公園や橋、建物などを美しく飾り、幻想的な雰囲気を作り出すライトアップ。
野球場やサッカーグラウンドなどの競技施設を照らし出す、スポーツ施設照明。
あるいは、通行者の安全を守るトンネル内や道路の照明、そして防犯灯。


皆さんが何気なく見ているその照明も、もしかしたら 岩崎電気株式会社 が提供しているものかもしれません。
会社の歴史から導入事例、そして今後の戦略まで、経営管理部の土屋さんにお話を伺いました。

Q1: 御社の事業内容や強み、他社との違いについて教えて下さい。

土屋:
当社の創業は、昭和19年の8月。当時は岩崎電波工業という名前でした。
第二次世界大戦の最中でしたので、軍事用のレーダー装置の部品製造で事業を開始しましたが、その1年後には終戦を迎えましたから、実質的には軍事関連の業務はほとんど手がけておりません。

その後、現在の「岩崎電気株式会社」へと社名を変更し、いわゆるレフ球という白熱球の生産を開始しました。これがガソリンスタンドや工事現場を中心にヒットしましたので、数年後には水銀ランプを、次にナトリウムランプ、メタルハライドランプなどのHIDランプ(高輝度放電灯)を中心に約5,500種類の光源を次々に開発・生産し、道路、街路、公園、あるいはスポーツ施設等といった屋外の施設で使われるランプを中心に納めてまいりました。

ランプだけではなく、照明器具とランプにかかる電流を制御するための安定器 もすべて自社でつくることができる、製造から設計まで自社内で完結できるのが当社の強みと言えます。

―― 資料で拝見したのですが、照明の他に光応用分野もお持ちだとか。

セグメント別売上実績

(クリックして画像を拡大:2012年3月期決算説明会資料 P1より引用)

土屋:
はい。照明分野で培った技術力を使いまして、たとえば紫外線を利用した殺菌・水の浄化、電子線での滅菌・硬化などにも事業の範囲を広げています。可視光から電子・紫外・赤外線までトータルに扱う「光の総合メーカー」となっております。

皆さんのお目に触れることがある製品としては、高速道路の情報表示板――「この先渋滞です」と書いてある、あの表示板があります。

これは発注元が国ですから、今後も10年、15年とメンテナンスできる企業にしか発注が来ません。
日本でもこの分野を手がけているのは7 社くらいですね。当社はそういった発注が来る会社であるとご理解いただければ。

―― 最近は光応用分野よりも照明分野のほうが伸びているようですね。

土屋:
3年前ぐらいまでは光応用分野と照明分野の割合を5:5に持って行きたいということでやっていたのですが、この光応用分野は先ほど申し上げた通り、殺菌や水の浄化と紫外線による硬化・接着が主な用途のため、販売先は製造メーカーさんの工場設備向けが中心なんですね。
ですから、景気が低迷したり、メーカーさんが設備投資を抑制したりといった状態になると、それがそのまま売上に響いてしまうという性質があります。ですからこのところ厳しい数字がならんでいますね。

―― この分野へ参入してくる企業は多いんでしょうか?

土屋:
ものによっては20~30年研究しているものもありますし、簡単に参入できる分野では無いと思います。この分野ではウシオ電機さんが有名ですが、当社はウシオ電機さんがやっていない分野を中心に手がけています。
殺菌や紫外線を使ったものは、最終的には製造ライン に組み込まれることが多いので、最近は韓国や中国の機械メーカーさんとの取引も増えてきています。

―― なるほど…。それではまず、照明分野についてお伺いしたいと思います。
ランプの用途、分野としてはどのようなところが伸びているのですか?

土屋:
当社は7 割ぐらいが屋外施設向けですね。
特に強いのは道路関連で、これは普通の道路というよりは高速道路や大型道路を中心に多くの納入実績を持っています。もちろん、道路に関連するところでは、トンネル内の照明や、防犯灯も納めています。

道路・防犯・トンネル照明の実績

また、屋外施設では橋の照明もあります。
ただし普通の橋はお金をかけてわざわざライトアップはしませんので、モニュメントと申しますか、その地方でも有名な橋に使う照明ですね。

その他には、大規模な街路景観用に使われる器具・ランプなども納めています。

公園・広場・景観照明

―― 先ほど、スポーツ施設というお話もありましたね。

土屋:
スポーツ照明の実績は色々とあります
ですが、今は大規模なスタジアムなどはほとんど作られていませんので、最近はそのメンテナンスや改修案件が多いですね。最近では、ゴルフ練習場や競馬場の照明にも力を入れております。先日、兵庫県の競馬場に関西初のナイター照明ということで設備を納入しました。

スポーツ施設の実績

―― 屋内に関してはいかがですか?

