経営者には馴染みが深い「リース」。初期費用を抑えてパソコンやコピー機を導入するには、リースが欠かせません。そして、オフィス用品に限らずリースの範囲は医療分野まで!?広がっているようです。
40万社!の顧客を抱えるリコーリース株式会社

コーポレートコミュニケーショングループの渥美さんに、大量のリース審査を処理するノウハウ、そして、リースビジネスの広がりについて伺いました。
(同社のIRの充実度は非常に素晴らしく、是非IRサイトも見て下さい)

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

―― そもそも「リース」とはどのような業務なのでしょうか。

渥美:
オフィスや工場、医院などさまざまなお客様が設備機器――特に高額なものを導入される際に、それを私たちのようなリース会社が「お客様に代わって」購入し、比較的長期間にわたってお客様に貸し出すことをリースと言います。

購入ではなくリースを使うことによって、お客様は、「初期費用を少なくすることができる」「資産を所有しているわけではないので管理が楽」など、さまざまなメリットを得ることができますので、リースは設備投資の有力な手段として広く活用されているんですよ。

販売支援型リースのしくみ

(「リコーリースの基本」より)

―― 具体的には、どのような製品を購入する時にリースを使うのでしょう?
御社の場合ではどのような製品をリースすることが多いのですか?

渥美:
銀行など金融系のリース会社さんの場合は、航空機や船舶、工場(プラント)などの大型案件が多くなる傾向があるのですが、当社の場合は、リコーが作ったリース会社ということもありまして、コピーやプリンターなどの事務用機器や、パソコン・ソフトウェアなど比較的少額な情報関連機器が多いですね。

こちらの図にお示ししていますが、当社がリースしている製品全体のうち5割弱がリコー製品となっていまして、リコー関連以外も合わせると全体の約6割が事務用機器や情報関連機器が占めています。
そしてここが、この後お話する当社の強みにつながってきます。

はやわかり!リコーリース

(クリックして画像を拡大:2012年3月期(第36期) 事業報告書 :はやわかり!リコーリースより)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 事務用機器や情報関連機器のリースが多いことが、どんな強みにつながっているのでしょうか?

渥美:
ひとつは、こちらです。

(図表:2012年3月期(第36期) 事業報告書 :そもそもリースとは?より)

コピー機などの事務用機器や情報関連機器は景気変動などの影響を比較的受けにくく、安定した需要がありますが、一つひとつの設備の単価自体は決して高くはありません。

具体的に申し上げますと、当社の取引先平均契約単価は約190万円。中心値で言えば100万円前後のものが大変多くなっていますが、これはリース会社としてはかなり小さめの金額です。
一方、当社の場合、契約件数は非常に多いです。年間では約40万件もの契約を受け入れています。

―― 年間で約40万件ですか!申込や契約の手続きだけで大変な人手がかかりそうですが、どのように対応しておられるのですか?

渥美:
その点を解決するために、当社では「販売支援リース」という形をとっておりまして、基本的には販売会社様が物件の商談と同時に、当社に代わってリース契約を行うことが多いのです。
販売会社様のネットワークを活用することで、「少額・大量」の申込や契約も効率的にお受けできるのが営業面における当社の特長ですね。

リコーリースの販売支援リース

(図表:2012年3月期(第36期) 事業報告書 :リコーリースの販売支援リース)

―― なるほど。ですが、申込後の審査や契約後の事務処理などはやはり大変なのでは?

渥美:
そこは、ITを最大限活用しています。
過去のお客様のデータベースを使って制度を高めた「スコアリングシステム」(お客様情報を指数化(点数化)して評価する自動審査システム)をはじめとして、さまざまな業務システムを導入することで、高効率・高品質の業務プロセスを確立しているというのが、当社の第2の強みとなります。

 

―― 図の中に「中小企業比率98%」とありましたが、これも御社の特長ですか?

