今や、生活者の常識となった感のある「購入前の価格比較」。その習慣を日本人に根付かせたのは、価格.comかもしれません。本日は、「ユーザー本位の価値あるサービスを創出し続ける」をミッションに掲げ、価格.comや食べログなどのインターネットサービスを中心に高成長を続ける、株式会社カカクコムさんへのインタビューをお届けします。IRチームリーダーの江尻さんにお話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか? わかりやすく教えて下さい。

Q1-1:御社の場合は、まさに社名そのものである「価格.com」が有名ですが、事業全体をひとことでご説明いただくとどのようになりますか?

A1-1:
私達は、膨大に増え続ける情報の「整理屋さん」のようなものです。GoogleやYahoo!といった総合検索エンジンでは、検索結果ページを実際に開いてみなければ、実際自分が欲しい情報がそこにあるかどうかはわかりません。私達が目指しているのは、(そういったことをしなくても)「欲しい情報が必ず出てくる」専門的な検索エンジン、専門的なポータルサイトなのです(図表1-1、1-2)。利用者の層としては、「30代以上」の「男性」が多く、購買力のある方々にご利用いただいている(図表1-3)のがひとつの特長です。

図表1-1:当社の事業領域

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図表1-2:当社運営事業のポジション

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図表1-3:運営サイトの利用者属性

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Q1-2:価格.comと食べログはアクセス数、利用者数は、それぞれどのぐらいあるのですか?

A1-2:
2013年10現在の数値で申し上げます。
月間の利用者数は価格.comが4,559万人、食べログが5,043万人、月間のPV(ページビュー)は価格.comが9億4,836万PV、食べログが11億4,410万PVです。
特に食べログは、2013年4月に、利用者数、月間のPVともに価格.comを超えた後、伸び続けています。

―― スマートフォンユーザーの伸びが大きいのですか?

そうですね、特に食べログはスマートフォンユーザーが非常に堅調に伸びています。これは、外出先で食べログを利用したい今いる場所の近くでおいしい店を探したい、(それを)今知りたいという方の利用が増えているということであろうと見ています(図表1-4、1-5)。

図表1-4:価格.comのアクセス状況

(クリックして画像を拡大:※2013年9月末時点)

図表1-5:食べログのアクセス状況

(クリックして画像を拡大:※2013年9月末時点)

Q1-3:価格.comと食べログ、それぞれ競合はどのサイトであるとお考えですか?

A1-3:

 

価格.com

ECナビさん、conecoさんといった他の価格比較サイトと比較されるところはありますが、(価格.comの場合)蓄積しているコンテンツの数が膨大ですので、優位性を保っているのではないかと考えております。

楽天・アマゾンといった大手ECプレイヤーと競合しているのではないか?との質問を受けることが多いのですが、そうではありません。彼らは重要な取引先の一つであり、事業上のパートナー関係にあります。

当社はあくまでもプラットフォーマーとして、大手ECプレイヤー、量販店さんなども含め、色々な会社さんに参加していただきたいと考えております。

食べログ

グルメサイトはいくつかありますが、(当社とは)利用シーンが異なっているのではないかと見ております。

当社の認識では、ぐるなびさんは、ある意味ディレクトリ的と言いますか、色々なレストランさんの情報を持っておられるサイトですね。(利用者というよりも)むしろレストランさんの側がホームページのように使っている部分もありますので、綺麗な写真やクーポンも多いと理解しています。特に強みをお持ちなのは、居酒屋ですね。電話で相談などもできますので、特に忘年会、新年会のシーズンには宴会系のサービスが充実しているところが非常に強みになるのではないかと思っております。

ホットペッパーさんの場合、クーポンが一番の売りではないかと思います。オンラインだけではなく、オフラインでもクーポンの雑誌も配っておられますので、「安くお得に」食べられるお店を探したいユーザーには受けるのではないかな、と思っております。

(これらに対して)食べログは、「ユーザーのニーズにあったレストランを探すサイト」です。美味しいもの、安いもの。あるいは駅に近いお店など、様々なニーズがありますが、それらに合致するお店を簡単に探せるサイトであり、現在、サイト内で予約も完結できる仕組みもご提供している、という特長があります。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか? 

Q2-1:御社の強みは検索エンジンで上位に出てくるというSEO、圧倒的な集客力だと思っています。その秘訣はどこにあるのでしょうか?

A2-1:
当社の強みは、「お金を使って順位を上げる」SEMではなく、コンテンツがGoogleのアルゴリズム上で「価値ある情報」と認識され、順位が上がっていくところにあります。外部にSEO対策をお願いしているのではなく、自社のこれまでのノウハウの蓄積を活かして現在に至っています。

―― コンテンツのどういった部分が検索エンジン側から「価値ある情報」と認識されているのでしょうか?

