社長が2006年に大学1年生(19歳)で立ち上げた企業で、2011年12月には東証マザーズに上場。翌2012年10月には東証一部に指定替え。いずれも25歳で上場し、史上最年少記録を更新。収益は前年比倍増、営業利益率は40%超――そんなきらびやかな形容が並ぶ、株式会社リブセンス

それだけのスピード上場と聞くと、ソーシャルゲームやスマートフォンなど流行りの業種?などと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、リブセンスの主力事業は求人情報サイト。売上の約半分を占めているのは、アルバイト求人サイトの「ジョブセンス」です。

いわば成熟した市場で、業界大手も含めて多くの競合企業がひしめく中、なぜリブセンスは急成長を続けてくることができたのか。そして、今後はどのような成長シナリオを描いているのか。同社で広報IRを担当する真鍋さんにお話をうかがってきました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい

真鍋:
リブセンスの主力事業は、成功報酬型インターネットメディアの運営です。
求人情報や不動産情報のように、たくさんある情報の中でいかにうまくマッチングできるかが重要となる分野で事業を営んでいます。

運営メディア一覧

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P7より引用)

成功報酬型情報メディア 新規メディア
アルバイト求人サイト
ジョブセンス
正社員求人サイト
ジョブセンスリンク
転職クチコミサイト
転職会議
派遣社員求人サイト
ジョブセンス派遣
賃貸情報サイト
DOOR賃貸

―― 創業の事業はアルバイト求人情報サイトの「ジョブセンス」ですね。これを立ち上げたきっかけは何だったのですか?

真鍋:
代表の村上が高校時代にアルバイトを探していた時、街中にはたくさん求人の張り紙があるのに、インターネット上にはそれらの情報がほとんど載っていないことに疑問を持ったのがきっかけです。

情報が掲載されていないのは、掲載のたびにお金が発生してしまうから。だったら載せるのを無料にしてしまえば、情報がインターネットに全て掲載される世界が作れるのではないだろうか。
そのように考えた結果、成功報酬型のアルバイト求人サイトというビジネスモデルに行き着きました。

―― いわゆるITベンチャーの中には、先に技術が決まって事業は後で考える企業もありますが、御社は、まずサービス内容や事業分野が先にあったということなのですね。

真鍋:
そうですね。村上は小学校の頃から社長になりたいと思っていて(笑)、高校生になり起業準備を進める中で、不便なことや問題は何だろう?と考え探していくうちに、この分野に行き着きました。「アルバイト情報のサイトは不便で最適化されてないから、最適化できるようなサービスが必要なのではないか」と。

―― 不便で最適化されていない、ですか?

真鍋:
はい。こちらの図をご覧ください。

従来型(掲載課金等)ビジネスモデルのデメリット

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P9より引用)

掲載課金型のような従来型の求人情報媒体の場合、情報を載せるだけで費用が発生してしまうため、求人をする企業としては費用対効果を考えて掲載する求人情報を絞り込む、あるいは、採用はまだできていなくても掲載期間が過ぎてしまい再度費用を支払うのは難しいので載せない、ということになりがちです。

そうすると、ユーザー(求職者)にとっては、情報が少なく選択肢が少ないため、利用メリットがなくなってしまいます。それは、企業にとってもユーザーにとってもデメリットとなり、結果、情報も利用者も少なくなる=媒体力が弱くなることから、サービスを提供する運営会社にとっても喜ばしくないわけです。

―― 確かにそれは「最適化されていない」状態ですね。

真鍋:
その問題を解決するために私達が立ち上げたのが、「成功報酬型ビジネスモデル」なのです。
求人企業にとっては、情報を掲載する時点では費用がかからずに、採用できた時点で初めて費用が発生します。

ですから、企業としても費用の掛け捨てリスクなく求人情報を載せることができ、掲載情報が増えることでユーザーも増え、運営会社である当社もメリットを得る。Win-Win-Winの関係を作るビジネスモデルなのです。

成功報酬型ビジネスモデル

(クリックして画像を拡大 個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P8,10より引用)

―― なるほど。ところで、右の図ではユーザーの欄に「祝い金GET」と書いてありますが、これは何ですか?

真鍋:
これが、「成功報酬」と並ぶもう一つの特長です。当社のサイトを使って求人に応募し採用されたり不動産賃貸契約をすると、お祝い金・キャッシュバックをもらうことができるのです。

―― えぇ?!企業の掲載費用は成功報酬型にして、しかも採用などが決まったユーザーにお祝い金まで支払っていたら、とても事業が成り立たないのではないですか?

