ドラッグストアなどに並ぶ日用品、あれだけ多くの商品が、毎日つつがなくお店に届く仕組みってすごいですよね。
特に日本は日用品が品数が豊富な上に、お店の大きさも大小様々。当然扱う商品種類・数も大きく違います。

今回は、そういった日用品の流通のしくみを、共通のデータ(EDI)で支える株式会社プラネット
同社経営企画室の滝山さんに、EDIとは何か、EDIを核に、どういった成長をしていくのか、お話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

滝山:
私たちの主な事業は、日用品を中心とする業界での、「EDI(Electric Data Interchange:電子データ交換)サービス」の提供です。下の図をご覧ください。

プラネットのサービス

(出展:プラネットEDIサービス)

皆さまがいつも購入しておられる洗剤・石鹸・シャンプー・歯磨き・歯ブラシ・ティッシュ等の日用品は、
資材サプライヤー(製品の原料や材料、包装材料などを製造し消費財メーカーに提供する)

消費財メーカー(製品を作る)

卸売業(いわゆる問屋さん)

小売業
のように、様々な企業の手をわたってお手元に届いています。

これら企業の数がどのぐらいあるかと言えば、消費財メーカーは約1,000社、卸売業は約500社。そして、小売店は、日用品を中心とした商品だけを取り扱う店舗だけを数えても、約35万店。そこで流通している日用品は5万種類以上、年間約4億ケースもあると言われます。

では、ここでひとつ質問をさせて下さい。もしも、こうした膨大な数の企業同士が、商品の注文や出荷などの情報をやりとりする時の手段がファックスや電話「だけ」しかないとしたら、どうなると思いますか?

―― 注文の処理だけで膨大な人手と時間がかかりそうですね。
書き間違い・聞き違いもたくさん出てしまうのではないでしょうか。

滝山:
おっしゃる通りです。ですから、特に消費財メーカーと卸売業、あるいは資材サプライヤーと消費財メーカーとの間では、現在は「受発注」や「出荷・納品・受領」や「仕入・請求・支払」など取引情報のやりとりを、電子データの形でコンピュータ同志で交換することが多いのです。

ただ、電子データにすれば問題はすべて解決かと言えば、そうではありません。
企業間でデータ交換を行うためには、お互いのシステムを確認して連動させる、という手続きを踏む必要があります。
ということは、もしも取引先が100社あるならば、理論上は100種類のシステムに対応させる作業が必要になってしまうわけです。

―― それは現実的ではないですね。・・・。

滝山:
ええ。そこで、この問題を解決するために「標準化」という考え方があります。
たとえば電化製品では、日本国内のどのメーカーの製品でも、コンセント差込口の形が合わないという問題は起きませんよね?これは、コンセントが各メーカーの枠組みを超えて標準化されているからです。

これと同様に、当社がご提供するEDIサービスは、企業間で行うデータ交換の仕様を標準化しています。
ご利用企業は「プラネット*」へ接続いただくだけで、同じように利用しておられる複数の取引先と標準化されたデータのやりとりができるようになります。自社で独自仕様のデータ交換システムを数多く開発する必要はないため、技術とコストの両面で非常に効率的な投資であるため、大手企業をはじめとして多くの企業が採用してきました。
*「プラネット」は当社の名前でもあり、このEDIネットワークの名前でもあります。

仕入れデータ

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 「EDIサービス」はどのぐらい活用されているのですか?

滝山:
企業数では、2012年7月末現在で、資材サプライヤーが212社、消費財メーカーが418社、そして卸売業が463社――業界全体で見ると、メーカーは4割強、卸売業についてはそのほとんどが、「プラネット」を活用している計算になります。

データ量で申し上げますと、たとえば「あるメーカーのシャンプーを何ケース、いつ、いくらで、どこの店へ配荷する」という情報を1レコードとすれば、1年間でなんと14億レコード以上が「プラネット」を介してやりとりされているんですよ。

―― すごい量のデータが飛び交っているのですね!

滝山:
はい、本当に。色々な種類の商品があって、しかもそれらを比較的安価に買うことができる日本の日用品市場――それを可能にしているもの、裏側で支えているものこそが、業界に特化した情報ネットワーク「プラネット」です。

今や、卸売業と消費財メーカーの間の発注から納品までの時間は早い場合には1日前後。ですから、万が一にも「プラネット」が止まるようなことがあれば、明日・明後日には日本全国のドラッグストアなどを始めとする小売店の棚から、様々な日用品が不足することにもつながりかねません。

つまり、当社がご提供しているのは、電気やガス、水道と同様に、止まってはならないもの、社会に不可欠なインフラなのです。

社会にとって重要な機能を果たしてきた当社は、日本の日用品等市場の発展と参加企業の増加などにより、1985年の会社設立以来26年間、ほぼ右肩上がりの成長を続けています。

売上高推移

(出展:プラネットの強み

―― 社会インフラを自認されるということは、設立当初から公益性を重視しておられたということでしょうか?

