本日のインタビューは、コニカミノルタ株式会社(証券コード:4902)です。
コニカと言えば、誰でも簡単に写真を撮れる「ピッカリコニカ」や、世界初のオートフォーカスカメラ「ジャスピンコニカ」、あるいは、「さくらカラー」などの写真用銀塩フィルムの大手。ミノルタと言えば、一眼レフオートフォーカスカメラの「αシリーズ」の老舗カメラメーカーとしてご記憶の方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、2003年の経営統合後、同社は「ジャンルトップ戦略」を掲げ、"成長が見込まれる領域"かつ"勝てる領域"に集中してきました(カメラ事業、フォト事業(=フィルム等)ともに、2006年~2007年にかけて撤退済みです)。

現在の主力事業は、複合機などの情報機器分野。単純な印刷品質だけでは差が出にくくなってきたとも言われるこの領域で、どのようにして戦ってきたのか。また、「第3の柱」と位置づけてきたヘルスケア事業は育ってきたのかなど、変化し続けるコニカミノルタの現在と今後について、経営管理部 IRグルーフ゜の白井さん、冨野さんにお話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか? わかりやすく教えて下さい。また、御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

Q1-1:「ジャンルトップ戦略」とは何ですか?

A1-1:
コニカとミノルタが経営統合した目的は、「事業競争力および収益力を強化しグローバルな大競争時代を勝ち抜き、更なる企業価値の増大を図ると共に業界において強力なポジションを確保すること」です。

では、どうすればそれを実現できるのか。
この業界には、私達より大きい会社がいくつもあります。
「全面戦争」では体力差で負けてしまう、だからこそ「マーケットとして成長が見込まれる領域」かつ、「勝てる領域」に戦力と経営資源を集中してトップポジションを取っていくことが大変重要です。それが、「ジャンルトップ戦略」の考え方です。

図表1-1:ジャンルトップ戦略

Q1-2:現在は、どのような分野で「ジャンルトップ」なのですか?

A1-2:
図表1-2をご覧ください。
情報機器事業を強くするために選んだのが、カラーMFP(複合機)※1です。欧米市場でいち早くカラー化に動き出し、そこに経営資源を投入してきました。

産業用材料・機器事業では、大型液晶テレビの視野角拡大用VA-TACフィルム※2が多くの有力パネルメーカーに採用されています。

ヘルスケア事業では、「カセッテ型DR」(持ち運びが出来る小型・軽量のX線撮影装置)の市場浸透が進み、国内でトップシェアを獲得しました。

これらの製品には、カメラやレンズ、フィルムなどの開発・製造を通して蓄積してきた、コニカ、ミノルタの「材料」「光学」「微細加工」「画像」技術が生かされています。

※1 カラーMFP : 1台でカラープリンター、スキャナ、FAX等の機能を備えた複合機。
※2 視野拡大用VA-TACフィルム:液晶ディスプレイは斜め左右から見ると見えづらく特性があるが、左右から見ても正面から見え方が変わらないようにする、視野を拡大するためのフィルム。

図表1-2:セグメント別:売上高構成比および主要な「ジャンルトップ」

情報機器事業

 

オフィス分野

プロダクションプリント分野

産業用材料・機器事業

ヘルスケア事業

※セグメント別の事業内容など、より詳細な情報はこちら
※各セグメントの主要製品とその提供価値については、こちら
※コニカミノルタの強み 「4分野のコア技術」については、こちら

Q2: 事業環境はどのように変化しており、それにどう対応しているのですか?

 

情報機器事業(オフィス分野)

Q2-1:まず、売上の7割超を占める主力事業である情報機器事業(オフィス)からお話を伺いたいと思います。なぜ製品では「カラーMFP(複合機)」を、市場は「海外」を選んだのですか?

A2-1:
MFP市場におけるカラー化率は、日本国内では7割以上に達していますが、米国や欧州では直近でも約4割~5割、新興国ではいまだ2割程度に過ぎません。つまり、成長余地が大きく残されている市場なのです。

私達はこの成長市場の勢いを取り込むべく、2003年の経営統合以降、海外市場に狙いを定めてカラー機の拡販に力を入れてきました。その結果、現在では、オフィス用のカラーMFPでは、米・欧でシェア上位3位以内、中国では1位と、主要国でトップレベルのポジションにまで事業を拡大させることができました(図表2-1、2-2)。販売台数の拡大に伴い、設置されたカラーMFPからの消耗品売上やサービス収入も順調に伸びています。

