法人・医療機関向けITソリューションから、モバイルインターネットサービス、最近はソーシャルゲーム企業の買収など、B to B、B to Cの枠にとらわれずに幅広くサービスを展開するインフォコム株式会社

同社広報・IR室の松尾さんに、2つの分野の事業分野の生い立ちから事業シナジー、そして今年から始まった中期経営計画まで、お話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?また、その強みはどこにありますか?

オーダーメイド型システム開発(B to B事業)からスタートした当社は、B to Bではパッケージ製品やクラウドサービス、B to Cではコンテンツ配信サービスなど、より付加価値の高い事業形態へ進化し、成長基盤を築いて来ました。

松尾:
当社の事業内容は、大きく分ければ「企業向け(B to B)のITサービス」と「消費者向け(B to C)のネットサービス」の2つになるのですが、その内訳は多岐にわたっておりますので、なぜその事業を行っているのかも含めてご理解いただけるように、私たちインフォコムの沿革からお話を始めさせて下さい。

B to B事業の歩み

当社は、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)が出資するIT企業として、昭和58年(1983年)にスタートしました。携帯電話など電気通信事業者向けのシステム開発に加えて、平成13年(2001年)には、病院向けシステムに強みを持つ、帝人株式会社の100%出資IT子会社との合併を通じてヘルスケア分野もラインアップに加えるなど、対応できる業界の幅を広げてきました。

「業界」の他に、もうひとつ当社が力を入れてきたのが、親会社向けのシステム開発で培ってきたノウハウや技術力の活用などの外販化でした。
折しも、1990年代前半には、バブル経済崩壊後の不景気の中で「リエンジニアリング*」ブームをきっかけに、中堅企業においても、海外発のERP(Enterprise Resource Planning package**)パッケージソフトの導入ラッシュが起きました。

当社も、オーダーメイドシステムの受託開発の他に、海外製ERPの導入を企業様へ進めてきたのですが、そこで大きな悩みを抱えることになりました。
* 正確には、 BPR (Business Process Reengineering)。「部門最適」なこれまでの考え方を捨て、全社レベルの抜本的なビジネスプロセスの構築を進めること。
** 企業の経営資源を有効に活用し経営を効率化するために、基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するためのソフトウェアパッケージ。

―― 何が起きたのですか?

松尾:
海外製ERPの使い勝手が日本の会社には合わなかったんです(苦笑)。
ERPを導入するということは、ある意味、仕事のやり方をシステムに合わせなければならないのですが・・・どうしても海外発の製品では日本の商習慣に合わないんですね。
では安いのかと言えば、価格も下手をすると数十億円になることもあり。
それでは国産製品なら良いのかと言えば、こちらは規模の小さな企業を対象としたものが大半で、中堅企業に適したERPというのは世の中になかったのです。

当社自身がまさに、日本の産業の中では「中規模企業」ですので、お客様のお悩みは痛いほどわかります。こうして「自分達が欲しいと思うERPがない」というこの問題を何とかしなければ!という意識は、当社の中で高まっていきました。

―― それでどうしたのですか?

松尾:
同じ悩みを抱えているユーザー系SI企業、つまり、当社のように、ユーザーである親会社を持つシステム開発会社を中心に、コンソーシアム(複数の企業が共同で何かの目的に沿った活動を行う組織)を立ち上げました。

参加企業のそれぞれが、親会社のシステム開発を通じて培った、多様な業界に関する知識や業務フロー、システム構築に関するノウハウなどの叡智を持ち寄り、まずは自分たち自身が使いやすいERPとは何か?どうすれば良いのか?を共に考え抜く。
そして、その結果を、当社が設立した子会社(インフォベック)がユーザー視点の「本当に使いやすい」ERPとして製品化し、コンソーシアムのメンバー企業はその販売を請け負う・・・という、これまでにない方法でERP「GRANDIT」を生み出したのです。

―― なるほど。合併により対応できる業界が広がったことと、蓄えてきたノウハウの活用を進めてきた結果、通信キャリア事業者向けや病院向けシステムの他、中堅企業向けに独自のERP「GRANDIT」を持つようになってきたということですね。
では、B to C事業についてはいかがでしょう?
B to Bのシステム開発会社さんがB to Cのサービスで成功している例というのはなかなかお聞きしないので、大変興味があるのですが・・・。

松尾:
はい、ご説明します。

B to C事業の歩み

先ほど、合併前から携帯電話事業者向けのシステム開発を行ってきたとお話しましたが、これが、1999年の携帯電話向けコンテンツ配信事業「めちゃメロ®(着信メロディ)」開始のきっかけとなりました。
このサービスは、携帯電話の爆発的な普及を背景に、飛躍的に拡大しました。
「めちゃメロ」は豊富な楽曲の品揃えを強みに、ジェイフォン(現ソフトバンク)の「J-スカイ」で人気No.1を誇る着メロサイトとして成功しました。

その後、着メロ市場自体はゆるやかな縮小傾向にありますが、平成18年(2006年)には携帯電話向け電子書籍配信サービス「めちゃコミックス®」を、翌平成19年(2007年)には「めちゃうた®フル(着うた)」などを立ち上げることで着実に顧客層(特に女性)を増やしてきました。
また、これら一連のサービスを通じた培った携帯電話などのデバイス向け技術は、この後、B to Bビジネスにも生きてくることになります。

―― B to Cは「ネットビジネス」――特に「電子書籍」や「携帯デバイス向け」「働く女性を中心とする顧客層」がキーワードですね。
では、これらの取り組みの結果、現在の事業構成はどのようになっているのかについてお聞かせいただけますか?

