日本には、全部でどれぐらいの証券会社があるのでしょう?
東京証券取引所によれば、「東証総合取引参加社」は93社 (2012年10月9日現在)。

え?そんなにあるの?!と思われた方も、「日本のウォール街」である日本橋兜町~茅場町を歩けば、これまで知らなかった証券会社さんに出会うことができます。
株式会社インタートレード


その茅場町の一角に本社を置く 株式会社インタートレード は、証券会社向けのディーリングやトレーディング業務用などの自社開発パッケージソフトの老舗企業です。
証券業界の事業環境変化をどう受け止め、どのように対応しているのか、経営企画部でIRを担当しておられる山野さん、大西さんにお話を伺いました。

Q1: 御社のビジネス、強み、他社との違いをわかりやすくお願いします。

山野:
当社は創業以来、ディーリングシステム「TIGER」――証券会社のディーラーが株を売ったり買ったりする際の注文(発注)を東京証券取引所等の国内外の取引所に送るシステムの構築を得意としてきた企業です。
システムの開発から導入、運用・サポートに至るまで一貫したサービスを提供してまいりました。

TIGER事業概要図

―― 具体的にはどのような発注に使われるのですか?

山野:
証券会社の注文には、2つの形態があります。

1つ目が「自己資金取引(=ディーリング)」です。
これは証券会社が「自己資金で」直接売り買いして収益を上げていくという性質の取引で、当社が作るディーリングシステムは、この自己資金取引で使われるものです。

2つ目が、「委託取引(=トレーディング)」で、これは証券会社が投資家から注文を受けて投資家の資金を使って投資する―つまり、証券会社は売買の注文を取り次ぐという形の取引です。
この場合、証券会社の収益源は取引手数料となります。当社は委託取引に使われるトレーディングシステムの提供も行っています。

当社は、みずほインベスターズ証券という証券会社出身の3人が創業者となって立ち上げた企業ですので、日本の取引慣行への対応や証券ディーラーにとっての使いやすさ、あるいは日本の証券取引所で定められているコンプライアンスへの対応などで他社よりも先んじている点が評価され、大きくシェアを伸ばしてきました。

―― 技術力が評価されてきた、ということなのでしょうか?

山野:
「技術力」よりむしろ「ユーザーフレンドリネス」が評価されたと思っています。
ディーリングは非常にアグレッシブな(積極的な)取引がなされますので、高速大容量の取引が可能なシステムが重宝される側面はあります。この面では資金力豊富な外資系企業が先行しているのが現状です。

当社は、特にユーザーフレンドリネス――たとえば、お客様が使いやすいように操作方法や画面の表示を設計したり、日本企業ならではの業務プロセスに合わせてシステムをカスタマイズしたり、そういった能力に長けております。

また、サポートの体制が厚く、顔が見えるシステム会社でもあります。そこがお客様の高いご評価をいただいている要因と考えています。

―― 市場におけるシェアはどのようになっていますか?

山野:
現在(編集室注:2012年9月30日現在)、東京証券取引所には東京証券取引所に直接発注を出せる「総合取引参加者」の数は93社なのですが、そのうちの約4割の企業様は、当社と継続的にお取引いただいています。

東証総合取引参加者93社における当社のシェア

Q2: 事業環境とその対応は? また、それに対応する戦略は?

山野:
このように、当社はこれまでディーリングの分野でシェアと業績を伸ばしてきたのですが、2010年1月の東証の株式売買システム『arrowhead』が稼動した後は、主に中堅クラス以下の国内証券会社がディーリング業務から撤退する動きが強まり、当社の主力商品「TIGER」の売上も減少しつつあるのが現状です。

東証総合取引参加者 社数と1社あたりトレーディング損益

―― 御社の市場が縮小しているということなのですね。

山野:
はい。現在のお客様が減少していることに加え、今後の状況が非常に読みづらいというのも事業の舵取りを難しくしている点です。

私どもが主にお付き合いをさせていただいているのは準大手クラス及び地場の証券会社様なのですが、そういった企業様ですと、会社自体は存続されてもディーリング部門をお続けになるかというと、不透明な部分があります。

―― 難しい環境の中、今後はどのような戦略をとっていかれるのですか?

山野:
複数の取り組みを進めています。
主な取り組みの一つは、新規顧客層の開拓です。先ほども申し上げましたように、国内の証券会社が減少する一方で、外資系の証券会社やヘッジファンドが日本に進出しておりますので、そういった企業の開拓に注力しています。この2012年9月期においても、外資系ヘッジファンドを1社、FXでも大手のお客様を1社獲得いたしました。

二つ目は、取引所システムの販売強化です。
本年4月には、関西商品取引所様から「取引所取引システム」を正式受注いたしました
当社は、ディーリングシステムに加えて、高度なノウハウが要求される、顧客注文間のマッチング機能を持つPTS(私設取引システム)においても提供・運用の実績があります。
関西商品取引所様には、その実績をご評価いただいたことが受注につながりました。

