「貼る」と言えば、シールやテープをイメージしがちですが、半導体製造からタッチパネルでも「粘着」技術(粘着テープ)が使われており、その応用範囲はびっくりするほど広いようです。
グローバルに展開し、粘着ビジネスで2000億円!?を売り上げるリンテック株式会社

広報・IR室の阿部さんに、粘着ビジネスの幅広さ、そして、特にアジアに向けた海外戦略についてお話を伺いました。

Q1: 御社のビジネスはどういった内容ですか?わかりやすく教えて下さい。

―― 御社のホームページを見てみたのですが、事業領域も製品の種類も、ものすごくたくさんありそうでよくわからなかったのですが・・・御社の事業をわかりやすくご説明いただけますか?

阿部:
色々あるように見えるかと思いますが、すべて「粘着」がキーワードになっているんですよ。
図解するとこんな感じになります。

粘着製品の生産工程

(出展:LINTEC WAVE No.47 P6「リンテックの事業構造と強み」)

薄くて手軽に、ピタっと貼れる。それが粘着製品の特長ですし、普及の理由でもあります。
一つひとつの瓶に印刷するよりもラベルに印刷してペタっと貼るほうがカンタンですし、そのラベルもいちいちノリや水をつけて貼るより、剥離紙をはがして貼るだけの方が便利ですよね。

そうそう、最近では電車やバスの車体を使った「ラッピング広告」が増えているのをご存じですか?あれも、マーキングフィルムという耐久性の強いシールを使っているんです。
貼ることで、色々な情報を付加したり、機能性をプラスしたりするのが、粘着製品の特徴。その利便性を活かして、用途がどんどん広がってきたんです。

―― なるほど!他にはどんな分野で使われているんですか?

阿部:
皆さんがお持ちのスマートフォンにもリンテックの技術がたくさん使われていますよ!
スマートフォンに内蔵されている半導体チップを薄く小さくしたり、ディスプレーを綺麗に表示したり。そんなところを支えています。

スマートフォンとリンテック

(クリックして画像を拡大: LINTEC WAVE No.46 P10「スマートフォンとリンテック」より引用)

―― たとえば半導体チップでは、御社の技術はどのように使われていますか?

阿部:
チップ積層用の特殊粘着テープを例にとって、お話しましょう。
最近の半導体デバイスは、チップを何層にも積み重ねて(「積層」)作ります。以前はチップとチップを重ねる際に液状の接着剤を使っていたのですが、この方法だとはみ出したり傾いたりすることがありました。その点、当社の特殊粘着テープであれば均一に、はみ出すこともなくチップを積層することができます。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 半導体分野で御社が選ばれる理由は何でしょうか?

阿部:
単にテープ(素材)を提供するだけでなく、そのテープを貼ったりはがしたりするための機械も一緒に提供していること、そしてこれらを使った半導体の製造プロセスの改善提案もできることだと思います。
少し専門的になりますが、ここで半導体チップの作り方(後工程)を解説した図をご覧ください。ここで当社のテープや機械が使われているんです。

半導体チップの製造工程(後工程)

(出展:LINTEC WAVE No.46 P10「スマートフォンとリンテック」)

薄くて軽くて、高性能。そんなデジタル機器の進化を支える半導体チップは、表面に回路を印刷(「回路形成」)した後、裏側を削って薄く(「裏面研磨」)しなければなりません。
その時に回路面が傷つかないように保護するのが、リンテックのテープです。
そして、研磨が終わったら今度はひっくり返して(つまり表面を上にして)、リングフレームにウェハを固定する。この時にもテープを使います。これら2種類のテープとそれを貼るための機械、そして、表面保護テープをはがすための機械などを当社が供給しているのです。

このテープに求められる条件は色々ありますが、中でも重要なのは「粘着力」と「剥がれやすさ」です。表面を保護したりウェハを固定したりといった時にはしっかりとくっつき、用が終わった時には半導体に粘着剤など余分なものを残さず、きれいにとれる。この2つを両立させるのが当社ならではの強みです。
この製造工程において、紫外線を照射することによってテープの粘着力を低減させ、綺麗に剥がすというプロセスは、当社が提案した方法で、今では半導体の標準的な製造プロセスになっているんですよ。

―― 素材と機械、そして提案力。これらすべてを持っていることが強みなのですね。

阿部:
はい。テープだけを作っているメーカーさんも、装置だけを作っているメーカーさんもそれぞれ幾つかあるのですが、両方を持っている企業はほとんどありません。こういった面が評価され、今、当社はグローバル上位の半導体メーカーとはほぼすべてお付き合いさせて頂いています。

―― 今後、最終製品の薄型化がさらに進めば、それだけ御社が活躍する機会も増えるということですね。

阿部:
はい、そう期待しています。

 

Q3: 事業構造の特徴は?

