランでの飲食代、リネン使用などの実費を頂くことができます。

一般的なホテル経営との比較で申しますと、大きな違いがもうひとつあります。
ホテルを建てて固定資産として持っていますと、減価償却や税金などの固定費がかかりますが、当社の場合は建てた物件を分譲してしまいますので、そういった税金はそれぞれお客様に払って頂くことができます。一棟の建物の中で固定費の対象となるのは、当社の持分である約二割だけです。これらの収益構造が、安定した経営につながっているのです。

ホテル事業の損益構造

もちろん、(一般のホテルと同じく)稼働率の高さも重要です。
その意味では会員の高い満足度が不可欠であり、その実現のために、当社はハード、ソフトの両面からお客様の満足度を高める努力を続けています。それが当社のビジネスモデルですね。

―― 物件を分譲するということは、受け入れることができる会員数も決まってくるということになりますね。
つまり、成長のためには施設を建て続けていく必要があるということでしょうか?

IR担当:
確かにご指摘の通り、当社の場合はひとつの物件を建てると、口数、つまり増やすことができる会員数も自動的に決まってしまいます。
当社は意図的にそのようにしています。施設のキャパシティ以上の人数が会員になってしまっては、結局、会員の方々が「契約したのに使えない」という事態になってしまいますから…。

ですが、施設数を増やし続けなければ当社は成長できないのかと言えば、そうではありません。
当社はそのホテル事業だけではなく、ゴルフ事業やメディカル事業などもありますので、これらでも伸ばしていくことができますし、ホテルは立て替えなくとも適切な時期にリノベーションや改修を行うことで、長期によいものを維持していくことが可能です。

一方会員様のご利用は、20年~30年も経つと、さすがにもう利用されない方もでてくる。そういった場合には当社がまた会員権を引き取りまして、新たに販売、利用促進していくことで、収益を安定的に向上させることができます。

Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する成長戦略は?

―― メディカル事業の話が出たところで、今後の成長戦略についてお話をうかがっていきたいと思います。
国内では、おそらく現在の主要な顧客層である富裕層、その多くが高齢者になるかと存じますが、彼らがさらに高齢化していく中でどのような成長戦略を取って行かれるのでしょうか?

IR担当:
メディカル事業の重要性は一層増していくと考えています。
最先端の高度検診システムを備えた会員制の検診施設(山中湖、大阪・心斎橋、東大病院)で行っており、世界でも類を見ないPET検診実績を持っております。健康な時からきちんとメディカルチェックを受けていただき、早期発見に繋がっています。そして最先端のがん治療が受けられる施設とも提携しておりますし、高級介護付有料老人ホームもございます。

PET-CT トラストガーデン用賀の杜

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―― 至れり尽くせりですね…!

IR担当:
はい、そこはもう万全の体制を整えています。メディカル事業とシナジーのある事業として、シニアレジデンスなどの運営を行なっているシニアライフ事業も立ち上げました。

―― シニアレジデンスというと、他にも多くの企業が参入されている印象を持っているのですが、その中ではどのような点が御社の強みとなるのでしょうか?

IR担当:
当社の場合、エクシブ等と同じように、シニアレジデンスの中でも、やはりハイエンド向けの施設でございます。
確かに高級な老人ホームを経営しておられる企業は他にもございますが、富裕層向けという意味では競合は多くないと思います。

当社はもともとメディカル事業を展開する中で、今では約8000名の会員の方に高度な検診サービスを提供しており、最先端の医療ネットワークも構築してきました。そのため、お客様の年齢やライフステージに応じた様々なサービスを提供できることが強みであり、また、ホテル事業でソフト面のノウハウを蓄積してきましたので、その点が優位性になると考えています。

―― 成長戦略としては海外事業もあるとお聞きしましたが、これは具体的にはどのようなものになるのですか?

IR担当:
このメディカル事業とシニア関連事業がまずは中心となりそうです。
中国も日本同様に高齢化社会が進んでいますので、富裕層向け老人ホームのニーズは高いのです。まだ具体的にはお話できないのですが、中国での展開に向けて検討しております。

―― 中長期的にはメディカル事業と海外事業が御社の成長を牽引していくイメージになるのでしょうか?

IR担当:
会員制のホテル事業は安定した収入で当社の基盤を支え、成長はメディカル、海外が牽引していくという形になると期待しています。

―― 高齢化への対応という意味で、もう一点おうかがいしたいのですが、現在の顧客層は年齢や属性で言うとどういった方々が中心になっているのでしょうか。

IR担当:
年齢層としては、60代~70代が多いですね。属性としては、中堅企業のオーナー様や医者・弁護士といった方々が大半ですね。

―― そういった方々、いわゆる富裕層の高齢化、あるいは減少が徐々に進む中では、より若い層の顧客開拓も重要になるのでは?

