「どんな薬か」だけでなく、「どこの薬か」を考えたことがありますか

俳優の渡哲也さんが問いかけるテレビCMや企業広告でおなじみの第一三共株式会社は、日本を代表する新薬メーカーの1社です。

しかし2008年、第一三共は、ジェネリック医薬品メーカーであるインドのランバクシー・ラボラトリーズ社を買収し、世間をあっと言わせました。

新薬とジェネリック、そして先進国市場と新興国市場。
これらをすべて取り込んだハイブリッドな経営モデルへの転換を、世界に先駆けて目指してきた第一三共。
その挑戦は今、どのようなステージを迎えているのでしょうか?
コーポレートコミュニケーション部IRグループ長の近藤さんに伺いました。(前後編でお届けします)

Q1: 御社のビジネスは何でしょうか?わかりやすく教えて下さい。

―― 第一三共と聞くと、私が思い出すのはかぜ薬の「ルル」や胃腸薬の「ガスター10」、ドリンク剤の「リゲイン」なのですが・・・。

近藤:
そういう方々は多いと思います(笑)。
が、実は私たち第一三共グループが取り扱っている医薬品の大半は、店頭で購入できない「医療用医薬品」、つまり、皆様が病院あるいはクリニックなどでお医者さんに処方箋を書いていただいて初めて購入できる薬です。

第一三共は、三共株式会社と第一製薬株式会社が経営統合して誕生した企業ですが、設立母体である両社――明治39年(1899年)創業の三共株式会社と、大正4年(1915年)創業の第一製薬株式会社は、ともに創業初期から新薬の研究開発に携わってきた歴史ある製薬会社です。
(当社の沿革についてはこちら(第一三共ヒストリー)をご覧下さい)

三共株式会社の設立者の一人であり、初代社長でもあった高峰譲吉博士は、夏目漱石の「吾輩は猫である」にも登場する消化薬「タカヂアスターゼ」を発見した、明治時代の日本を代表する偉大な科学者でした。

旧・三共株式会社、旧・第一製薬株式会社がその歴史の中で培ってきた「革新的な新薬を創出する」DNAは、我々のミッション(使命)として第一三共に受け継がれています。

編集室注:
国立公文書館が運営するこちらのサイトでは、タカヂアスターゼの発見についてのエピソードが紹介されていますので、あわせてご覧ください。

 

―― 第一三共グループは、現在、業界の中ではどのようなポジションにあるのですか?

近藤:
2011年度の実績で申し上げますと、第一三共グループ全体の連結売上高は、9,387億円。
このうち半分強(52%)の4,900億円が日本国内での売上です。

ここから先ほどお話した店頭で購入できる医薬品分(第一三共ヘルスケア売上高459億円)を除いた4,441億円が医療用医薬品の売上です。

この数値は、日本国内の医療用医薬品市場では、上位3~5位ぐらいの売上規模であると言えます。

(図表:2011年度 地域別売上高(2012.9.6 個人投資家向け会社説明会資料 P5より引用))

―― グループ全体の売上の半分近くは海外が占めているのですね。

近藤:
はい。内訳では、第一三共グループとして展開しているエリアでは北米が、それ以外では2008年にグループ入りしたランバクシーグループ(本社:インド)の貢献が大きいですね。
2011年度の段階で、ランバクシーグループの売上はグループ全体の売上高の約19%(1,755億円)で、営業利益についても同程度の割合を占めています。

今後は、このランバクシーグループと第一三共グループとが一層のシナジー(相乗効果)を生み出しつつ成長していくことが重要ですし、我々が中長期的に目指す姿となります。

編集室注:
第一三共グループが2008年に買収したランバクシー社の概要は下記の通りです。

ランバクシー社

(クリックして画像を拡大:第7回定時株主総会招集ご通知 P13より引用)

Q2: 御社の強みや他社との違いはどこにあるのでしょうか。

―― 第一三共グループのグローバル展開は、ランバクシーが加わったことによって、どう変わってきたのでしょうか。

近藤:
ランバクシーが4年前にグループ入りした当時、第一三共グループが拠点を持っていたのは北米、西欧、アジアを中心に世界20カ国程度。展開していた事業はブランド薬(いわゆる新薬)のみでした。

その点、ランバクシーは、同じ欧州でも東欧、あるいは旧ソビエト連邦のCIS諸国、インドを中心としたアジア、さらにアフリカ諸国などにも拠点を多数持ち、ジェネリック薬(後発医薬品)を中心に事業を展開していた企業です。
結果、ランバクシーの加入によって当社グループは、拠点数の増加(50数カ国になりました)はもちろん、市場の面では新興国・発展途上国への事業展開も可能になり、事業内容の面ではジェネリックが新たに加わるなど、かなりバラエティーに富んだビジネスを展開できる体制になりました。

ハイブリッドビジネスのグローバル展開

CSRレポート2012 P13より引用)

―― 改めてお伺いしたいのですが、第一三共グループのグローバルビジネスにおいて
なぜ「新興国市場」や「ジェネリック」が重要となるのでしょうか。

近藤:
第一三共は従来先進国を中心に新薬ビジネスを展開しておりました。
一方ジェネリックというのは「新薬の特許が切れた後に登場する、同じ成分を持つ安価な医薬品」という定義になります。つまり、ブランド薬(いわゆる新薬)がライフサイクルを終えた後、ジェネリック薬に置き換わるという図式ですね。