松尾:
ちょうど今年度(2012年4月~)より「お客様」と「市場」を軸にセグメント構成を見直しまして、B to C(消費者向け)の「ネットビジネス・セグメント」と、B to B(企業、医療・公共機関向け)の「ITサービス・セグメント」の2つに大きく分類しております。

「ネットビジネス・セグメント」と「ITサービス・セグメント」

(出展:2012年3月期決算説明会資料)

2012年3月期の売上高約360億円のうち、ネットビジネス(B to C)が約120億円、残りの約240億円がITサービス(B to B)となっております。特長としてはネットビジネスの成長が右肩上がりで、当社全体の成長をけん引しています。

 

Q2: 現在の事業環境をどう見ていますか?その中での成長戦略は?

ヘルスケアとGRANDIT、そしてネットビジネス。この3領域を、成長を加速させる重点事業領域と位置付け、現中期経営計画では重点的に資源を投入します。

B to B(ITサービス)

松尾:
B to Bに関しては、全般的に底堅い需要がありますが、当社としましては、自社の強みを生かし、かつ効率的に事業を展開することを基本的な考え方としています。

―― 具体的にはどのような分野が対象となるのでしょうか?

松尾:
当社がもともとノウハウを持っており、かつ、医療財政の逼迫を受けてまさに「改革、効率化待ったなし」の状況にあるヘルスケアの領域において、従来の医療機関向けに加えて、「薬」をキーワードに、「製薬会社向け」や「健康保険組合向け」「調剤薬局向け」の新規事業立ち上げに、集中的に取り組んでおります。

新事業も、基本的に定期収入を得られる(=ストック型)ビジネスを中心として展開する予定ですので、新たな成長機会を掘り起こしつつも開発費負担をこなし、さらに再投資のためのキャッシュフローも得ていく方針です。

ヘルスケア

(出展:2012年3月期決算説明会資料)

また、事業環境が厳しさを増す中で、企業の効率化ニーズも大変強いものがありますため、引き続き「GRANDIT」にも注力します。これまでの中堅企業向けに加えて、現在開発中の新バージョンでは、多言語、スマホ機能などを強化し、大企業のグループ会社向けの導入も推進していきます。

B to C事業

B to Cに関しては、スマートデバイス(iPad、iPhoneなど)の普及にともなって、これまでにインターネットコンテンツを利用していなかった方々を含めて利用者数、市場規模ともにも加速度的に増える、まさに未曽有の好機が到来しています。
当社としましてはこの機会を逃さず、積極的な取り組みによってネットビジネスをさらに成長させる方針です。

ネットビジネス市場規模

(出展:ネットビジネス市場予測:野村総合研究所)

現在、当社のネットサービスには「コンテンツ配信」(電子書籍など)、「eコマース」、「ソーシャル・メディア・サービス」の3つがありますが、ソーシャルメディアをさらに強化すべく、本年8月に株式会社イストピカを買収し、成長著しいソーシャルゲーム分野へと参入しました。
今後は、既存タイトル、新規タイトルの販売を伸ばすことはもちろん、当社が保有する電子書籍分野との連携なども視野に入れ、育成していきます。

―― M&Aは今後とも有力な選択肢となるのでしょうか?

松尾:
そうですね。栄枯盛衰が激しいネットビジネスの分野では、参入のスピードやタイミングが重要となります。この点、当社の場合は事業の大半が「ストック型」つまり、キャシュフローは潤沢であるという強みを生かして、必要な分野にはM&Aで参入していけるところは大きな強みのひとつです。

インフォコムグループ ネットビジネス事業


当社は「ヘルスケア」「GRANDIT」「ネットビジネス」を重点分野と定め、これらの施策を推進することで、2017年3月期には連結売上高550億円/連結営業利益50億円、2021年3月期には連結売上高1,000億円/連結営業利益100億円とする目標の達成を目指します。

また、連結売上高に占める重点分野の割合を60%以上とすることを目標に、成長を加速していきます。

 

 

 

 

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Q3: 個人投資家の皆様にひとことをお願いします

インフォコムはこれまでも、常に時代の変化に合わせて事業形態を進化させてきました。
私たちは今後もグループスローガンである“United Innovation”の原点に立ち返り、市場の変化に合わせて自ら“進化”し(=Innovation)その進化を“積み重ねていく事”(=United)で、グループ全体の成長を加速してまいります。

今年度からは、皆様へのより充実した情報のご提供を目指して株主通信の内容も一新し、個人投資家向けIR説明会も再開しておりますので、当社にご興味をお持ちいただけましたら是非お運びください。

―― ありがとうございました!