渥美:
はい、そうです。こちらの図でお示ししました通り、当社のお客様は約98%が中小企業(従業員数300名以下)です。

中小企業中心のお客様基盤

(「リコーリースの特長」より)

―― 中小企業が多いと貸し倒れも多い、ということはないのでしょうか。

渥美:
もちろん、貸し倒れがゼロということはありません。
ですが、少額・大量契約によるリスクの分散に加えまして、先ほどご説明したスコアリングシステムの審査基準についても改善を続けてきた結果、不況の時期においても貸倒率を低水準に留めることに成功し、健全な財務状態を保つことができています。

営業資産

(「リコーリースの特長」より)

実は、財務体質を優良な状態に保つことは、リース会社にとっては特に重要なのです。
リース業というのはお客様の代わりに商品を購入し貸し出すサービスですから、業績を伸ばすためには、その “購入の元手”となるお金が必ず必要になります。従って、借入や社債などで常に資金調達をし続ける必要があるわけですね。この時、財務状態が健全で格付を高く保つことができれば、それだけ有利な条件で資金を調達することができます。
この点、当社の格付けは大変高く、海外格付機関であるS&P社からもA格付を取得しておりますので、国内だけでなく海外からも好条件で資金調達できるという選択肢があります。

―― 資金調達コストが低いと、利益も多くなりますね。

渥美:
その通りです。リース会社の場合、5年以上の長期の契約とするため、もともと売上が安定しやすいという性質を持っていますから、利益を決めるのは、資金調達費用と貸し倒れ費用、この2つの費用をどのように抑えていくかにかかっています。
当社が17年連続増配を実現しているのは、それを実現してきた結果ということになるのですが。

―― リース業はなぜ売上が安定するのでしょう?

渥美:
リース業では、その年に契約した金額のすべてが当期の業績となるわけではなく、リース期間に応じて配分され、計上されていきます。つまり、(リース契約の標準的な期間である)5年間に獲得した契約の平均ぐらいの金額が当期の売上となりますので、各年度の契約に多少のアップダウンがあっても、5年間の平均にならされて全体としては安定した売上となりやすいのです。

Q3: 事業環境とその対応は?

―― よくわかりました。それでは事業環境についてはどうでしょう?
先ほど、事務用機器や情報関連機器は安定した需要があるとのお話がありましたが、その他の分野の需要はどうなのでしょうか?

渥美:
切り口としては、環境や医療・介護関連の需要が伸びていくと見ています。今回、直近の株主通信(「2012年3月期 事業のご報告」)の「最前線レポート」で採り上げた2つの事例がまさにこれらの分野ですので、少しご紹介をさせて下さい。

リース・割賦事業

最前線レポート1. 地下水膜ろ過システムのリースで災害時の事業継続を支援」で採り上げたのは、人工透析を提供している病院(透析センター)のケースです。

この透析センターでは、東日本大震災の際に断水になってしまいました。
3日間ぐらいは貯水があったのですが、断水は1週間以上続きそうだということで、市町村と連携しながら東奔西走してなんとか水を調達されてその時は事なきを得られました。
ですが、今後はこういったことのないようにしなくてはとのことで、当社のリースを活用して地下水膜ろ過システムを導入されました。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、人工透析は患者さんの体中の血液の老廃物を取り除く治療で、大変高い頻度で長時間の治療を受ける必要があります(平均的な治療で、1回あたりの治療時間は4時間~5時間を、週3回)。
断水になれば、この患者さんたちに治療をご提供できなくなってしまう、そういった事態が起こらないようにと導入されたこのシステムが、当社のリースとともに今後一層普及していけばと願っております。

金融サービス事業

もうひとつ、「最前線レポート3. 多彩な金融サービスで介護業界のお客様を支援」で採り上げたのは、介護事業者さんの資金調達ニーズにお応えしたケースです。

ここでは色々なサービスをご紹介していますが、なかでもご好評をいただいており、私たちとしても社会的意義があると思っているのが、「介護報酬ファタリングサービス」です。

これは、介護事業者様が国民健康保険団体連合会(国保連)に対して請求する介護保険給付費を当社が前払いするサービスです。
今、多くの事業者さんが介護業界に参入されているのですが、本当に中小というより零細という規模であったり、あるいは設立間もない事業者さんであったりという場合には、手許資金の確保が一番の悩みです。その点、このサービスをご利用いただきますと、介護保険給付費のお受取り(全体の約8割)が約40日ほど早くなりますので、資金繰り上大変助かるとおっしゃっていただいています。こういった分野も今後伸ばしていきたいですね。

Q4: 今後の成長のために取り組んでいることは?

―― 成長分野への取り組み以外に、今後成長していくために手がけておられることはありますか?