―― 国内証券会社向けには、どのような戦略で臨んでおられるのでしょうか。

山野:
ここ数年は、自社型システムからASPへのリプレース(置き換え)を進めています。
今までは、ハードウェアを含むシステムをお客様企業にご購入いただくという、いわゆる自社型のシステムを導入していましたが、今後については、ハードウェア自体は共用としてサービス部分をご利用いただくASPを活用することで、より効率的に低コストでサービスを提供する方針です。
それにより、シェアの維持と顧客満足のさらなる向上を図っていきます。

当然自社型の方が売上は大きいのですが、一方で世の中はテクノロジーが進歩し、「ディーリングシステムのコモディティ化」も進んでいる。そういった中では、当社が先んじて効率的なサービスを展開することで、シェアの維持とサービス品質の向上を図るべきと考えております。

―― 最近では、投資顧問事業からの撤退というリリースがございました。

山野:
はい。収益の多角化という観点から、より上流のビジネスへ進出しようということで、証券会社や投資顧問会社といった「金融事業」そのものへの進出を進めてきた時期があったのですが、残念ながら外部環境等の要因により予定通りの収益をあげることができませんでした。
この方向はいったん見直しとしまして、現在は別の方面へ業務を広げていこうとしているところです。

Q3: 今後の成長を見据えて取り組んでいることは?

―― 別な方面と申しますと…?

山野:
非金融のお客様を対象とする事業の立ち上げです。
当社がすでに持っている経営資源――人材やノウハウ、技術力などを活かしつつ、早期に安定的な収益構造を確立することを目指しています。

事業マトリックス

―― ITソリューション事業では、どのような社内資源を活用していかれるのですか?

山野:
当社のようにニッチな分野に特化した企業の場合、ソフトウエア開発だけに特化していることが多いのですが、当社の場合はインフラ管理からSI(システム開発)、サポートまで自社で担っています。
証券ソリューションというニッチな分野ではありますが、機能的にはワンストップサービスに近いところを持っているからこそ、証券業界で多くのお客様のご支持をいただくことができました。

せっかくのフルラインサービス体制ですので、証券以外のお客様にも活用していこうというのが、ITソリューション事業の基本的な考え方です。

大西:
当社は大変実直で裏表のない社風で、居心地が良いため、人が残りやすいのです。
そのため、ノウハウや技術、経験を積んだ社員が多く在籍しているのも当社の強みです。

ITソリューション事業概要図

山野:
こういった当社の力を早期に新たなお客様へと展開していくため、2012年10月に、経営管理ソリューションパッケージ「GROUP CATS」の開発及び保守を行う株式会社ビーエス・ジェイ(以下、BSJ)を子会社と致しました。

BSJの年商は数億円ではありますが、上場企業中心に売上規模の大きい顧客を10社弱有しております。
まずはこの顧客基盤に対して、現在提供している「GROUP CATS」以外にもサービスを展開し、取引を深耕するところからスタートしていきます。

―― フードサービス事業については?

山野:
システム会社である当社がフードサービス事業を行うことは意外に思われるかもしれませんが、外部環境と社員の意欲を重視し、適切なリスクコントロールを行うことを前提に事業を開始しました。
まずはβ-1,3D-グルカンを豊富に含有するキノコ「ハナビラタケ」の生産と販売を進めております。独自ブランドの「はなびらたけ粒」の販売も開始いたしました。

この分野では様々な研究開発を続けており、「健康」をキーワードとしてより多くの人に親しまれる事業にしたいと思っています。

フードサービス事業概要図

(クリックして画像を拡大)

当社の経営理念の一つに「新たな価値創造への挑戦」があります。
このフードサービス事業は、当社のこれまでのビジネスから考えればかなり異質ではありますが、テクノロジーとお客様視点でのサポート、この両輪で新たな価値をお客様にご提供する、そういった意味では当社の本質と申しますか、存在意義から外れたものではないと考えております。

Q4: 個人投資家の皆様へのメッセージをお願いいたします。

―― それでは、個人投資家の皆様へのメッセージをお願い致します。

山野:
当社が初めてディーリングシステムを世に出したのは、いわゆる「場立ち」(取引所で売ったり買ったりする人)がいる時代のことでした。
その後も、日本初のオークション方式のPTS(私設取引所)を開発するなど、日本初の、そして業界の価値観を変えていく取り組みを進めてきた企業です。

これからもインタートレードは新たなものを興していける企業でありたい。社長以下社員一同、常にそういう気持ちを持っています。

―― 現在はまさに事業の転換期といった状況かと存じますが、IR活動についてはどのような方針で臨んでおられるのですか?

山野:
IRについては「実直に過不足なく」が基本方針です。最近は業績的には厳しい時期で、悪いニュースも多いのですが、そういった中でもとにかく実直に、過不足なく皆様に状況をお知らせすることで、ご信頼を得ていきたいですね。

その一方で、私たちは「経営企画部」ですから戦略の策定と実行も進めまして、当社のダイレクトな収益力にも貢献することで、株主・投資家の皆様のご期待にお応えしてまいります。

―― 本日はありがとうございました!