2012年12月20日、東証マザーズは、あるベンチャー企業の登場に沸きました。それが、株式会社ユーグレナ
従来はほぼ不可能と言われていたミドリムシ(学術名:ユーグレナ)の屋外大量培養に、世界で初めて成功した企業です。

創業者である出雲社長が、バングラデシュの飢えと貧困を救うために探し求めた「栄養素の固まり」として。食料需給を逼迫させないバイオ燃料の素として。あるいは、高い二酸化炭素削減能力を持つ生命体として――。ミドリムシの様々な可能性に賭ける同社は、創業から8年を経た今、何を見据え、どのような課題に取り組んでいるのでしょうか。
同社の財務と経営戦略を担う取締役経営戦略部長の永田さんに、お話をうかがってきました。

※なお、本文中で読者の皆様の理解促進に役立つ と思われる箇所において、同社の許可を頂き、同社代表取締役社長・出雲充氏の著書「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。~東大発バイオベン チャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦~」からの引用文を掲載しております。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい

目論見書より:

当社グループは、当社及び関連会社である八重山殖産株式会社により構成されており、微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナに関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かして

  • ヘルスケア事業(ユーグレナを活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、
  • エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)

といった事業を展開しております。当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、平成17年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。

―― ミドリムシって、「藻」なのですね。初めて知りました。

永田:
はい。青虫のような昆虫を連想される方も多いのですが、ミドリムシは藻類です。藻の中でも特に小さい「微細藻」と言われるものの一種です。

目論見書:P4より引用)

―― 「微細藻」があるということは、大きな藻もあるのでしょうか?

永田:
あります。身近な例で言いますと、昆布やワカメ、ひじきは「褐藻(かっそう)」、アサクサノリやテングサ(寒天の原料)は、「紅藻(こうそう)」と呼ばれる藻の一種です。

―― なるほど、そのようにお聞きすると御社の主要事業のひとつが「食品の製造・販売」であることが納得できます。ユーグレナ(編集室注:以下、特別な場合を除き、ミドリムシではなく「ユーグレナ」に表記を統一します)には豊富な栄養があるのだそうですね。

目論見書より:

植物と動物の両方の性質を兼ね備えているユーグレナは、以下のように59種類の栄養素を持っております。

永田:
ユーグレナは動物でもあり、植物でもある不思議な存在です。
体内に持っている葉緑素で光合成を行い、植物性の栄養分を体に蓄えるほか、動物のように細胞を変形させて移動し、動物性の栄養素も作り出すことができます。だからこんなに栄養が豊富なのです。

ユーグレナを食べるのは、ミジンコなどの微小動物です。そしてそのミジンコをイワシなどの大きな魚が食べ、マグロなどの大型の魚類がイワシを食べる。つまり、ユーグレナは食物連鎖の最下層で、非常に多くの「命」を支えているのです。
最近、よく「魚を食べるとDHAが摂取できる」という話を聞くようになりましたが、そのDHAも、元をたどればユーグレナなどの微生物が作った栄養素が食物連鎖で生物濃縮していっているのです。

ユーグレナの持つ、こうした栄養素などの特性を活かしやすいのは、健康食品などの食品用途です。
ユーグレナ粉末を活用した食品の製造販売などを行う「ヘルスケア事業」を伸ばすことで安定的なキャッシュフローを生み出し、それを原資としてジェット燃料の開発と実用化などの研究開発投資を進めて行く。それが、現在の当社の基本的な戦略です。

売上高および経常利益(損失)の推移 第4期~第8期

第8期(2012年9月期)のセグメント別売上高:
ヘルスケア事業:     1,581,408千円(前期比35.9%増)
エネルギー・環境事業:    4,279千円(同80.2%増)

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― その戦略を推進する鍵となるのが、コア技術である「屋外大量培養技術」なのでしょうか?