図表2-1:オフィスA3MFP市場における出荷台数推移および見通し

※A3オフィスカラーMFP市場におけるコニカミノルタのシェア推移はこちら

図表2-2:カラーMFPの国別シェア1位・2位の国一覧

―― 先進国では企業のコスト意識の高まりから、オフィス用OA機器の市場は厳しくなっているとも聞いていますが、そのあたりはいかがなのでしょうか。

もちろん、競争が非常に厳しい市場ではありますが、後ほど申し上げるプロダクションプリント分野を含めた情報機器事業の営業利益率は、2013年度上半期で7.6%(前年比2.7%増)と、利益を出せる市場であることをまずは申し上げたいと思います。

さて、ご質問へのお答えですが、確かにマーケットからの価格圧力はあります。
ですが、お客様のニーズは印刷機の価格を下げることではなく、印刷全体のコストを下げることですから「機器の再配置やプリント環境の効率化などを通じて、企業の印刷コスト削減を実現する」という提案が採用される可能性も高まっているとも言えるのです。

たとえば、オフィスで従来型複合機を10台使っておられる企業の場合、稼働状況を良く見ますと、フル稼働している機械もあればほとんどプリントしてない機械もある…といった場合が多くあります。このような場合、台数を減らして集約しませんか?それによってコストダウンとスペースの効率化を図ることができますよ、というご提案をしていくのです。(=「OPS(Optimized Print Services)」:出力機器の最適化配置・出力管理サービス)

数を減らしてポテンシャルの高い機種に集約する、そういった私達のご提案がお客様側のご要望とマッチした結果、モノクロからカラー・高性能機種へシフトが進んでいます。

特にグローバル企業では、各拠点で違うメーカーの製品を購入すると費用効率が悪いということで、本部で一括購入、もしくは購入先のメーカーを指定するというケースが多くあります。そういった企業が増えている中では、「世界中どこでも、一定レベル以上のサービスをご提供できる」メーカーが選ばれることになり、当社の商機が広がっています。 (=「GMA(Global Major Account)」:グローバル大口顧客向けビジネス)

また最近では、複合機のネットワーク機能が進化していますので、単に機器を販売するだけでなく、オフィスのネットワーク全体でご提案する、さらにセキュリティを高めたいといったお客様のご要望に対するコンサルティングなども重要になってきています。

Q2-2:グローバル営業体制はどのようになっているのですか?

A2-2:
当社は、早期から海外での直販体制、自前でのサービスサポート体制の構築に力を入れてきました。その結果、特に欧米では強力な直販体制を持っております。

さらにQ2-1で申し上げた提案型の販売を強化するために、米国では2年ほど前から、当社の販売拠点とシナジー効果が期待できる地域で、IT環境の構築・ネットワーク管理を提供する現地企業の買収を行ってきました。その結果、社内にITの専門部署を持っていない企業に対しても、ネットワーク機能の進化した最新の複合機をご提供できるようになっています。

こうした営業体制とそのさらなる拡充こそ、当社が、「伸びているマーケットでさらにシェアを伸ばしている」大きな理由なのです。

Q2-3:新興国市場の現状はいかがですか?

A2-3:
中国ではもともと高いシェアを持っておりますが、アジアでの事業展開も加速しています。
アジアではシンガポールに統括会社を置きまして、販売力やOPS(Optimized Print Services)を強化しています。中東でも同様の取り組みをしておりますし、インドでも販売会社を設立し、今年度(2013年度)から連結対象としました。これらのマーケットも非常に高い成長率を持っております。

 

情報機器事業(プロダクションプリント分野)

Q2-4:オフィス複合機の分野ではサービス部分の重要性が増しているとお話いただきましたが、プロダクションプリント(企業内集中印刷、商業印刷等)の分野ではいかがですか?

A2-4:
この分野でもやはり、サービスの重要性が増していますね。その事業環境変化に対応するため、昨年(2012年)12月、欧州で、大手プリントマネジメントサービス会社Charterhouse PM Limited(本社:イギリス)を買収しました。

―― プリントマネジメントサービスとは何ですか?