大きく2つあると考えております。

1点目は、情報をデータベース化していることです。たとえば価格.comでは、価格比較を対象とした商品について、型番別にページを設けています。それら個別の商品ページには当社の従業員がスペックなどの情報を入力し、データベース化しています。食べログにおいても同様の運営をしておりますため、どの店舗も同じフォーマットで情報を閲覧することができます。これは(=データベースの整備と蓄積は)非常に時間がかかりますので、他社さんがなかなか模倣できない部分と言えるのではないでしょうか。

2点目は、データベースの中にクチコミがどんどん追加されていることです。インターネット上には、情報にリンクを張って、もしくはどこかから情報を引っ張ってきて情報を出すような仕組みを使っている価格比較サイトがありますが、価格.comには、ここに来なければ知ることができない情報がたくさんあります。その筆頭がクチコミ情報であり、しかもそれはどんどん蓄積されておりますので、これもGoogleアルゴリズムの中で評価されている点なのではないかと存じます。

―― 膨大な情報の蓄積があるというのは強みですね。

はい。今期始めた医薬品やサプリメント等のカテゴリを立ち上げる時も、価格.com上で開始することにより、まったく別の新しいサイトでスタートする場合に比べて断然早く検索順位が上がりやすくなっているという効果は実感しております。

Q2-2:「価格.com」は、「ショッピング・情報・広告」とセグメントが分かれていますが、それぞれどういった内容なのかを教えていただけますか(図表2-1、2-2)?

図表2-1:年度別 業務別売上構成の推移

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図表2-2:セグメントと業務の内容

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ショッピング

A2-2:
価格.comでは様々な商品の比較ができますが、ショッピング、その中でも「触ることができる」「目に見える」商品――主に、PCや家電の価格比較をしております。ここが価格.com立ち上げ以来のコアの事業になります。ここ数年は消費財、例えばファッション、アクセサリー、日用雑貨なども増えています。

課金方法にはクリック課金とアフィリエイト課金の2種類があり、お店によって契約が異なります。アフィリエイトは「売れたらいくら」という成果報酬型で、当社のページから各ショップさんのページに(サイト利用者が)飛んで、実際に購入した場合に手数料をいただいています。 クリック課金の場合、商品を購入してもしなくても、ショップさんのお店に(サイト利用者が)移動した時に、平均で25円頂く仕組みとなっています。なお、クリック単価については、最新の消費動向や購買実績にもとづいて、本年(2013年)11月1日より、従来の4段階から6段階へと設定を変更いたしました。

図表2-3:ショッピング業務におけるCPC料金改訂

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―― 商品種類別の売上構成はどのようになっているのですか?

7割強がPC・カメラ・家電といった耐久財、残りが消費財となっております。いわゆるECで「売っている」ものはジャンルとしてほとんど網羅はしていますが、それらを扱っているショップの数及び商品数はまだまだ拡大できると考えております。

 

サービス

インターネットプロバイダーさんのプランや引越し見積、あるいは金融関連(証券会社、ったり、クレジットカードなど)の商品・サービスの比較をご提供しています。

課金に関しては「申し込みベース」の成約課金と「問い合わせベース」の送客課金があります。

 

広告

いわゆるバナー、テキスト広告です。タイアップ(記事広告)では実際その商品を社内のものが使ってみたり、実際解体してどういうものになっているのかをみたりと、商品を伝える価格.comらしい記事が人気です。

Q2-3:図表2-1を見ると、食べログの売上成長が著しいですね。収入源はどのようになっていて、どの部分が伸びているのでしょうか?

A2-3:
一番の理由は、有料店舗――お金を払っているレストランの増加です。これは、食べログの媒体力が強まっていること、また、当社に料金を支払うことに対する「納得感」が増したためであると考えております

―― 納得感?

はい。食べログサイトでは、レストラン向け有料サービスを2008年から開始しており、食べログ内の「広告枠」を提供しておりますが、食べログの利用者が増加するに伴い、より広告効果が高まってきていると感じています。

さらに、「050」から始まる予約専用の電話番号を付与するサービスなどは、予約電話をかけてきた人が食べログから来たということがわかりますので、食べログの効果を実感していただくことに貢献していると考えております。

加えて、今年(2013年)からは有料契約の標準パッケージでご利用いただけるサービスとして、「当日空席情報」(その日のディナータイム、17時~20時の空席情報を◯△×で示すサービス)も開始しました。さらにオンライン予約を可能にする場合、別料金とはなりますが(編集室注:新サービス「cena」のこと。Q3-1参照)、これらのサービスをご利用いただくことで、(従来食べログが提供してきた)「お店の評判」だけではなく、「今行きたい人を取り込む」という効果もご提供できます。

―― 店舗向けの有料サービスはどのような価格体系になっているのですか?