―― 半導体以外にはどんな製品があるのでしょう?

阿部:
先ほどお話した屋外看板用のフィルムや、建物の窓ガラスに貼ってある断熱フィルムなど、基本的にシートに糊が塗ってあって、ペタペタくっつくものはうちではたいてい作れますし、実際、作っていますよ。
ただ、お客様との関係で「これが当社の製品です!」とはなかなか申し上げにくいところがありまして、私としてももどかしいのですが・・・。

たとえば自動車でしたら、下図のように色々な場所にリンテックの製品が使われています。

自動車とリンテック

(出展:LINTEC WAVE No.47 P8「身の回りのリンテック製品」)

―― 事業構造にはどのような特長があるのでしょうか?

阿部:
ひとつの事業に左右されにくい安定性がある、というのは当社の強みだと思います。
先ほどお話した半導体や液晶ディスプレー、太陽電池関連などの成長分野の製品もありますが、その他にも、食品や日用品、医薬品、文具、家電製品などに使われるシール・ラベル用の粘着紙・粘着フィルムなど安定的な需要がある製品も持っているため、景気変動の影響を受けにくいのです。

事業セグメントから見た売上高の推移

(出展:LINTEC WAVE No.47 P7「リンテックの事業構造と強み」)

Q4: 今後の成長戦略は?

―― 成長戦略としては、海外事業を強化していかれると中期経営計画にありましたが。

阿部:
はい。現在、海外売上高比率が33%程度なのですが、これを最終年度である2014年3月期に40%まで引き上げることを目標にしています。

アジアの経済成長を受けて自動車、家電製品やその部品メーカーが、そして東日本大震災後のリスク分散として供給拠点確保を図る医療・医薬品、家庭用品などのメーカーが日本から進出したことで、当社にもビジネスチャンスが広がっています。

―― 具体的にはどのような分野で需要があるのでしょうか?

阿部:
商品に貼られるシール・ラベル用粘着紙・粘着フィルムに加えて、自動車や二輪車向けの粘着製品も伸びていますね。当社グループの主力製品のひとつであるウインドーフィルムは、世界市場では自動車向けの需要が大半であり、今後建物用を含めて一層の伸びを期待しています。

―― 最近の動きを教えて下さい。

阿部:
本年6月末には中国・蘇州に第2工場が完成しました。
当面は中国国内市場向けのシール・ラベル用粘着フィルム生産が中心となりますが、今後はマーキングフィルムや塗装代替フィルム、プロテクトフィルムなどの自動車関連製品の生産も検討していく方針です。

そして、もうひとつ。今秋にはタイに新設中の工場が稼働を開始します。
ここでは、粘着フィルムの一貫生産体制を構築し、インドネシア工場と役割分担しながらアジア地域の需要に応えていく予定です。

 

Q5: 個人向けIRの取り組みは?

―― ここまでで色々引用させていただきましたように、御社の株主通信「リンテックウエーブ」は非常に内容が充実している点が素晴らしいですね。

阿部:
ありがとうございます。当社は事業がB to Bですし、一般の方々にはわかりにくい事業を営んでおりますので、株主様にはできるだけわかりやすく当社の事をお伝えしたいと、毎号工夫しています。

―― 株主様からの評判はいかがですか?

阿部:
年1回アンケートを取っているのですが、おかげさまで誌面は非常に評判が良いです。
内容へのご要望やご提案もたくさんいただいています。なかでも最近多いのが、「身近なところで使われている製品をもっとアピールして欲しい」と「工場の事を教えてほしい/工場見学はないのか」といった内容でした。

こういったご要望を取り入れて作ったのが、直近の「LINTEC WAVE No.47」では「身の回りのリンテック製品」、「LINTEC工場探訪」です。
今後もアンケートで寄せられた声を聴きながら、なるべく一般の方にリンテックのをことを知っていただけるような紙面づくりをしていきたいですね。

―― 今後の課題は何でしょうか。

阿部:
以前と比べますとウェブサイトをご覧になる方が増えてきたと感じます。一方で、当社のIRサイトはそれに十分お応えできるだけのコンテンツは、まだ少ない。今後はこういった点をもう少し整備していきたいと考えています。

―― ありがとうございました!