真鍋:
いえ、その逆です。成功報酬型のビジネスモデルだからこそ、祝い金が必要なのです。
成功報酬型の場合、顧客企業様が採用の申告を忘れてしまったり、「採用していない」あるいは「当社のサイトを使って採用したのではない」と言われてしまったりする可能性もゼロではありません。
その点、ユーザーにお祝い金やキャッシュバックをお出ししていれば、採用されたユーザー等からも申告があるので正誤確認ができるわけです。

また、同じ求人情報が複数のサイトに載っている場合でも、ユーザーに祝い金が貰えるからジョブセンスを使おう、と思ってくださいます。実際、この「成功報酬型」と「祝い金」は、当社の急成長を支える大きな原動力となりました。

サービス別売上高の推移

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P16より引用)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 確かにすごい成長力ですね。ところで、成功報酬型やお祝い金といった仕組みは、他社さんに模倣されることはなかったのですか?

真鍋:
ご存知の通りインターネットのビジネスというのは、参入障壁が低いですから、成功報酬型・お祝い金というモデルは、当社が成功し始めた2008年頃から、ベンチャーや大手を問わず、多くの企業に参入されました。
ですが、この成功報酬型モデルで上場までできたのは当社だけですし、現在では同じ事業モデルで参入する企業は減ってきています。

―― ビジネスモデルをただ真似するだけでは御社には勝てないということですね。その理由はどこにあるのでしょうか?

真鍋:
Webマーケティング(集客力)やサービス開発力があることです。

Webマーケティングは、主にSEO(検索エンジン最適化)の技術・ノウハウです。
SEOとは、例えばグーグルやヤフーなど検索サイトを使って「アルバイト 渋谷」といったキーワードを入力した際に、検索結果の上位に当社のサイトが表示されるようにするものです。
求人や不動産賃貸などの情報をインターネットで探す際、検索するユーザーは非常に多いことから、検索結果が上位表示されると運営サイトの集客力が高まります。

企業様が、アルバイトや社員など人材を募集する媒体を選ぶ基準は、「欲しい人材が採用できるか」です。つまり、集客力があるかが非常に重要です。
インターネットメディアというのは、情報(コンテンツ)が充分に揃ってないと、ユーザーの方は集まりません。ユーザーが集まらないと、情報を掲載される企業様も集まらないという負のスパイラルが発生してしまいます。

ですが、SEOを活用して、様々なキーワードで検索エンジンの上位に表示されるようになると、ユーザーの方がしっかり集まるサイトが構築できるので、企業様もユーザーの集まるサイトに情報を掲載したいと仰って頂ける。情報(コンテンツ)がたくさんあるところには、さらにユーザーの方が集まってくる という、正のスパイラルになります。

SEOで集客ができるようになってくると、企業様の方から掲載したいとご連絡頂けますし、成功報酬型で掲載に費用が発生しないため、掲載しない理由がないのです。ですから、当社の方から積極的に営業する必要がありません。

―― 日本では「とりあえず来て説明してくれ」という企業さんが多いですから、多くのB2Bビジネスでは契約してもらうまでに営業マンが足繁く通わなければなりません。営業マンのコストは、BtoBビジネスの利益率にすごく影響を与えていますよね。

真鍋:
そうですね、その点当社の場合は、成功報酬型のサービスであるため、ご契約をいただく入口についてハードルは高くありません。特に、上場してからは知名度向上やパブリシティ効果もあって、企業様からお問い合わせやお申込みをいただくケースがほとんどです。
ですから、当社の場合、営業担当は全体の従業員の5%しかいません。

社内で良いサービスを作り、SEOを始めとするWebマーケティング活動をしっかりと積み重ねていくことで、営業コストを抑えた効率的な運営ができている。それがリブセンスの特長です。

従業員構成、営業利益率

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P14より引用)

リブセンスの特長

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P11より引用)

―― ところで御社はなぜそのようにSEOに強くなったのですか?

真鍋:
当社は、大学生ばかり4人で立ち上げた会社です。創業当時、サイトを立ち上げたけれど人が来ない。集客するにはどうしたら良いかと考えた際、広告を打つお金などありませんでした。お金をかけずに集客する方法、それがSEOでした。

幸い技術力のある人間が集まって作った会社でしたので、2006年の設立直後からSEOを1からコツコツ、コツコツと徹底的に研究を続けてきた。そのノウハウが蓄積されて今、強みの1つになっているのです。

―― 多くの会社さんがSEOの専業会社に外注している中で、御社はすべて内製で対策しているのですか?