多くの企業は、カタログや冊子などの印刷を複数の印刷会社さんに発注しています。大手企業であれば年間億単位を使っておられるその分野で、コスト削減や費用の最適化をご提案・ご提供するのが、プリントマネジメントサービスです。

Charterhouse社はこの分野で多くの実績を持ち、欧州地域18カ国で事業を展開しています。

当社が従来からご提供しているOPS(出力機器の最適化配置・出力管理サービス)と組み合わせることで、オフィスの内外共に印刷物環境の最適化ができる体制となっています。

―― 同じく2012年には、日本でキンコーズを買収されましたね。

はい。日本だけでなく、翌2013年には、韓国でもFedEx Kinko's Korea Ltd.を買収しています。両国で最大のビジネスコンビニ事業を買収することで、大手のお客様向けの大量の印刷需要を取り込むことを狙います。

―― 新興国の状況はいかがですか?

プロダクション分野においても、アジアは非常に高い成長率を持っています。日本人もそうですが、アジアの方々もやはり写真好きで、特にフォトブック(アルバムのようなもの)を印刷するための機材が非常に伸びていますね。当社の製品は色の再現性が高い点が評価されていますし、シェアも高いですので、販売体制の強化とともにさらに伸ばしていくことを目指します。

Q3: 今後の成長戦略は?

Q3-1:いよいよ今年度(2013年度)で現・中期経営計画「GPLAN2013」が終わりますが、情報機器事業の現状をどう評価しておられますか?

A3-1:
現中期経営計画の基本方針に「成長の実現・規模の拡大」とありますが(図表3-1)、これは売上ではなく、「利益の」成長や規模を意図したものです。それも経費削減で利益を出すのではなく、王道の方法で――つまり、売上成長によって利益を伸ばしていこうということを意図しています。

図表3-1:GPLAN2013 3つの基本方針

個人投資家向け説明会資料スライドNo.16より

この観点から考えますと、情報機器事業については現在、規模・収益性ともに収益を生み出せる、健全な姿になっていると言えます。

昨年度(2012年度)は、Q2-4でお話しました以外にも複数のM&Aを行うなど、積極的な投資を実施してきました。その結果、ITサービス・ソリューション売上高が、直近の2013年度第2四半期には前年同期比98増と大きく伸びています。また、米国直販顧客との商談件数におけるMFP+ソリューションの販売比率も61%に達するなど、業容転換に向けた基盤強化は着実に進んでいます。

※情報機器事業における2012年度の業績レビュー詳細は、こちら

一方、(こうした投資による)経費増を、生産のコストダウンと主力製品の販売増に伴う利益拡大で補うには至らず、2012年度は営業利益が減益となり、利益目標を達成することはできませんでしたが、今年度(2013年度)は、第2四半期ベースで売上高が前年同期比30%増、営業利益は同・倍増となるなど、順調に推移しています(図表3-2)。

図表3-2:情報機器事業の売上高、営業利益 

2Q決算説明会資料p9より

 

産業用材料・機器事業

Q3-2:産業用材料・機器事業についてはいかがですか?

図表3-3:産業用材料・機器事業の主要製品

※各主要製品の提供価値など詳細については、こちら

A3-2:
TACフィルムは、大型液晶テレビはもちろん、タブレットなどの中型、小型、モバイル端末でも使われています。したがいまして、この分野は最終製品の伸びにともなって、少なくとも今後数年間マーケットは拡大基調にあると見ています。
当社は昨年から今年にかけて若干シェアを落としましたが、これは昨年がむしろできすぎでありましたので、マーケットの伸び同等、あるいはそれ以上シェアを取るべく、引き続き注力してまいります。第2四半期現在では、概ね想定内の進捗となっています。

レンズも、第2四半期現在、概ね計画通りの進捗となっています。
計測器については、昨年(2012年)、ドイツの大手照明関連測定器メーカー、Instrument Systems GmbH(本社:ドイツ ミュンヘン)を買収しました。大きな企業ではありませんが、産業用で非常に高収益のビジネスをしている企業です。

産業用材料・機器事業全体については、どうしてもコンシューマー向け最終製品(液晶テレビ、PC、デジタル家電、携帯電話など)のマーケット動向に依存するところが大きいのですが、利益率が非常に高い市場であるため、今後はM&Aも含め、プロフェッショナル用、産業用途へと徐々に軸足を移すことで、1つ1つの事業は小さくとも、しっかりと利益を出せるビジネスの集合体に変えていきたいと考えております。

その一環として、HDD用ガラス基盤事業からの撤退(図表3-5)も発表しております。

図表3-4:産業用材料・機器事業の売上高、営業利益

2Q決算説明会資料p11より

図表3-5:HDD用ガラス基盤事業の撤退

2Q決算説明会資料p3より

 

