子供の頃はマンションと言えば、ライオンズマンションではなかったでしょうか?
日本のマンションを50年近くリードしてきた株式会社大京。(ライオンズマンションの歴史はこちら

私は大京さんに対しては、「大規模マンションを建設して大規模に販売する会社」というイメージを持っていましたが、今は入居者と長い関係を築く「不動産管理」が、販売に並ぶ事業の柱になっているようです。

グループ経営企画部の塙さん・竹内さんに、あまり知られていないストック(マンション管理)事業を中心に、大京の「今」を伺います。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい

塙:
私たち大京グループは、「ライオンズマンション」で知られるマンション開発と新築マンション分譲のリーディングカンパニーです。1964年の設立以来、全国各地に6,800棟以上、約36万戸を供給し、累計供給戸数では業界トップ*の地位を確立しております。
*(株)不動産経済研究所調べ

そして、もうひとつの当社の特長は、「ライオンズマンション」を中心としたマンションの管理やライフサポート、大規模修繕工事、リフォーム、さらには仲介や賃貸の斡旋など、住まいに関する総合的なサービスにあります。
特にマンション管理では、大京アステージジャパン・リビング・コミュニティに加え、本年4月にグランドアメニティを買収し、グループ全体の管理受託戸数は約43万7,000戸(2012年6月末現在)と、国内トップの規模を誇っております。

私たちは、グループ会社がそれぞれの専門分野で質の高いサービスを提供することにより、ライフステージに応じたお客さまのさまざまなニーズにお応え していきたい。つまり、マンション販売の会社から、不動産サービスを全般的に提供できる会社へと向かって行きたいというのが、当社グループの現在の方針です。

当社グループが現在掲げるブランドスローガン「マンションの、その先へ。」は、そういった考え方をお示ししています。



―― 私自身も、大京様と言えばライオンズマンションのディベロッパー、つまり「不動産開発」事業を営む会社だと認識していたのですが、直近の決算概要を拝見しますと、「不動産管理」事業の占める割合が不動産開発事業に近づいているのですね。
先ほどお話いただいた方針に基づいて、両事業に関する取り組み方針も変更しておられるのでしょうか?

12/3期 決算概要<セグメント別>

(2012年3月期 決算説明会資料 P6 より引用)

塙:
不動産開発事業――特に新築マンションの開発・分譲については、現在は「一定の規模」、具体的には年4,000戸程度を目安とし、開発・分譲していくというスタンスをとっております。

マンションの規模で申しますと、これまでのような300~400戸のような大規模物件よりも、100戸弱程度の中規模の物件に力を入れていく方針です。
大規模物件は確かに事業としての効率が良い等のメリットもあるのですが、プロジェクトとしての期間が長期化するため景気の波の影響を受けやすいというデメリットもあります。

こうした方針を取ることで、当社グループとしましてはなるべく業績変動要因を少なくし、安定的かつ着実に収益を積み上げていきたいと考えております。

一方、不動産管理事業を中心とした“ストック事業”に関しましては、今後とも積極的に育成・伸長していく方針です。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― 大京グループさまの場合は、まず分譲戸数の多さが管理戸数の規模、つまりストック事業のベースになっていると考えてよろしいでしょうか?

塙:
はい、その通りです。
これまでに当社グループが供給した約36万戸のマンションのうち、大京アステージが管理を承っているのは、約33万戸。つまり、大半のお客さまは当社グループの管理会社を使い続けて下さっています。
母数が大きいため、ここから得られる管理ノウハウの蓄積も当社グループの強みと考えております。

-- 管理となると収益面ではやはり大規模修繕工事の獲得が重要かと存じます。
この分野における御社の戦略についてお聞かせいただけますか?

塙:
ご指摘の通り、大規模修繕工事の受注が業績に与える影響は大変大きいです。
当社グループの基準では、大規模修繕工事はおおむね12年に1回のペースで実施しております。ですから、ここで確実にお任せいただけるような関係を管理組合さまと構築していくことが大変重要です。

大規模修繕工事対象棟数の見直し

(2012年3月期 決算説明会資料 P6 より引用)

―― 管理棟数に対する大規模修繕工事獲得実績はどの程度ありますか?

塙:
大京アステージのデータでほぼ8割です。

―― 8割!それは高い割合ですね。

塙:
大規模修繕工事の獲得の成否は、マンションの管理組合さまと管理会社の信頼関係によるところが大変大きいのです。

大京アステージの大規模修繕工事実績単に金銭面だけを重視されるのであれば、変な話、相見積もりを取ることはいくらでもできますし、実際、(大規模修繕工事を)当社グループより安く請け負う会社もあると聞いています。
ですが、日常の管理の中で、あるいは様々な提案を差し上げる中で培った信頼関係こそが最終的には工事の受注につながってきます。

もうひとつ、大規模修繕工事に関するノウハウは過去の積み重ねに依るところも大変大きいと言えます。この点、大京アステージは累計の施工数が3,700棟以上であり、この部分も強みであると考えております。

―― 先ほどおっしゃった「提案」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?

竹内:
最近のマンションはバリアフリーへの配慮なども行き届いていますが、過去に建築された物件では、段差があったり、スロープや手すりがなかったりといったことはよくあります。

そういった部分は、実はお住まいになっている方々は気づかないことも多いのですが、今後の売却や賃貸などの可能性も考えれば、そのままにしておくとマンションの資産価値を損なう原因になることがあります。

―― 普段住んでいると、なかなか気づかない。
でも、実際転売しようとした時などにマイナスがついてしまう、ということですか?