IR担当:
おっしゃる通りです。今後は団塊世代などのアクティブシニア層や若い経営者層、準富裕層などの年齢的にもう少し若い方をターゲットとした商品を打ち出すことで、顧客層を広げるとともに、メインブランドへの入り口商品にもしていきたいと考えております。

―― 具体的にはどのような展開になるのですか?

IR担当:
エクシブシリーズのような高価格帯ではなく、購入しやすい価格帯で、カジュアルな施設を全国の観光地に増やしていきたいと考えております。できるだけ早く展開する為に、まずはM&Aで伸ばしていく形になると思います。

―― グレード感が違うと、現在のお客様の満足度が下がってしまう可能性もありそうですね。

IR担当:
ブランド名も変えて、全く別のラインで進めるつもりです。
また、これについては必ずしも会員制で考えているわけではなく、海外のお客様も増えていくことになるかもしれません。

日本に観光にいらっしゃる方々の数は、今後中長期的にもアジアを中心にどんどん増えると考えられます。その意味では、会員制ではなくとも広がる事業になるのではと考えています。

Q4: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。

―― 色々とお伺いしてまいりましたが、最後に、投資家の方々からこんな質問をよくされる、というものがありましたらお聞かせ頂けますか?

IR担当:
そうですね…。機関投資家、個人投資家、共通して皆さんがお聞きになるのは開発スケジュールですね。次のホテルの計画はどこですか?といった形で。
また、会員権販売のうち、不動産売上や原価は、未開業ホテルの場合には一旦繰り延べられ、開業時に一括して計上されるという会計上の特色があり、業績と連動する部分もあるため、開業スケジュールは注目されているかと思います。

個人投資家の方々に特有のご質問としては、ご自身が顧客になることを考えておられ、会員権の価格や老人ホームについても、施設の概要や満足度が高いことなどを個人投資家向け説明会で申し上げますと、「どこにありますか」「大阪にはいつ作るのですか」といったご質問を多く頂きます。

―― なるほど…。機関投資家さんからはどうでしょう?

IR担当:
開発スケジュール以外では、メディカル事業などの成長戦略について聞かれることが多いのですが、その他には、「御社は21年連続業界1位を維持しているが、なぜ皆真似しなかったのか」という質問はよく受けます。

―― 実際、なぜなのでしょうか。

IR担当:
もちろん、これだけの規模で毎年施設を開発している企業が他にないということもありますが、それだけではありません。
当社は新規のお客様の約9割が既存のお客様からのご紹介なのです。

それを可能にしているのが、当社の顧客満足度の高さであり、営業担当者とお客様との継続的な関係づくりです。これらは、外からは見えにくいのですが、当社の大きな強みですし、「21年連続1位」の秘訣でもあります。

―― ご購入の時だけ営業担当者が訪問する、といった形ではないのですね。

IR担当:
違います。当社は会員の方を財産と思っておりますので、密接な関係づくりを非常に重視しています。
この点、たとえば広告だけで営業をしておりますと、広告を出さなければ新規のお客様獲得は減ってしまいます。当社の場合、不景気の時などは、費用を抑える為に広告を出さなくても、紹介営業で安定的に販売をしていくことができるのです。

―― なかなか外から見えづらいけれども、大きな強みだと。
国内でこれだけ圧倒的なポジションになると、機関投資家としては海外の同業他社と比較するのでは?

IR担当:
同じような会社がないので比べるのが難しいとはよく言われます。海外でもこれだけのシェアを占めていたり、これだけの優良会員層を持っているという企業はなかなかないと思われます。

―― 非常に稀なポジションを取っていると。なるほど。
それでは、最後に個人投資家の皆様向けにメッセージをお願いします。

IR担当:
当社は国内で圧倒的なポジションと安定した事業基盤を有しており、メディカル事業やシニアライフ事業などの成長戦略にも注力しています。

2013年4月1日に発表しました中期経営計画「Next40」においては、より広いステージでお客様に新たな価値を提供していくことで、5年後(2017年度)の利益倍増を目指しています。

配当性向につきましても、30%以上と明示し、40%を目指す方針を申し上げています。この2013年3月期は50円に増配し、さらに“40周年の創立記念配当”でプラス5円を発表させて頂いております。このように株主還元もしっかりと行っておりますし、今後も皆様にとってより分かりやすい説明や開示に努めてまいりますので、ご関心をお寄せいただければ幸いです。

―― 本日はありがとうございました!