永田:
はい。実は、当社が世界で初めて当社ユーグレナの屋外大量培養に成功するまでは、ユーグレナを食品用途に使うことは、非常に難しい話だったのです。
なぜなら、ユーグレナは大学の中の研究であり、人が食べられる安全性でしかも大量に生産することは誰にもできなかったのですから…。

「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」より:

ミドリムシ培養の難しさは、先にも述べたが、「生物的汚染」を防ぐことが極めて難しいことが理由だった。ミドリムシは食物連鎖の中で一番下に位置す る。つまり、ミドリムシ自体は他の微生物や藻類を捕食しない。光合成で細胞分裂し、自分たちを増やしていく。そのミドリムシを別の微生物が食べることで、 食物連鎖のピラミッドが積み上がっていく。つまりありとあらゆる地球上の生物が、もとを辿ればミドリムシや微生物を食べることで生命活動を行っているの だ。

そのためこれまでのミドリムシを培養する研究のアプローチは、「どうすればミドリムシを食べてしまう外的から、ミドリムシを守るか」ということを テーマにしていた。そのために大規模なクリーンルームを作り、ほとんど無菌のところで、どうにかしてミドリムシのみを純粋に培養しようと試みていた。それ が今までの研究の方針だった。

(中略)

鈴木と僕たちは、その先輩たちの研究の成果を受けて、逆のアプローチをとることにした。
例えていえばこういうことだ。

夏の夜、寝ようとするとき、蚊に刺されたくないならばどうするか。それには二つの方法がある。一つは部屋に「蚊帳」をつるして、その中に入って寝 る。蚊が一匹でも入ってきたら、血を吸われ放題になってしまうので、蚊帳を二重、三重にする、という考え方である。しかしそれでも、人が出入りするときに 蚊帳の隙間から入ってくる蚊の侵入を防ぎきることはできない。

我々はそうではなく、「蚊取り線香」を焚くことにした。部屋の中で蚊取り線香を焚けば、血を吸う日の侵入を阻止することができる。そこで寝る人は、多少の煙さと臭さを感じるが、健康には影響がない。

それと同じように、ミドリムシにはほとんど何も影響を与えないが、ミドリムシ以外の生き物は侵入できないような培養液を人為的に作り出すことができ れば、別にクリーンルームでなくても問題がないんじゃないか。そうすれば、屋外で大量に培養することが可能になる。当然、高価な投資の費用もかからないか ら、安く大量にミドリムシを増やすことができる。「ミドリムシを天敵から守る環境をセッティングする」という発想から、「ミドリムシ以外は生きられない環 境をセッティングする」という発想への切り替え。これが鈴木と僕が生み出したミドリムシ培養の切り札となるアイデアだった。

―― いわば「逆転の発想」で屋外大量培養に成功されたのですね。
御社ではこの技術について特許を取得しておられるのですか?

永田:
いえ、特許化ではなくノウハウ化しています。
なぜ特許にしないのか、ここは投資家の方々からも多くご質問をいただくところなので、その理由をご説明させて下さい。

ユーグレナの屋外大量培養技術は、わかりやすく例えるなら料理のレシピのようなものです。
どのような鍋を使い、どんな材料を揃えて、どんな順序で何をしたら大量培養が可能になるのか。特許を取得するためには、これらをすべて、事細かに記載し、開示しなければなりません。つまり、その「公開情報」を見ればすべてがわかってしまうのです。

悪意のある会社がこの公開情報を元にユーグレナを培養して市場に流通させたとしても、そのユーグレナが私達の特許を侵害して生産されたものかどうかはユーグレナを見ても分かりません。
だから、開示したらただ真似られるだけのようなものは特許にしない。それが我々の業界における常識です。コカ・コーラの原液の製造なども、特許ではなくノウハウ化することで守られています。

―― そう言えば、コカ・コーラの原液の作り方は世界で2人だけしか知らされていないと聞いたことがあります。万一のリスクを考えて、飛行機にこの2人が同時に乗ることも禁止されているのだとか…。

永田:
はい。当社でもそれに近い形でこの技術を守っているとお考えください。

Q3: 事業環境とその対応は?また、それに対応する成長戦略は?