ヘルスケア事業

Q3-3:ヘルスケア事業についてはいかがですか?「カセッテ型DR」が伸びていると聞いていますが、この製品についての概要説明も併せてお願いいたします。

A3-3:
ヘルスケアの市場は、国内はもちろん、世界的にも大きく拡大が見込める分野です。
昨年度、利益貢献し始め、3つ目の事業の柱として成長してきました。

図表3-6:ヘルスケア事業の売上高、営業利益(2012年度通期)

2Q決算説明会資料p13より

「カセッテ型DR(デジタルX線撮影装置)」は、持ち運びができる超小型・軽量のX線撮影機です。患者さんはベッドでX線撮影を受けることができ、しかもそのデータはワイヤレスですぐにパソコンに転送され、ドクターが見ることができるのです。

―― なぜこの製品に取り組んだのですか?

元々当社は、病院向けにアナログのX線のレントゲンのフィルムを納めていたのです。大変利益率の高い製品だったのですが、数年前からデジタル化が進み、フィルムの市場が縮小していきました。こうした中で「アナログからデジタルへの転換」を果たすべく、研究開発を重ね、この「AeroDR (エアロディーアール)」シリーズを開発したのです。

―― 「AeroDR (エアロディーアール)」シリーズは他社製品とはどう違うのですか?

世界最軽量かつ堅牢であること、そして省電力性などでは他社製品比で優位性がありますので、従来他社さんの製品を使っておられたお客様でもコニカミノルタにスイッチをしていただくところが増えてきています。さらに、従来の製品と比べますとX線の被曝量が半分くらいで済むことも、高くご評価をいただいています(図表3-7)。

図表3-7:Aero DRの強み

個人投資家向け説明会資料スライドNo.15より

―― 発売当初は思うように採用実績が広がらなかったと聞いていますが、なぜですか?

病院は非常に保守的な世界です。新しい製品をご理解いただき、採用していただくまでには非常に時間がかかります。ご指摘の通り、この製品は2011年3月18日に発売したのですが、最初の1年位はなかなか売れませんでした。(編集室注:2012年6月に「発売後約1年で販売台数1,000台を突破」とのリリースが出されています)その後、大学病院など大病院を中心に営業活動を続けてきました結果、2012年度には30億円の利益を計上し、国内トップシェアを獲得するまでに成長しました。今年度(2013年度)は利益を倍増できると見込んでおります。

Q3-4:海外ではどのように「AeroDR」を伸ばしていくのですか?

A3-4:
自社チャネルも無論強化していきますが、それだけでは時間がかかりますので、有力なパートナーを求めていくことも重要です。本年(2013年)6月には、GEヘルスケアとDRのグローバル販売協力で合意したことを発表いたしました。

―― GEヘルスケアは競合企業ではないのですか?

むろん彼らもDRを持っていますが、当社の製品よりも大型なのです。ですので、コニカミノルタ製品をラインアップのひとつに加えていただき、彼らの大型X線装置とセットで販売していただくことで、顧客である病院側のニーズに応えていくことができます。

―― GEヘルスケアでは既にお取引のある病院に販売していくということですね?となると、体制面が整ってくれば販売はかなり加速していくというイメージを持っていてよろしいのでしょうか?営業先を新たに開拓する場合とは大いに違うのではと思うのですが。

私どもとしてもそのように期待しています。

図表3-8:ヘルスケア事業の売上高、営業利益

2Q決算説明会資料p13より

Q4: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。

Q4-1:次期中期経営計画の方向性は?

A4-1:
現在策定中ですので、詳細を申し上げるわけにはまいりませんが、当社の場合、「持続的な成長を目指す」ことを重視しています。ある時ぐっと伸びて、次は(業績が)落ちるということではなく、少しずつでも堅実に、持続的に成長していくことを目指す計画になると思います。

Q4-2:個人投資家の皆様へのひとことをお願いします。

A4-2:
私達コニカミノルタは、社会の皆様からご支持いただき、社会から必要とされ続ける企業でありたい、そうでなければならないと考えております。

本年(2013年)4月には、ホールディングスの傘下にあった7社を合併し、「コニカミノルタ株式会社」となりました。名実ともに「一つの会社」として運営することで、よりスピード感を持って業績のレベルをさらに上げるとともに、安定した成長を実現してまいります。

皆様にも是非、投資対象としての当社にご関心をお持ち頂けましたら幸いです。

―― 本日はありがとうございました!