竹内:
ええ、その通りです。ですからそういったことが起きないように、お客さまの資産にプラスになるご提案はこちらから差し上げるということは心がけていますね。

(2012年3月期 決算説明会資料 P16 より引用)

塙:
これとは逆のケースですが、場合によっては(大規模修繕工事の目安である)12年が経っても、当初計画していた大規模修繕の予定箇所のうち建物の診断等を経たうえで直さなくて良いところがあれば、そのようにご提案することもあります。
そこで無理に工事をしたところで、お客さまとの信頼関係が何らかの形で失われてしまいかねない。私たちとしては、適正な工事のご提案で、長期的に適正な対価を頂ければそれで良いのです。

竹内:
こういった私たちの姿勢やご提案を納得して頂くことによって、大規模修繕工事についてもお任せ頂けるケースが増えてきています。

Q3: 事業環境とその対応は? また、それに対応する戦略は?

―― 先ほど「資産価値」という表現がありました。
これは、マンションを“一戸建てに住み替えるまでの仮のすみか”としてではなく、生涯住み続ける家として考える方々が増えていることとも関係があるのでしょうか?

塙:
確かに、そういった側面もあります。特に都市部では、マンションに住み続ける方、あるいはむしろ一戸建てからマンションに住み替えてくる方々なども多くいらっしゃいます。

―― つまり、マンションに住む期間が長くなるということですね。

竹内:
はい。お客さまのライフスタイルも多様化しておりますし、同じところに住み続けながらもご自身で住みやすさを向上させていく、という意識も大変高まっています。

―― と言うことは、リフォーム需要も高まりますね。
大京グループ様ではリフォームも受けておられるのでしょうか?

竹内:
はい。リフォームは当社のグループ会社である大京エル・デザインでお受けしております。

塙:
当社が“ストック事業”として今後成長させたい、伸ばしていきたい3つの分野のうち、2つは工事に関わるもの――共用部分の大規模修繕工事と占有部分のリフォームですので、ここにも大変力を入れております。

大京エル・デザインのリフォーム事業の売上は、現在年間約30億円。これに対し、グループのリフォーム市場規模は、約500億円と想定しています。つまり、現時点ではまだ数%のシェアしか獲得していない計算です。

私たちはグループの管理会社が管理しているマンションにお住まいの方や中古マンション購入検討者等、グループの様々な事業のなかで接点を持たせていただいたお客さまへのリフォーム提案を強化することで、売上を伸ばしていきたいと考えています。

Q4: 今後の成長を見据えて取り組んでいることは?

―― ここまでは、「不動産管理」事業の内容を中心にお伺いしてまいりましたが、 「不動産開発」事業の中でも、新築マンションの開発・分譲以外に販売受託や戸建の開発・販売も手がけておられるのですね。
まず、販売受託について、その内容をお教えいただけますか?

塙:
これは、当社の「販売力」を活用する事業です。
世の中、土地を仕入れて企画をする会社は多くあるのですが、販売部門を持っていない、あるいは営業は任せてしまいたいと考える企業は意外と多いと感じます。そういった企業から販売だけを受託する、請け負わせていただくというのが、こちらのサービスです。
おかげさまで売主さまからは当社の販売力をご評価いただき、受託は増加しております。

販売受託~グループ力を活かしたビジネス機会の拡大

(2012年3月期 決算説明会資料 P12より引用)

―― この事業のメリットは何ですか?

塙:
アセットを持たないため、土地の下落リスクがありません。 また、販売を受託することによってマンションの管理もお任せいただけるような形もとれる、ここも大きな魅力です。

販売部門を持ってない会社は、管理会社も持っていないというケースというのも往々にしてございますので、そういった場合に一緒に使って頂くことができる。 そして、管理戸数が増えればそこから修繕工事等々が発生して、また別の角度で言うとリフォームや居住者サービスなども提供できるようになります。

何と言っても、私たちにとって管理戸数を増やすことは“ストック事業”の基盤強化になりますから、ここに貢献していくことができるわけですね。

―― 一戸建てについてはいかがでしょう?

塙:
戸建事業については前期から本格的に取り組み始めました。
マンションを分譲するにあたって、まずは土地情報の取得からスタートしますが、この段階でマンションに適さない土地の情報もたくさん入ってきます。今までは有効活用できていなかったその情報を活かそうということで始まりました。事業としてはまだ始めたばかりですが、徐々に成長させていきたいと考えています。

竹内:
戸建事業には、管理や流通など、当社のグループ会社とのシナジーを非常に見込める部分があります。
ちなみ最初に手がけた横浜の物件については、購入されたお客さまのほとんどは大京リアルドという仲介部門の会社からの紹介でした。

あるいは、耐久年数という意味では一戸建てのほうがマンションよりもメンテナンスが必要となりますから、そういった意味では、将来的に私たちの修繕ノウハウやリフォーム機能も活かせると思っております。

―― グループの機能を、マンション以外でも、もっと活かしていこうということなのですね。

Q5: 個人投資家の皆さまへのメッセージをお願いいたします。

塙:
当社グループは今後、マンション単体ではなく、お住まいになった後の管理や流通といったバックアップ体制――住んだ方の生活を支えるインフラと申しますか、トータルでの価値や利便性の高さで信頼を獲得していきたいと考えております。

マンションを購入されたお客さまと私たちは、一期一会の関係ではなく、そこから継続的なお付き合いが始まる。そういった認識の下で、グループの総力をあげて業績の向上を図り、株主・投資家の皆さまのご期待にもお応えしてまいります。

―― 本日はありがとうございました!