薬の「粉」を「粒」にする技術を有する会社は、世界に3社ほどしかなく、アジアでは唯一の企業であるフロイント産業株式会社
そして、その分野のハード(機械)とソフト(サービス)の両方を持っている持っている世界で唯一の会社です!

同じ薬の分野でも製薬メーカーとは違う、「造粒・コーティング技術」のグローバルビジネスについて、同社の企画IR室長の津久井さんに、お話をうかがいました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

津久井:
身近なところでは、ドラッグストアをご覧ください。そこで処方される薬、また市販風邪薬などや栄養補助食品(サプリメント)は、もともとは成分の入った「粉」でしかありません。私たちは、その粉を「粒」にする技術(造粒・コーティング技術)を基に造粒・コーティング装置を開発・製造をしています。

―― 粒にするのに技術が必要なのですか?

津久井:
もちろんです。造粒やコーティングには、薬の効き目を決めるぐらい大きな役割があるんですよ。

たとえば、少し前まで薬は「朝・昼・晩の3回服用」が普通だった薬も、最近では「朝1錠飲むだけでいい」というようなものもあります。これは、どうしてだと思いますか?

―― うーん。薬がゆっくり溶けるようにしてあるんでしょうか?

津久井:
正解です。
薬は、お団子みたいにただ丸めて作るわけではありません。

錠剤の中は、ちょうど地球の断面図みたいにいくつもの層になっています。
それぞれの層に、口触りを良くしたり、胃酸で溶けないようにしたり、薬の成分を腸の所まで運ぶなどの役割を持たせて、なおかつ一度に何万錠という単位の薬剤を1錠1錠、同じものを作るにはなかなか特殊な技術とノウハウが必要になります。

―― なるほど。御社はその技術をどう具体化しておられるのですか?

津久井:
造粒・コーティング装置などの機械を製造販売する事業(「機械部門」)と、その機械を使ってサプリメントや医薬品添加剤などを製造販売する事業(「化成品部門」)の2つがあります。

―― そもそも御社が造粒やコーティングを始めた理由は?

津久井:
薬のコーティングの歴史は、今から50年ぐらい前に始まりました。
丸薬や粉薬、注射が主体だった薬の世界に飲みやすさが求められるようになったためです。
ただし当時はまだ、コーティング液にザバッと漬けて、またザバッとあげて乾かすぐらいのものでした。これを自動化しようと創業者が立ち上げたのが当社です。

それから、私達の機械と化成品(医薬品添加剤など)は二人三脚のような形で発展してきました。そういった経緯がありますので、日本の製薬会社さんで「粒」の薬を作る企業であれば、ほぼ100%当社がお手伝いをさせていただいています。


Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

津久井:
ハード(造粒・コーティング装置)とソフト(製剤)、その両方を持っていることから生まれる製剤技術です。いずれかを事業にしている会社は他にもありますが、両方を持っているのはグローバルでも当社だけです

この「ペンとインク」のビジネスモデルがあるからこそ、当社は継続的に製剤技術を高めることができます。

ビジネスモデル

(クリックして画像を拡大:ビジネスモデル:第48期年次報告書pp.7-8より引用)

―― 競合企業はどのぐらいおられるのでしょう?

津久井:
ソフトのほうは化学系の企業で、これは国内でも多数社あります。
ハードは当社を入れてグローバルで競争しているのは3社程度しかありません。

―― 世界で3社!どうしてそんなに少ないのでしょう?

津久井:
参入障壁ではないのですが、それに近いものはある業界だからかもしれません。
製剤機械の分野で当社の競合メーカーが新たに出てきたとして、それをクライアントである医薬品メーカーさんが選ばれるかというと、なかなか難しいように思います。
医薬品メーカーさんは研究開発の段階で既に大変大きなリスクを取っておられますので、製造の段階で使ったことのない機械を使うということに対しては大変慎重になられる傾向があります。

―― 一度お取引ができると、その後は長い関係になりそうですね。

津久井:
そうです、大変長いです。研究設備の段階からご一緒させていただいた場合など、そこからだんだんとスケールアップしていきます。

―― 納入先によって収める機械は違うのですか?

津久井:
はい、汎用品はありません。納入先によって求められる仕様が違いますので、全品カスタマイズしています。
もちろん、電車と自動車ぐらい違うということはないんですが、同じ車のボディを使っていても、エンジンの大きさが違うとか、そのぐらいの違いがあるとイメージしていただければ、良いかと思います。












Q3: 事業環境をどのように見ていますか?

―― 年次報告書にはジェネリック医薬品が追い風とありましたが。

津久井:
そうですね、ひとつの大きな要因ではあります。
ただ、製薬業界全体の構造転換期における設備需要の増加、と言ったほうがより正確だと思います。

国の政策によるジェネリックの普及促進を受けて、ジェネリックメーカーはもちろん、新薬メーカーもグループの中にジェネリックメーカーを持ったり、あるいは薬の製造工程を外注したりと色々な動きがあります。こういった製薬業界の大きな変革期の中で、全体の設備需要が伸びています。

―― 栄養補助食品(以下、サプリ)の事業環境はどうでしょう?