真鍋:
はい。当社では、サービスの企画からサイトのデザイン、システム開発、運用、Webマーケティング、カスタマーサポートまで、サイト作りに関わる全ての工程を一貫して内製化しています。このため、サイトを作る最初の段階から、SEOを念頭に置いた作りこみが可能です。

一方で、サイトのデザインであったり、システム開発であったり、SEOであったり、部分的に外注をした場合、表面的なSEOに留まってしまい、本当にユーザビリティの高いサイト作りや細やかなチューニングが難しくなってしまいます。
全ての工程を内製化し、細やかな施策を積み重ねてきたからこそ、サイトの集客力を維持向上できているのではないかと思います。

―― お話をうかがっていて、御社の一つの強みというのは実行力なのではないかと感じます。色々な会社さんがSEOをやり、成功報酬型モデルも真似てきた。でも、それを「徹底してやり続ける」という実行力で御社は勝っていたのではないでしょうか。

真鍋:
ありがとうございます。
村上はよく「徹底力」という言葉を使うのですが、たとえば、世の中にたくさんのeコマースサービスがある中で、なぜアマゾンが選ばれているのか。
それは徹底して、お客さんの購入までの動線が非常にスムーズであったり、レコメンド機能がすぐれていたり、注文した翌日に商品が届くように物流を改善して いたり、ユーザー目線に立ったサービスが徹底して提供されている、それが人に選ばれるか選ばれないかの差なのではないかと。

当社でも、常にユーザー目線に立って、応募率や問い合わせ率を向上させるにはどうすればよいかを考え、例えば、使い勝手が悪い部分や細かい文言・デザインの修正、細かいバグなど、全て社内で直せるような体制を作っています。

このように日々、コツコツとやり続ける徹底力が、積み重なってくると大きな違いを生むのではないかと考えています。

―― 今後も内製化にはこだわっていくのでしょうか?

真鍋:
当社の価値を左右する部分については、今後も外注はしないと思います。技術面など競争優位性を決める部分を外に出すということは多分やらない。

ただ、カスタマーサポート業務のうち、すでに定型化している業務で外注しても品質や顧客満足度に影響が出ないような業務に関しは、事業を拡大していく中で外注を検討していくと思います。

Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する成長戦略は?

―― 分かりました。ところでちょっと意地悪な質問で申し訳ないのですが、御社の強みであるSEOの必要性そのものが後退する、つまり、検索をして探すという行動がこの後主流じゃなくなるという可能性は見ていらっしゃいますか?行動の起点が検索ではなくなるというような。

真鍋:
可能性としてゼロではないと思いますが、余りないとは思います。インターネットのサイトを使われている方にとって、検索というのはとても有効な手段の一つですし、ユーザーの行動としてすでに染み付いていると思います。

ただ、ネット検索がすべてだと思っているわけではありません。
認知度や安心感を高める、あるいはより広範な顧客にアプローチするという意味で、例えば、テレビCMによるマーケティング活動も非常に効果は高いと思っています。

実は、ジョブセンスでも昨年(2012年)9月に初めてテレビCMを打ちました。ジョブセンスに関しては、SEOのレベルがすでに高く、今後の成長を考え る上で、次のマーケティング手段として、テレビCMやWeb広告など費用対効果を見ながら新たな施策に取り組んでいきます。

SEOで集客出来る人数にも限界はありますし、サービスのステージによってマーケティング、集客方法は変わっていくべきものです。ですから、当社としてはそれぞれのサービスのステージに合わせてWebマーケティングをやっているわけです。

―― よくわかりました。ではここで、御社の市場環境認識についてお伺いさせて下さい。現在の主力である求人サイトの市場規模はどれくらいあって、今後どの程度まで伸びる余地があるのでしょうか?