渥美:
現在の当社は、2011年4月からスタートした3ヵ年中期経営計画の2年目にあたります。この中期経営計画では、目指す姿として「利益ある成長を続けるフィナンシャルサービス事業会社」を掲げて、下記の5つの基本方針のもとに個別の戦略を定めています。

中計経営計画

(「中期経営計画の基本方針及び主要戦略」より)

5つの基本方針のうち、上から2番目の「復興需要への積極的な対応と新しい成長領域の創出」で申しますと、先ほどご紹介した地下水膜ろ過システムのリースのケースは(1)、介護報酬ファクタリングサービスは(3)にあたります。

――  (2)の「レンタルビジネスの拡大」はどのようなものでしょうか?

渥美:
パソコンなどのケースをお考えいただくとわかりやすいと思うのですが、リース満了前にお客様都合で壊れてしまったり・・・ということもあり得ます。
通常のリース契約では、そういった時――修理に出している間に代替機をご用意するといったご提案はできません。なぜかというと、これは「レンタル」の分野に入ってくるからなんですね。

ですが、お客様からすればリースなのかレンタルなのかは関係ないことで、そういった不慮の事態にも備えてあるほうが良いという方も確かにいらっしゃるわけですから、そこまで含めたご提案をしていこうというサービスになります。

―― 「リース」という事業の幅を超えた総合的な提案、ということですね。

渥美:
はい。リース会社である当社は在庫を持っていないので代替機をご用意することもできませんが、私たちは2005年にレンタル会社を買収し子会社としておりますので、そこと一緒に事業を展開していく、という仕組みになっております。
グループの総合力を使って、お客様にご提供できる価値を増やしていく、という考え方ですね。

Q5: 個人投資家向けIRの方針についてお話ください。

―― 最後に個人投資家向けIRについてお伺いしたいと思います。
御社は株主通信や株主優待について色々と工夫しておられますので、特に、既存の株主様とのコミュニケーションに関する考え方についてお聞きしたいのですが。

渥美:
一般の個人の方々にとっては、リースというビジネスはなじみ深いものではありませんし、リコーリースという名前もなかなか憶えていただきにくいです。ですから、どう憶えて頂くか、理解していただくかが株主様との関係で一番重視しているところですね。

リースという私たちのビジネス自体も、5年間という長きにわたってお付き合いをする中で当社の特色や何ができるのかといったことを知って頂くものですので、株主の方に対しましても、そういった意味で長期の優遇をさせていただいています。
なるべく長く株を持って頂くことで、リースというビジネス、リコーリースの事業を「ああ、こういう商売もあったんだ」と理解して頂いて、願わくば「応援したいな」と思って頂けるようにするためには、色々と工夫しながら何度も繰り返しご説明をしていくことが大事なのかなと。

こうした意味で株主通信につきましても、年に2回しかありませんが内容も表現方法も精一杯工夫しまして、なるべく目立つようなものをお送りしています。
株主様には手にとって読んでいただきたいですし、少しでも株主の皆様の記憶に残るようにと思っています。

―― なるほど、確かに大変読みやすく興味深い誌面になっています。
株主優待と言えば、御社は「株主参加型社会貢献活動」を実施されているそうですが、なぜそのような活動を?

渥美:
この活動は、2004年に開始したものですので、もう8年ぐらいになります。
内容としましては、当社の優待品であるQUOカードのうち、株主様に実際にご使用いただいた額の一部を、当社が「緑の募金」に寄付するというものです。
株主様は、リコーリースのQUOカードを使うことで、実は社会貢献もできることになる、とそういったシステムを通じて、利益を株主のみなさまに還元するだけではなく、広く社会へも還元するという意味で、CSR (Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)型株主優待と申し上げています。

株主様の中には、CSRで社会貢献するよりもまず株主還元をしてほしいという方もいらっしゃるかもしれませんが、会社として、長く商売を続けさせていただくためには、社会に貢献しなくてはいけないというのは当たり前の話ですので、そういった当社の考え方を株主の方にもご理解いただきたいと願って続けております。

株主参加型社会貢献活動

(「株主優待のご案内:株主参加型社会貢献活動」より

―― 2004年から続いているというのがすごいですね。

渥美:
はい。おかげさまで。だいぶ息長く続けられるようになってきました。
重要なのは、こうした社会貢献も、業績が安定しているからこそ続けられるのだということです。業績を残し、17年連続増配を続け、こうしたCSR型株主優待も継続することができている。それが株主様から見た時の私たちの最大の特長であり価値ですし、今後ともそのご期待に応えていきたいと思っています。

―― 本日はありがとうございました!