滝山:
はい。プラネットは、1985年に、日用品・化粧品業界の8社と、情報通信会社の インテックの共同出資で発足しました。

当時の日用品・化粧品業界は、消費者ニーズの多様化を受け、商品の多品種少量時代を迎えていました。しかしながら、メーカーも卸売業も各社が自社独自のシステム構築を志向していましたため、複雑化していく取引情報を業界規模でやりとりする企業間データ交換は容易ではなく、特に卸売業は「各メーカー独自仕様の端末機」だらけになりかねない状況にありました。

こうした事態を懸念し、業界の主力企業同士が「システムは共同で、競争は店頭で」を合言葉に、一致協力して設立したのが当社、プラネットです。ですから、現在でも主要株主である大手日用品メーカーは皆、当社のサービスを利用するユーザーでもあるのです。

主な株主

Q3: 成長戦略は?

滝山:
EDI事業については、

  1. 既存ユーザーが利用するデータの種類を増やす(「データの深堀り」)
  2. 対応業界の幅を広げる(「横展開」)
  3. 卸と小売の間にEDIネットワークを提案する(「縦展開」)

の3つの方向性で、インフラとして中長期的に安定した成長を目指しています。

1.既存ユーザーが利用するデータの種類を増やす(「データの深堀り」)

プラネットのEDIは全部で24種類のデータを交換できるのですが、実際のご利用状況を見ますと、消費財メーカー、卸売業ともに「発注」「仕入」「販売」「請求」など、ベーシックなデータ種類に偏っているのが現状です。
ご利用いただけるデータ種類を増やすことは、お客様企業の業務効率化にもつながり、EDIのデータ量増加を通じて「プラネット」の成長にもつながりますので、各種勉強会の開催やコンサルティングを通じて促進を図っています。

既存ユーザへさらなるデータ種類の利用拡大を推進

2. 対応業界の幅を広げる(「横展開」)
3. 卸と小売の間にEDIネットワークを提案(「縦展開」)

「横展開」は、従来のお客様以外の業界で、プラネットのEDIサービスをご利用いただけるようにしていくことであり、従来の事業の延長であるのに対し、「縦展開」は少し異なります。

これが実現すれば、卸売業と小売業の間に、「プラネット」のようなデータ交換サービスを展開し、資材サプライヤーから小売業まで一貫したEDIサービスが完成し、スムーズで無駄のない情報流通が可能になると考えられます。まずはドラッグストア業界で取り組みが進められている標準EDIの普及に向け、EDI運用センターの設立を業界団体へ提案しております。

なお、プラネットでは、商品データベースサービスも展開しており、日用品の商品画像や規格情報については、小売業への提供を開始しております。

プラネットのEDIサービスの利用拡大を目指す

―― 成長を志向される一方で、利用料の値下げも行っておられるようですが、
その意図されるところについてお教えいただけますか?

滝山:
当社は社会インフラとしての使命を果たすため、コストダウンによって得られた成果の一部をご利用料金値下げという形でユーザー様に還元することを方針としております。
直近では2011年1月に、会社設立以来8回目の料金引き下げを行いました。結果として、これらの値下げがユーザーの利用拡大につながり、通信処理データ量も増加してきております。

―― コストダウンができる要因は何ですか?

滝山:
EDIサービスのデータ処理を行うプラネットのコンピュータ設備を定期的に入れ替える毎に、技術の進歩によりコンピュータ設備の価格性能比が向上してきたという要因が大きいです。これにより売上原価比率が下がり続けてきました。
2011年8月には、創業以来6回目となるセンターマシンの入れ替えを行いました。今回の入れ替えでは、新たにクラウド型新システムを採用し、従来以上のシステムの安定性向上と災害復旧の能力強化も図っております。

なお、このクラウド型新システムの採用により、当社のユーザーは世界中でインターネットを使ったEDIサービスを利用できるようになりました。これを踏まえ、当社は今後「世界クラウドEDI」で卸売業の海外進出も支援してまいります。
こちらについては、直近の株主通信(第27期第2四半期分 P3-4)で詳しくご説明しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

Q4: 個人投資家の皆様へメッセージをお願い致します。

滝山:
“全国津々浦々どこででも、いつでも、安価に、様々な日用品が手に入る”のが当たり前の時代です。
しかし、その「当たり前」を実現するためには、その裏側で膨大な量の情報が迅速かつ的確に処理されなければなりません。
それらをスムーズに行うためのインフラがプラネットのEDIサービスなのです。

私たちは、メーカーでも卸売業でも小売業でもない。
でも、だからこそ全ての企業に対して公平にインフラを提供する企業として、流通業界の業務効率化に尽くすことができるのです。

当社が株式を上場している理由のひとつに、「ユーザーの皆様に情報を公開し、業界全体に対して公平・中立であることを証明するための手段として」というものがあります。私たちは、健全なビジネスを展開することが、特定の企業ではなく業界全体への貢献となり、また、その貢献が当社の成長となって株主・投資家の皆さまのご期待にもお応えする結果につながると信じて、事業を営んでおります。
皆さまにおかれましては、是非当社の事業についてご理解いただけましたら幸いです。

―― 本日はありがとうございました!