―― それではここで、もう一度ヘルスケア事業の話に戻らせて下さい。当面はヘルスケア事業が売上・収益共に牽引していくイメージかと思いますが、この事業における市場規模や、現状、課題についてお話いただけますか?

永田:
私達の計算によれば、日本には現在、ユーグレナを使用した健康食品の市場が90~100億円存在しています。ユーグレナを食品原料として実用化しているのは当社だけですから、創業から8年で約100億円の市場を創出した、ということになります。

―― 直近期のヘルスケア事業の売上は約15億8千万円となっていますが…?

永田:
ヘルスケア事業には3種類の販売方法がありますが、現在、メインになっているのはOEM。つまり、お客様企業のブランドで製品を作り、それをお客様企業が販売するB to Bモデルです。

ですから、販売価格と当社の売上の間には大きな開きがあります。例えば、当社がお客様企業に1,000円でお売りして、卸企業や小売りを通じて最終製品は6,000円で販売しているとすれば、市場規模ベースの差は6倍ということになります。

ヘルスケア事業のモデル

(クリックして画像を拡大 成長可能性に関する説明資料:P10より引用)

―― なるほど、その差が反映されているということなのですね。OEMと直販(自社商品)、原料の売上割合はどうなっているのですか?

永田:
すみません、そこは非開示なのですが、今、最も成長しているのは自社製品の直販です。そしてここが当社のヘルスケア事業を今後伸ばしていく上での鍵になります。
直販は最終製品が1,000円売れれば当社の売上が1,000円上がる、すなわち市場規模と直接連動するため、市場における認知度向上がダイレクトに当社の収益に反映されるのです。

―― 直販には「自社ECサイト」と「取扱店舗」の2種類のチャネルがあるようですが、どちらが成長を牽引しているのでしょうか。

永田:
ECサイトです。ECがスタートしたのは昨年(2012年)の5月ですが、ECの成長が大きく当社のヘルスケア事業の成長につながっています。

また、ECの成長は、パブリシティの効果によるところも大きいと認識しています。上場前から広報活動に力を入れてきたこともあり、おかげさまで、現在に至るまで多くのメディアに出演させていただいております。それが個人のお客様からの認知や信頼の獲得につながっています。

当社は、消費者からの関心を惹くという意味では、「ミドリムシ」というキャッチーな名前があります。
多くの方から「ミドリムシ」という名前を変えたほうが食品として売れる、というアドバイスを頂きます。しかし、私は「ミドリムシ」でプロモーションをすることの意味が強くあると考えます。
「ミドリムシを食べる」という表現は聞いた人のほとんどが「なんだそれは?」と記憶し興味を持つと思います。ユーグレナではそうはいきません。

多くの商品は最初の認知、興味に対して高いマーケティングコストを払っています。ミドリムシのそのような強みを活かすという意味でも、パブリシティ活動は非常に重要であり、ミドリムシだからこそパブリシティは反応してくれていると思うのです。

そして、ご興味をお持ちいただき、ECサイトを訪れて下さった方をどう購入・決済までつなげるか、いわゆるコンバージョンレートをどう高めるかという点についても、この半年間、工夫を重ねてきました。ECの伸びは、その成果が出つつある結果と理解しています。

―― 直販とOEMでは購入者層は同じなのですか?それとも異なるのでしょうか。

永田:
別の層ですね。当社の中では、OEMと直販を競合させないことを大前提としておりますので、商品設計から異なっています。
OEMの主力商品は1ヵ月6,000円ぐらいのサプリメントですので、購入層は比較的年齢層が高めの女性が主体になります。

一方で、直販・ECサイトの主力商品は「緑汁」。これは1ヵ月4,000円程度のユーグレナ飲料です。
青汁のようにお飲みいただけますし、1日あたりの費用は100円強ですので、少し若い世代の方々も手に取りやすい商品です。