真鍋:
そうですね、例えばアルバイトの求人情報媒体の市場規模は推定約800億と言われていますが、うち、まだ半分強は紙媒体です。今後も紙からネットへの利用移行は続くと思いますので、当社の成長余地はかなりあると考えています。

―― 2010年には不動産情報メディアに参入されましたね。

真鍋:
不動産についても、正確な市場規模はお話できませんが、未だ全ての不動産情報がネット上に載っている環境を実現できていません。
少なくとも底堅い市場であるとは言えますし、求人領域と同様にもともと大きい市場ですから、当社自身の伸びしろはまだまだあると見ています。

―― 不動産情報も、求人情報と同様に市場規模はもちろん大きいと思いますが、すでにビッグプレイヤーがいます。ですが御社はその市場参入後1年で黒字化を達成し、その後も成長を続けておられますね。

真鍋:
当社が参入する市場の条件としては、先に申し上げた「最適化されていない」ことに加え、「市場が大きいこと」、つまり、潜在的に成長余地が大きいかどうかも重視しています。
ですので、すでにビックプレイヤーがいるのは当然ですし、見方を変えるとビックプレイヤーが市場を開拓しある程度大きくしてくれている。そういった市場であっても、未だ最適化されていなければ、参入余地があると考えています。

どちらかというと当社の場合は、ニッチを狙うというようなタイプではなくて、将来的にインフラの一つのような形で「あたりまえ」に使っていただける サービスをつくって、世の中にいい影響を与えていきたい、と考えています。今後もそういった市場を開拓していくことになると思います。

今後の事業展開

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P24より引用)

―― 確かに御社は、今後10年、20年と使われる分野で事業を展開されている、そんな感じがします。

真鍋:
ありがとうございます。
当社は、今年2013年2月8日の設立記念日にコーポレートビジョンとコーポレートロゴを変更しました。
新たなビジョンは「あたりまえを、発明しよう。」です。
これは、新しい物の見方・行動の仕方で、世の中に常識として定着するサービスを開発していくという当社の意志表示です。

「あたりまえ」となるサービスというのは、一過性のものではなく、本当に市場を最適化する、あるいは課題を解決することで、皆様にこのサービスがなくなっては困る、このサービスがあって幸せだと思っていただけるものです。
一過性で流行り廃りのあるようなサービスや、別に無くてもいいようなものは作って行かないつもりです。

新コーポレートビジョン、コーポレートロゴ

個人投資家向け会社説明会(2013年2月21日) 会社説明資料 P5,6より引用)

―― ここまでお話をうかがってきて、御社はインターネットをメイ ンの事業とされている会社さんなんですが、いわゆる流行りの要素や流行語がどこにも見当たらないことに驚きを覚えています。やはり時期的にもソーシャル だったりクラウドだったり、ビッグデータだったりということを仰られる企業さんは凄く多いんですね。
御社はすごく――なんというか、手堅いですよね。結構挑戦はされているので、慎重とはまた違うと思うのですが、考え方もビジネスも、すごく手堅い感じがします。

真鍋:
割と堅めだと思いますね…若いのに(笑)。

―― 御社について語られているメディアは、村上社長にフォーカスが当たるものが多いので、そこから受ける「若い」という印象とは正直ギャップがありました。

真鍋:
実は、これまでは広報IR戦略上、意識して村上を出してきたところはあります。 当社にとって大きな上場目的の1つは、知名度の向上にありました。
これは、今後の成長を考えた際、知名度を上げることによって優秀な人材を獲得することや集客にプラス効果があるからです。このため、「最年少上場」という ニュースバリューを最大限活用してきました。実際に、2012年から2013年の1年間で顧客企業数は約27,000社へ倍増しています。
しかし、今後の広報IRでは、もう少しサービスの方にフォーカスをしていきたいと思っています。

Q4: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。

―― 個人投資家向けIRはどのぐらいの頻度で?

真鍋:
個人投資家向け説明会は、2012年は四半期決算ごとに2回ずつ、年に8回実施しました。

―― それは際立って多いですね…!

真鍋:
はい、創業社長が率いるベンチャー企業において、社長の「人となり」は重要な投資判断基準の1つだと思いますし、当社の場合、「若いけど大丈夫?」という 不安をお持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。ですので、村上が直接お話をさせていただく機会は、可能な限り増やしたいと考えています。

また、直接会場へお越しいただけない方々のために、年4回分はウェブ上で見られるように、動画配信もしています。

※動画配信はこちらからご覧になれます
http://www.livesense.co.jp/ir/conference.htm

―― わかりました。それではでは最後に、個人投資家さんに対して何か一言頂けますか?

真鍋:
当社は、東証一部へ上場させていただいたとはいえ、まだまだ規模も小さく、若い会社です。
今後も、皆様の不便や問題を1つでも多く解決できるような、「あたりまえ」に使っていただけるようなサービスをご提供し、広く社会に必要とされる企業となるべく成長を続けてまいりますので、是非応援をよろしくお願いいたします。

―― 本日はありがとうございました!