土屋:
商業施設はほとんど手がけていなかった時期もあったのですが、演色性の高いコンパクトタイプのメタルハライドランプが十数年前に非常に脚光をあびまして、これを中心に徐々に商業施設にも進出しだしたという状況ですね。
ただ全体に占める割合で申しますと、商業施設は数パーセントあるかないかですね、

工場施設については、省エネ節電の流れで設備の見直しが進められているという状況でして、その中である程度需要は伸びていますね。工場照明が一部LEDに切り替わったり、HIDの中でもより効率の高いものに切り替わったりという需要はあります。

―― 屋内で増えている分野はありますか?

土屋:
増えてきているのは小中高校の体育館やグラウンドの照明ですね。なぜ増えているかと申しますと、もともと老朽化してきているというのもありますが、節電の関係でLEDが使われるケースが今、非常に増えていまして。HIDからの切り替えですね。

最近ではほとんど新規の案件はLEDです。
ですから今小中高で引き合いがあるのも、LED系の照明器具。天井8~10メートルくらいのところにつくような器具ですね。

Q2: 事業環境とその対応は? また、それに対応する成長戦略は?

―― こちらの決算説明会資料で拝見しますと。HIDがLEDに置き換わって来ている、そういった印象がありますが。

照明部門・売上実績

(クリックして画像を拡大:2012年3月期決算説明会資料 P3より引用)

土屋:
確かにそうですね。
ただ、業績的なインパクトという意味で申しますと、ただそもそも照明市場を屋内・屋外で区分すると、屋内が9割を占めていまして、屋外、特に道路向けではLEDではまだまだこれからの分野です。
長年の技術の積み重ねがあるHIDと違い、LEDは光量、光拡散性、耐久性といった部分で、道路用照明が置き換わるまでは、商品が成熟するのにもう少し時間がかかりそうです 。

当社は今年度(2013年3月期)の照明部門の売上高を380億円と予想していますが、LEDはそのうちの100億円に過ぎません。LEDの売上は今後も伸びていくと見ていますが、今すぐLEDが中心となる、というわけではありません。

―― LEDが屋外で普及しないのは光量が足りないからでしょうか?

土屋:
うーん、そういった面もありますが。屋外、特に道路などの照明は100%官公需 ――つまり国や地方自治体がお金を出すかどうかにかかっていますから、財政が厳しい状況ではなかなか需要が出てこないんですね。

一方で、節電の流れの中でHIDのメンテンナス需要も震災以来極端に落ちています。
電球が切れても交換しない、あるいは交換サイクルが伸びるという状況にあります。

―― 屋外照明の事業環境が厳しい、そういった中で、今後は屋内照明に力を入れて行かれるということになるのでしょうか。

土屋:
はい。本年(2012年)4月に組織改革をしまして、専門の組織として「民需特販営業部」を新設しました。
東京を中心に、仙台・名古屋・大阪・広島・福岡にそれぞれ専任の営業員を配置しまして、民需専門で営業に力を入れております。(編集室注:民需=民間の需要。つまり国や地方自治体ではなく、一般の企業向けということ)

―― 民需となりますと、営業先の数は非常に増えますよね?そこはどのように対応して行かれますか?

土屋:
ご指摘の通りですね。そこは営業効率を考えなければなりませんので、例えば大きなチェーン店の本部組織ですとか、そういった川上を中心に、建物全体の照明のご提案を進めています。

―― LEDは家庭用ではかなり価格がこなれてきているという印象があるのですが、
法人向けはどのようになっていますか?

土屋:
それは法人向けも同じですね。LEDそのものの売価水準が結構厳しくなっている…と申しますか、特に新興の会社さんが非常に安い価格をつけて来られますので、そこはある程度(価格水準を)合わせていかなければならないところはあります。

ですが、その分(編集室注:価格がこなれてきた分)市場としては拡大しておりますので、官公需中心の屋外はしっかりと守りつつ、民需部分でプラスをとっていくというのが基本的な戦略になります。

Q3: 個人投資家の皆様へのメッセージをお願いいたします。

―― 今後の御社の成長を決める鍵はどのあたりになりますでしょうか。

土屋:
この中ではやはり屋外用のLED照明ですね。
当社が強い分野、道路照明やトンネル照明はもちろん、街路灯、景観照明用、防犯用、ライトアップ用と、全ての領域をLEDで対応できるように積極的に商品を投入しています

LED照明器具

それともうひとつは、光応用分野で「光配向方式」の液晶パネル用の紫外線照射装置を手がけています。
これは簡単に言うと、液晶パネル製造時に紫外線を照射することで液晶の品質向上を図るもので、これにより画質が向上し、さらに省電力化もはかれるといういうものです。
売上はまだ数億程度ですが、現在力を入れて開発を進めておりまして、今後期待できる分野だと考えています。

―― 今後の見通しとしては?

土屋:
現在、今後3年間の中期経営計画を策定しています。当社はメンテナンスによる売上が大きいので、突然売上が大きく変動する会社ではありません。

先ほどお話したような事業環境ですので、売上で大きな伸びを見込むことは難しいですが、いかに利益を確保していくか、配当についてもその中でどうしていくか、現在検討を進めておりますので、来春の発表をお待ちいただけましたらと思います。

―― 本日はありがとうございました!