このように商品や価格面で明確に棲み分けてきた結果、マーケットの棲み分けも行われている。そのように考えています。

ECサイトで購入されるお客様の特長のひとつに「男性が多い」ということがあります。通常はサプリメントを購入されるお客様は女性が7~8割となのですが、「ユーグレナ・ファームの緑汁」の場合、購入者の属性で見ると男性が4割ぐらいいらっしゃいます。

―― 確かに「59種類の栄養が採れる」というミドリムシの特性は、外食が多くなりがちな勤労世代の男性のニーズに合っているような気がします。

永田:
その通りです。
実は、ユーグレナはもうひとつ、勤労世代の男性のニーズに合う機能を持っているんですよ。

すべての生物の中でユーグレナしか持っていない特殊な成分「パラミロン」、これは食物繊維の一種でして、難消化性、つまり食べても消化されにくいと いう特性を持っています。よって、便と一緒に外へと排出される途中で様々な機能を発揮したり、不要物を外へ排出する効果があるのです。

―― 不要物とは、具体的にはどのような?

永田:
たとえば、プリン体です。ユーグレナを摂取することで尿酸値を下げる効果があることについてはエビデンスがあり、当社が特許も取得しています。つまり、59種類の栄養素を摂取して、不要物は外に排出する。それが機能性食品としてのユーグレナが持つ特長なのです。

ユーグレナ食品の強み:パラミロン

(クリックして画像を拡大 成長可能性に関する説明資料:P12より引用)

―― 痛風に悩む方や、ダイエットを望む方にも効果がありそうですね。

永田:
難しいのは、それを商品に記載すると薬事法違反になってしまうということです。
こういったIRの場でご説明したり、特許を申請した時の論文をご覧いただいたりといった周辺の活動で周知を図っていくしかない。ここは我々にとって苦しいところではあります。

―― ということは、現在購入して下さっている方々もパラミロンの機能については認識しておられないのでしょうか。

永田:
はい。大部分がそうだと思います。

―― 健康によさそうだから買っているだけだと。とすれば、それは課題ではありますが、逆に認知が浸透してくれば成長を押し上げる効果もありそうですね。
ではここで、今後のヘルスケア事業の見通しについておうかがいしたいのですが。

永田:
市場規模は順次拡大して行きます。
類似商品では、青汁の市場規模が国内だけで約500億円。クロレラが約300億円。ユーグレナはまだ100 億円弱ですので、成長余地はまだ十分にあると見ています。

ご注目いただきたいのは、当社がユーグレナを100億円市場へと育ててきたこの8年間で、青汁・クロレラともに市場が縮小したわけではないということです。

―― つまり、まったく新しい市場が立ち上がっている?

永田:
はい。健康食品市場自体が拡大する中で、新たなカテゴリとしてユーグレナ市場を生み出すことができました。他の健康食品とパイを奪い合う「競合市場」ではないというのは、今後の成長を占う上で最大のポイントになってくると思います。

―― そういった拡大する市場の中で御社がヘルスケア事業の売上と利益を伸ばしていくため、どういった点に力を入れておられるのですか?

永田:
直販比率の向上です。
たとえば市場規模が2倍になった時に、市場規模内における当社の直販比率が上がっていれば、乗数的に売上と利益を伸ばしていくことができます。

―― わかりました。ところで、健康食品やサプリメントは米国などの海外にも大きな市場があると思います。海外展開については現在、どのような状況にありますか?

永田:
パートナーである伊藤忠商事さんを通じて、東アジアの複数国で販売申請をしています。

ヘルスケア事業の強み:海外販売パートナー

成長可能性に関する説明資料:P13より引用)

―― 医薬品ではないのに申請が必要なのですか?