津久井:
こちらも伸びていますね、元気でいたい方々が増えているからでしょうか(笑)

サプリで重要なのは、利用者様に効き目を自覚していただくこと。
だから最近は効き目をどのように体に吸収させるかを研究して、薬のような構造で作っていたりします。
当社の浜松研究所がメーカーさんと共同開発した商品で非常に人気が出ているものもあります。

―― 製薬もサプリも環境は非常に良いようですが、今後の課題などはありますか?

津久井:
おっしゃる通り、市場環境について、現時点で懸念していることはありません。
ただ、当社の売上はまだまだ国内と先進国が中心ですから、当面の少子高齢化は当面の間は、フォローになりますが、その先の人口減・需要減を海外、特に新興経済国でどれだけ補っていけるかが課題です。

 

Q4: 海外展開は?

―― 中期経営計画の目標に海外を挙げておられるのはそれが理由なんですね。先ほどグローバル3社とありましたが、海外での競合状況はどうなっていますか?

津久井:
両社とも欧州の企業ですので、欧州市場ではさすがにこの両社が圧倒的に強いですが、アジアは当社がダントツに強いです。
インドでも、欧米に輸出している上場クラスの製薬会社は当社のユーザーになっていますね。

その次のクラスは、まだまだレベルに差がありますが、今後はレベルアップしたいという企業もあり、そこには設備需要がある。このあたりを取り込んで行きたいところです。

―― やはり新興国市場が成長の鍵なのでしょうか。

津久井:
IMSというグローバルでの医薬品・ヘルスケア調査会社の予測ですが、BRICsを含めた新興17か国の合計で、2011年から2015年の今後5年間に日本1国分の市場が誕生すると言われています。これは金額ベースですから、(薬価の低下を考えれば)量はもっと増えるということになります。

市場の伸びはもちろん大事ですが、当社にとってさらに重要なのは、それぞれの国がこれまでのような単純な消費国ではなく、生産国になると予測しています。


現にインドは今、ジェネリックの一大生産拠点になっていますし、トルコ、メキシコ、南アフリカなども当社の米国子会社(FREUND-VECTOR CORPORATION。以下、F/V社)から納入しています。「生産国に変わる」という予測は外れていないな、と実感しています。

―― 有望な市場ですね。

津久井:
そのとおりです。
今後一層市場が大きくなっていくところにグローバル3社でアプローチしているわけですから、その中で立ち位置をうまくとっていくことができれば、当社が対応する分野も広がっていくだろうと見ています。

―― VECTOR社が果たす役割も大きいのでしょうか?

津久井:
そうですね、F/V社は北米、南米はもちろん、中近東、アフリカまでカバーしていますので。
前期まで8期連続増収、今期も更新できそうですし、当面こういった基調が続くと思っています。

Q5: 個人向けIRの考え方は?

―― F/V社や海外戦略はこの「年次報告書」にも紹介されていますね!

津久井:
実は当社のIRは昨年始めたばかりです。この年次報告書は、私が「IRの1年生」として初めて作ったものの1つになります。

体裁としては個人の株主様向けに作成しましたが、中身は当社が機関投資家とのOne on Oneミーティングで話している内容と同じ・・・より、もしかしたら多いかもしれません。年次報告書を読んでいただくだけでも、機関投資家とほぼ同じ情報を入手できるかと思います。

―― IR1年目を終えて、成果はいかがでしたか?

津久井:
去年、IRを始めた頃に比べれば機関投資家との面談の回数も著しく増えていますし、出来高も大きく違います。もちろん業績など他の要因も関係しているとは思いますが、ある程度わかりやすくIRの成果が出ていると思います。

―― 今後個人投資家向けにもっと頑張りたいなど方針はありますか?

津久井:
機関投資家向けだから、個人向けだからという区別はあまり考えていません。
どちらに対しても平等に同等の情報を提供するというポリシーでやっています。

ただ、機関投資家向けの決算説明会は年2回あり、それ以外にも当社から訪問したり先方が訪ねて来られたりというのはありますが、個人投資家向けに何度も社長が出ていってご説明できるかというと、現実にはなかなか厳しいですね。
特に今年は、社長が化成品の部門長を兼任しているので、時間をとりづらいというところもあります。

―― 部門長を兼任ですか!理由は何ですか?

津久井:
社長は今までずっと機械の国際ビジネス畑で来ましたので、当社は2つのセグメントしかないものですからもう一方も経験したという意向です。

そんな事情で外出は最小限にせざるを得ないのですが、それに代わるものとして、9月7日の日経IRフェアのウェブセミナーには参加します。

10月の最終週には個人投資家説明会を開催しますが、こちらも当社ウェブで同じものをご覧いただけます。
実際の開催回数が限定される分はそういった形で補おうと思っておりますので、是非ご覧ください。

―― ありがとうございました!