店舗会員有料サービスには1万・2万・3万の定額プランがあります。
成果報酬はいただいておりません。

Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する成長戦略は?

Q3-1:最近食べログで新しいサービスを矢継ぎ早に作られているように感じるのですが、新しいサービスを作る狙いや基準はあるのですか?また、今年開始したサービスのひとつであり、今下半期に力を入れていく第2四半期説明会で説明されていた「cena」についてもご説明ください。

A3-1:
当社が新たなサービスを作るときの基準は「ユーザーの視点に立ったサービスであること」であることです。

cenaは、「食べログの利用者さんは、せっかくどのレストランに行きたいか、検討するためにサイトを訪問している。だからそこで予約までワンストップで完了できたら、あるいは、電話をする前にどこが予約できる店なのかをフィルタリングできたら便利なのではないか」という発想から生まれました。

お店側のメリットも大きいと考えております。ディナー営業しかしていない店舗は、17時あるいは18時頃にならないとユーザーさんも電話予約ができませんが、cenaを使うことで時間外でも予約が入り、お店側のオペレーションも楽になります。

店舗に対しては、今年(2013年)の2月に課金を開始しました。cenaは有料契約の店舗ではなくても利用出来るサービスになっておりまして、月額は無料で、予約人数によってレストランから手数料を頂いております(ディナーの予約は一人当たり500円、ランチは250円)。

掲載レストラン数は非常に順調に伸びておりまして、現在はファインダイニングレストラン(平均単価6,000円以上)を対象としておりますが、今年度中に、居酒屋などのカジュアルなレストラン向けのオンライン予約サービスも開始する予定です。これにより、対象店舗はさらに拡大していきます。

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図表3-1:『cena(チェーナ)』

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図表3-2:ターゲット領域を拡大

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Q3-2:直近の2013年度第2四半期は前年同期比で売上高は29.4%増、営業利益は30.4%増と高成長を続けておられますが、この高成長はどこまで続くのでしょう?また、それを可能にするための成長戦略はどのようなものなのでしょうか。

A3-2:
いつまで高成長が続くのかというご質問については、あと2~3年はこのペースでの成長を続けていけると田中は申しております。

そもそも私達は、当社のミッションである「ユーザー本位の価値あるサービスを創出し続ける」ためには、現在の領域――ショッピング、レストラン・食べ物、旅行、不動産――だけでは足りないと認識をしているのです。全領域で皆さんのためになる情報を提供していきたい、そのためには、価格.comにも食べログにおいても、まだ着手していない領域がいくつかありますので、そこを今後も進めていきたいですし、それ以外にもコンテンツ領域の拡大を進めていきたいと思っています。

図表3-3:今後の事業展開について

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Q4: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。  

Q4-1:個人投資家向け説明会の中で、社長は「当社のサービスは、映画を見ていれば幸せな社員や、美味しいものを食べていれば幸せな社員が運営している」と話しておられました。それが「ユーザー視点に立ったサービス」開発の秘訣なのでしょうか?

A4-1:
そうですね。食べログの創業者は、すべての食事の9割以上が外食なんですよ。色々なものを食べているのですが、3連チャンで焼肉を食べてみたり、2時間かけて目当ての店に行ってみたりといった話を聞くと、本当に食べるのが好きなんだなと思いますね(笑)。他にもそういった社員は多いですし、だからこそユーザーの視点を持ち続けられるのだと思います。

改善要求も容赦ないですよ。社内のポータルサイトで「このサービスをリリースします」と全社告知をすると、色々な人から「これはどうなんだ」「なんでこうするの?こうした方がいいのに」とか、そういったツッコミやダメ出しがたくさん入ります。それはやはり、ユーザー視点に立っている、あるいは立ち続けていたいからこそ――サービスをリリースするのであれば、ちゃんといいものにしよう。その気持ちが全社員あるからこそ、なのではないかと思うのです。

Q4-2:最後に、個人投資家の皆さんへのメッセージをお願いします。

A4-2:
当社は、「価値あるサービスを創出し続ける」ことをミッションとしている企業です。

価格.comや食べログも、そして、まだまだ小さいスマイティ(不動産住宅情報サイト)やフォートラベル(旅行のクチコミサイト)などもサービスの改善余地は大いにありますし、新たな領域においても、皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っております。

個人投資家の皆様にも是非ご利用いただければ幸いです。

私自身も、今夜食事をとるお店もcenaで予約しました!(編集室注:取材日は金曜でした)

―― 本日はありがとうございました!