永田:
ユーグレナを作っているのは、世界中で日本だけ。食べているのも日本だけです。
ですから、海外市場にとってユーグレナは、言わば「見知らぬ緑の粉」。よって、これを食べて良いのかについて確認し、認証する手続きが必要になります。
当局にその申請をして、販売承認を得るのが海外展開のファーストステップで、現在その段階にあるということです。

―― 今後、承認を経ていざ販売となった時の課題をどのように見ておられますか?

永田:
個人的には、むしろ国内よりも海外のほうがマーケティングは簡単なのではと思うところがあります。海外で展開する名称はすべて「ユーグレナ」ですからね。青虫の一種ではないかという間違ったネガティブな印象を持つ方々はおられません。
また薬事法などの関連法も国によって違いますので、よりユーグレナの良さを伝えやすい環境がある国は存在しています。

―― 進出市場はアジアが中心となるのでしょうか。

永田:
市場規模という意味ではアメリカやヨーロッパのほうがはるかに大きいのですが、寡占市場に参入するのか、成長市場に乗って行くのかでは後者を選択する、そういった意味において、現在は東アジアを中心に取り組んでいます。

Q4: 今後の成長を見据えて取り組んでいることは?

―― ではここで、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)についてお話を聞かせて下さい。まずは基本的な部分からおうかがいしたいのですが、なぜ今、ユーグレナをジェット機の燃料として開発しているのですか?

永田:
温室効果ガスの排出量削減に貢献するためです。
温室効果ガスの排出量削減が世界共通の課題となっている中、航空運送分野においてもCO2の削減が求められています。そのような中、全日本空輸株式会社 (ANA)、日本航空株式会社(JAL)からの開発要望を受けたJX日鉱日石エネルギー社と、日立プラントテクノロジー社と当社にてバイオジェット燃料の 共同研究を進めています。

目論見書:P6より引用)

―― 他のバイオ燃料と比べて、ユーグレナ由来のバイオ燃料が優れているのはどのような点ですか?

永田:
ユーグレナは、トウモロコシやサトウキビのような陸生植物に比べCO2吸収効率が高く、食糧との競合もありません。さらには、含有する油脂分がジェット燃料に適した炭素構造をもっていることから、次世代のバイオジェット燃料の原料として有望視されています。

有価証券報告書より(抜粋):

微細藻類がバイオ燃料として注目される理由及び当社がユーグレナをバイオ燃料として着目し研究開発している理由は、以下のとおりです。

a. 微細藻類は農業と競合しない
既存作物の畑作地を非食用植物の農地に転用すると間接的に食料生産に影響を与えますが、微細藻類は農耕に適さない土地での生産が可能ですので農業と競合しません。

b. 微細藻類は工業生産が可能
微細藻類はバイオリアクターや培養プールでの大量培養が可能であり、効率的かつ安定的な工業生産が可能となります。

c. 微細藻類は単位面積当たりの生産性が高い
微細藻類は単位面積当たりの生産性が高いため、他の作物と比べて所用面積が少なくなります。

d. ユーグレナに含有する油脂は微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っている
ジェット燃料に使用される灯油の脂肪酸は炭素数9~15であります。多くの微細藻類の体内にて生成される油脂の脂肪酸は炭素数16以上に該当しますが、ユーグレナの体内にて生成される脂肪酸は炭素数14をピークとして12~16を多く含んでおります。

(クリックして画像を拡大)

―― ユーグレナをジェット燃料にするためには、具体的にはどのような課題をクリアすれば良いのですか?

永田:
最大の研究対象は生産コストの低減です。

―― なぜ生産コストの低減が必要なのですか?

永田:
燃料は、元々非常に安価です。地域によっては水より安いほどです。世の中で最も安いもののひとつが燃料なのです。
当社は、「バイオマスの5F」の考え方に則って事業展開を図っていますが、重量単価が高い領域であるヘルスケア事業に対し、ジェット燃料や肥料などのコモ ディティ化された製品の重量単価はとても低い。したがって、すでに形成されている一般市場価格で販売することが可能なレベルまで生産コストを低減させるこ とが不可欠なのです。

バイオマスの5F

成長可能性に関する説明資料:P21より引用)

―― つまり、現在進めている研究開発によってコスト削減が進むことは、ヘルスケア事業の利益向上にも貢献するということですか?

