世の中のインフラは「動いているのが当たり前」と思っていませんか?
銀行のATMが止まる、携帯電話が繋がらない、電車が止まる、困りますよね?世の中のインフラが1つのシステムで動いている結果、数千万に影響が出ることも珍しくありません。

そして、ここ数年は、セキュリティの問題も深刻です。
インターネットを通じたセキュリティ攻撃により、システムが停止する事例も増えてきています。
「安定的なサービス運用力」が、サービス自体の競争力を左右しかねない現在、IT企業においても、システム開発力に匹敵するほどシステム運用力は重要です。

本日お伺いするのは、金融・通信などのシステムを安心・安定運用させるプロ集団の インフォメーション・ディベロプメント(ID)
「システム運用」を軸に、トータルソリューションを提供する同社の戦略について、社長室の石山さんにお話を伺いました。

(上の画像は同社メージキャラクターのマナちゃんです(CM動画にリンク))

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

―― 御社はシステム開発の会社ですか?

石山:
当社は、IT周りをトータルでご提供できることを強みにしていますが、中でも事業の柱となっているのはシステム運営管理です。
企業さんのデータセンターが正常・円滑に動作するように、私共の社員が常駐しまして、24時間365日体制*で監視や管理などのメンテナンスや、データのバックアップをしています。
(*)お客様の契約によります

このシステム運営管理が売上の6割ほどを占めており、残り4割弱がシステム開発、その他4%ほどがセキュリティやコンサルティングとなっています。

IDの事業について 事業別売上高構成
(クリックして画像を拡大)
ホームページ「IDのサービス」より引用
(クリックして画像を拡大)
2013年3月期、通期決算説明会資料 P16より引用

―― 御社は、IT業界でも非常に歴史が長いですね。 どのような経緯で現在のような事業形態になったのですか?

石山:
当社は昭和44年設立で、今期46期目になります。
創業当時は、データ入力――銀行の伝票や保険の申込書のような大量のデータ入力作業を主に金融機関のお客様から一括で受けて入力する仕事をしていました。

当時はまだコンピューターではなく電算センターと呼ばれた時代で、システム運営管理という仕事自体も無かったんですよね。

―― そうですよね、サーバーどころか、そもそもホストコンピューターもなかった時代。

石山:
はい。そのうちに、銀行さんから運営管理の仕事って出来ないか?という打診がありまして、コアビジネスが受託のデータ入力から、徐々にシステム運営管理にシフトしていきました。

その後、運営管理の前段階、つまりシステム構築もお客様からの打診でスタートした結果、一気通貫で全部ご提供できるというコンセプトで仕事の範囲が広がってきました。

―― 現在でもお客様は金融機関が中心なのですか?

石山:
そうですね、金融機関さんが5割強を占めています。
とはいえ、事業環境は常に変化していますので、今までのお客様を大事にしつつ、新しいお客様の開拓も進めております。

顧客別売上高構成

(クリックして画像を拡大 :2013年3月期、通期決算説明会資料 P16より引用)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 事業構造から見ると、システム開発がメインの企業さんは業績変動が大きい傾向がありますが、御社の場合は毎月のメンテナンスが中心なので、売上は手堅く安定しているという理解になりますか?

石山:
当社としては、運用と開発の「いいとこ取り」――ストックビジネスであるシステム運営管理で基盤をしっかりと固め、利益率が高いシステム開発でこれに上乗せ――をしたいと思っています。
システム運用だけの企業より成長できますし、システム開発の企業よりも収益のブレは少ない。
無論、システム開発で不採算案件を出さないことが前提ではありますが。

―― 御社は経営理念に組織づくり、人づくりについて書いておられます。人を育てることには、会社としてこだわっておられるのでしょうか?

石山:
社員の成長は当社の生命線です。人が育たなければ会社が本当に苦しくなる。
この業界は、人が伸びなければお客様から同じ単価は頂けないのです。ですから常に成長し、より高度な仕事をしてもらわないと。

優れた技術と経験を持った技術者は、いくらお金出しても欲しいんですよね。
でも、いい技術者は業界で取り合いになっているので採用はなかなか難しい。ですから、中途採用だけでなく、自社で育てるんですね。
当社には社内に人材育成の文化が出来ています。上は下を育てるし、下は上が成長するのを見ているので、自分も成長しようとする。

―― IT業界では、ここ2年ほどソーシャルゲーム会社さんの採用意欲が高いこともあって、採用は難しく、給与水準も高騰していますね。
ITエンジニアは、せっかく中途で採用しても正直2−3年で転職してしまう人も多い業界と聞いていますから、自社で育てられる方が組織としては強いと思います。

Q3: 事業環境とその対応は?また、それに対応する成長戦略は?

―― クラウドの普及によって、低価格化や売上減少などの影響を受けているシステム開発(SI)の会社さんもあると聞いています。
クラウドはまだ話題先行なのか、それともすでに実際に浸透し始めているのでしょうか。
また、御社の事業環境や業績への影響をどう見ておられますか?

石山:
「クラウド」は非常に幅広い概念ですので、最初に少し整理させて下さい。
まず、クラウドが提供するサービスの範囲で見ますと、

  • ● サーバー機器等のハードウェアと基本ソフトウェア(OS)のみ (IaaS: Infrastructure as a Service)
  • ● 業務ソフトウェアとIaaSを一体で提供 (SaaS:Software as a Service)

の2つに分かれます。
業務ソフトウェアを提供するクラウド(SaaS)と、ソフトウェアの基盤のみ提供するクラウド(IaaS)とは全く別のサービスです。

次に利用者の面で見ますと、

  • ● 複数の企業様でシステムを共同利用するパブリッククラウド
  • ● 一社様でシステムを占有するプライベートクラウド

があります。これらをまとめたのが下の図です。

クラウドサービスには4種類ある

(編集部にて図表を作成)

このように、範囲の異なる4種類あるサービス(SaaS/Iaas/Public Cloud/Private Cloud)を全て「クラウド」と呼ぶのが分かりづらいくなる原因です。
投資家の方からもよく聞かれますし、当社としてもいつも説明に悩む部分なのです。

先程のご質問に戻りますと、現状では、当社の最大のお客様である金融業界でクラウドを利用するといった話は聞いておりませんので、業績への影響は特にございません。

というのも、金融業界ではセキュリティが極めて重要となりますので、特に他社さんと共同で利用するようなクラウドはまだ使いにくいのではないですかね。大手企業様では多かれ少なかれ「共同利用」がネックになるとみています。
ですから、日本の大手企業様で利用されるのは、1社だけで利用するタイプのクラウドサービス(Private Cloud)なのではないでしょうか。

ただし、その普及には課題があります。
データセンターの設備をクラウドで代替できるようになっても(設備のアウトソースが出来ても)、システムの運営管理はお客様側で行う必要があるんですね。そこは自社でデータセンターを持って運用する場合と変わりません。

システム保有の3つのコスト

(編集部にて図表を作成)

そこで当社では、お客様が機器はもちろん、システム運営管理もお客様の業務から切り離せるように、サーバー機器をご用意し、システム運用(当社ではOaaS(Operation as a Service)と呼んでいます)まで一緒に提供する、お客様が日々のシステム維持・運用を完全にアウトソースすることができる「IDクラウド」というサービスをご提案しています。

(ホームページより:リンク先にて動画を再生)

―― 運用のサービス化、OaaSというのは始めて聞きました。

石山:
数社共有のパブリッククラウドであれ、1社専有のプライベートクラウドであれ、様々な場所に分散している複数台のサーバーを集約化して効率化するという点では同じです。言い換えれば、データセンターがどんどん大型化していくようなものです。

集約化・大型化が進めば、システムが止まった場合の影響も大きくなり、扱うデータ量も格段に増えます。システム運用の難易度は飛躍的に高くなる。そうなると、やはりデータセンターの運営管理は、大規模システム運用に精通したプロに任せたいという流れになっていくと見ています。

また、そうやって小規模なシステム運用の集約化が進めば、これまでは当社のお客様ではなかったような企業様からも当社にアウトソースして頂けるようになる、つまり、クラウド化の流れは当社に取ってはプラスになると考えています。