永田:
その通りです。このコスト削減技術はすべての要素技術の中心ですので、技術開発が進んで生産コストが下がれば、すべての原料であるユーグレナを安く生産することができます。
別な言い方をすれば、今投資している研究開発費は「掛け捨て」のものではないということです。

極端な話、万一、我々がジェット燃料の実用化に失敗したとしても、コスト削減の結果、(「バイオマスの5F」の3段階目である)飼料市場に参入できるレベルになっていれば、食料・繊維・飼料の3分野で収益性が高まっているということになります。

―― なるほど。ところで、ジェット燃料が収益貢献を開始する時期としてはいつ頃を計画しておられるのでしょうか?

永田:
三社共同研究における燃料自体の事業化の目標は2018年度です。

―― それはジェット機が「実験的に」飛んでいる、それとも「商用ベースで」飛んでいる、いずれの意味でしょうか。

永田:
後者です。
下記は、「バイオマスの5F」に基づいた今後の収益成長イメージです。燃料が収益貢献を開始する頃にはヘルスケア事業が安定したキャッシュフローを生み出し、飼料や化成品が伸びていることがご覧いただけると思います。

安定したCFとアッパーサイドへの投資

(クリックして画像を拡大:成長可能性に関する説明資料:P23より引用)

―― せっかくですから、「バイオマスの5F」それぞれの開発状況についてもお話いただけますか?まず「Feed(餌)」についてはいかがでしょう。

永田:
ペット向けフード(飼料)はすでに販売していて、現在は家畜に対する飼料としての実験を進めています。特許もいくつか申請中です。

―― ペット市場は非常に大きいですよね。犬など、家族のように可愛がる飼い主さんが多いですから。

永田:
そうですね。犬用スナックの市場規模が約360億円、ペットフード全体では3000億円規模と言われていますので、有望な市場です。

―― 御社と同じユーグレナを使った商品はないので、楽しみですね。家畜用飼料というのは、食肉になる家畜に対して与えることで、お肉の質を良くするといったイメージなのでしょうか。

永田:
そのような可能性も存在します。また、その他にも畜産をする上で有用な効果が実験段階でみられています。

―― では、ファイバー(繊維)や肥料については?

永田:
既に販売中の化粧品もファイバーの一種ですし、食物繊維の一種であるパラミロンの機能性を医療的に活用するといった可能性についても、我々の中で研究を進めています。肥料も大学内での実験はチャレンジしている、そういった段階です。

Q5: 個人向けIRの方針および個人投資家へのメッセージをお話し下さい。

―― それでは、最後に個人投資家さんへのメッセージをお願い致します。

永田:
当社の株価がいくらであるべきなのかというのは、我々が論じるべきところではありませんが、PERの水準を見る限り、当社は「単なるミドリムシサプリメントの会社」として評価されているわけではない。そのことが一番有難いですね。

我々の一番の価値は、研究開発にあります。
しかし、一般的な食品会社のPER水準(約10倍)で評価されるのであれば、研究開発をすればするほど利益が圧縮されて、時価総額が下がる――極端な話、研究をやめたほうが価値ある会社だということになってしまうわけです。

ここは、上場に際して当社が非常に悩んでいた部分でもあったのですが、幸いなことに今、市場の投資家の方々は、我々のテクノロジーや将来の可能性を買って下さっている、そういう評価になっています。それは本当に嬉しいですし、皆様のご期待に応えなければと思っています。

当社はユーグレナの可能性を信じ、パートナーの皆さんとともに食料問題や地球環境問題、そしてエネルギー問題といった壮大な目標に向かって、挑戦を 続けます。一人でも多くの方に当社を応援していただけるよう、広報・IR活動も引き続き頑張りたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたしま す。

―― 本日はありがとうございました!