―― 顧客層が広がる可能性があるのですね。

石山:
はい。これまで、当社のお客様は大手企業様がほとんどで、その大手の企業様の関連会社さん向けの商材はあまり持っていませんでした。
ですがこの「IDクラウド」を始めたことで、「クラウドに乗せませんか?」「もっとメンテナンスフリーにしませんか?」とご提案ができますし、実際、顧客層を広げる良い商材になっています。

クラウドを活用したコストの削減、効率化に関する具体的検討はまだまだこれからという段階ではありますが、今後は、こういった新たなシステム運用(基盤系運用)事業を伸ばしていきたいと考えています。

構造改革 業績推移イメージ

(クリックして画像を拡大 :2013年3月期、通期決算説明会資料 P23より引用)

―― よく分かりました。
話は変わりますが、昨年から今年にかけて海外との提携や海外子会社の設立など、海外向けの展開が多いようですが、その狙いについて教えていただけますか?

石山:
海外では、以前から中国の武漢(ID武漢)で、オフショアのシステム開発と、システム運営管理を行っていました。加えて、昨年、シンガポールとアメリカに子会社を、ロンドンに支店を立ち上げました。

グローバル展開

(クリックして画像を拡大 :2013年3月期、通期決算説明会資料 P23より引用)

シンガポールは、ミャンマーやマレーシアなどを含め、今後伸びが見込まれる東南アジア全体のビジネスを拡大していく拠点と位置付けています。

当社では大手のお客様がアジアに進出しておられるケースが多いため、現地のITサポートをもっと充実させるために進出しましたが、日本国内の市場は低迷しつつありますので、今後は東南アジア向けサービスをより充実していきたいですね。

―― 日本のお客様が東南アジアに進出される場合、データセンターやシステムも持っていくことが多いのですか?

石山:
そうですね。現地の情報は現地で管理している会社さんが多いです。
当初は、お客様側で現地の人材を雇用してシステム運営管理を行われていたようなのですが、
●技術を持った人材の採用が非常に大変
●せっかく雇用しても比較的短期間で辞めてしまう
といったことから、当社に運用を一式まるごとご依頼いただくという話もございます。

―― 東南アジアと言えば、金融機関以外にも製造業なども多く進出されています。

石山:
そうですね、金融以外では、ある物流関係のお客様のシステム周りのお手伝いもしています。 これは、もともと当社のお客様ではなく、現地のパートナー企業のお客様です。

シンガポールを拠点に選んだのも、現地に良いパートナーが見つかったためで。やはり現地の様々なノウハウを持ち、現地の顧客を持っているパートナーと一緒に事業を展開できるのは非常に大きいですね。

―― 金融以外でも東南アジアに進出している業種への広がりが期待できるということですね。
それでは、アメリカの子会社についてはいかがでしょう?

石山:
アメリカは人材確保と新規商材の発掘の意味合いが強いですね。

グローバル展開にあたってはやはりグローバル人材の獲得・育成が重要ですので、良い大学が多いボストンに拠点を置いています。
もう1つの目的は、データセンタービジネスと親和性の高い商材、アプリケーションを見つけることです。やはり、アメリカは研究所やベンチャーが多く、展示会も盛んです。新しいサービスは米国から始まることが多い。それをいち早く見付け出して、当社のビジネスと組み合わせる。そうやって出来た新しいサービスを国内や東南アジアで展開していくことも中期的な目標としています。

Q4: 個人投資家の皆様へのメッセージをお願いいたします。

―― それでは個人投資家へのメッセージをお願いいたします。

石山:
当社の事業は個人の皆さまには分かりにくい部分もございますので、株主通信は、できるだけ親しみやすい内容や書き方を心がけています。

また、 皆さまとの直接コミュニケーションも重視しておりますので、東京だけでなく、全国各地で個人投資家向け説明会を開催しています。お近くで説明会われるが行際には是非お越しいただき、声をかけて頂ければと存じます。

当社は、個人株主の皆さまにファンとして永く愛していただきたいという気持ちを込めて、安定的な配当を続けています。株主の方々の期待でもある安定的な配当を今後とも継続できるよう、努めてまいります。

―― 本日はありがとうございました!