ですが、それはあくまでも特許制度が出来上がっている国の話です。
世界中を見渡せば、特許制度が確立していない国はまだまだ多い。

そういった国ではブランド薬だとかジェネリック薬だとか、そういった定義そのものが存在しません。単純に、各国の経済力に見合った価格の薬が求められるというだけの話なんです。

ランバクシーは、まだ高価な薬への需要が限定されるマーケット(=新興国および発展途上国)に医薬品を供給する企業として、着々と世界中に自分たちのリーチを広げています。

安価で質の高い薬を、まずは世界各国で使っていただいて、その国の国民の皆さんの健康や福祉の向上に貢献する。
各国において医薬品企業としてなくてはならない存在となることで、将来、その国の経済成長が実現し、使う薬の範囲も価格帯も少しずつ上がっていく際にはそのメリットを享受できる――。こういったビジョンを持ってランバクシーは、将来的には確実に大きな市場となり得る国に進出していますし、研究開発や製造の面でも、そういった市場で展開できる体制とコスト構造を築き上げてもいる。

これらは第一三共グループがもともと持っていない部分、あるいは全くの死角であった部分でした。だからこそ、それを第一三共グループの中に取り込むことに大変意義を感じ、4年前にランバクシーの株式を取得したわけです。

―― 日本の大手製薬会社の中には、同じくパートナー企業と組んで新興国への事業展開を進めておられる企業もありますが、そういった企業と比べた時、ランバクシーの強みはどこにあるとお考えですか?

近藤:
ひとつには、先ほど申し上げました新興国市場での強み――これらの国々が経済成長とともに様々な医薬品を求めるようになった際、先行者としてのメリットを享受できる可能性が高いという点が挙げられます。

そしてもうひとつは、先進国市場における強みです。
ランバクシーは、先進国の中でも特に審査が厳しい米国でその品質を認められ、すでに一定のポジションを確保しているジェネリック薬メーカーであるということは、今後の先進国市場の動向――ジェネリックの浸透――を考えた時に、大きなアドバンテージになると考えています。

米国は、ブランド薬の特許切れとともにジェネリックへの置き換えが急速に進む、という現象が最も顕著に起きている国です。
それは別の言い方をすれば、これまでブランド薬を使っていた多くの方々が、ある日を境に一斉にジェネリックへと切り替えるということ。

ですから米国では今、その需要にしっかり応えられるだけの供給力と高い品質とを兼ね備えたジェネリック薬を提供できる企業が求められていますし、ランバクシーはそうした条件を満たす企業としてすでに米国で認められ、確かなポジションを築いています。

編集室注 ~株主通信より~:
ランバクシー社は2011年の11月に、米国で高コレステロール血症治療剤「アトルバスタチン」のジェネリック薬を発売しました。
この「アトルバスタチン」は世界最大の売上規模を誇るブランド薬であり、大変大きな市場を持つ医薬品です。 ランバクシーが発売したジェネリック薬は、発売4週目には競合品(先発薬メーカーに許諾されたオーソライズド・ジェネリック)を抜き、6週目には先発薬(=従来のブランド薬)をも抜いて市場シェア1位となりました。

―― ランバクシーがそうしたポジションを築くことができているのはなぜでしょうか。

近藤:
要因は色々ありますが、それらすべての背景にあるのは研究開発力だと考えています。

ジェネリック薬は、ブランド薬の化学構造をそっくり真似して作れば、誰でも同じ薬を作れるのかと言えば、そうではありません。同じ化学構造式の物質であっても製造技術の面で付加価値をつけることは可能です。
たとえば患者さんに使っていただいた時にちゃんと薬効を発揮するために品質を安定させる製剤上の工夫や、効率的に製造することでコストダウンを図る、これらの点でランバクシーの技術はかなり高い水準にあります。

なぜかと申しますと、実はランバクシーという会社は、設立からすでに50年。インドにおける製薬企業のパイオニア的存在として、社内で非常に優秀なサイエンティストを育成し続けているんですね。
インド国内では非常に尊敬されている企業ですから、研究開発の面でも、極めて技術レベル、知識、あるいは、モチベーションの高い人材を獲得できる状況にありますし、実際、そこから生み出されるアウトプットは、我々のような新薬メーカー、ブランド薬メーカーと比べても遜色ないレベルに達している部分もあります。

ランバクシーの研究開発部門には新薬開発を担当しているチームもあります。
ここには、2年前から、第一三共グループの研究開発の一つのミッションを担ってもらっています。ランバクシーの新薬研究開発は第一三共とのシナジー(相乗効果)を生み出すだけの力があると我々が判断しているからこそ、そのような体制を作っているわけです。

意外と見過ごされがちなのですが、研究開発力に基づく製薬企業としての基礎的な力の強さは、他のジェネリック企業とは異なるランバクシーの強みだと私たちは認識しています。

Q3: 事業環境をどう見ていますか?また、それに対応する戦略は?

―― 先ほど、先進国でも今後はジェネリックが浸透していくとのご発言がありました。
一方で、新興国・発展途上国は経済成長を遂げていくとのお話もありましたので、ここで一度、事業環境に対する御社の見解を整理してお話いただけますか?

近藤:
過去10年間に先進国で何が起きたかと申しますと、まず、どこの国でも共通しているのは、経済成長の鈍化ですね。こういった国々ではどんどん高齢化が進み、薬へのニーズは増えていきます。したがって、国としても、医療費や薬剤費をいかにセーブ(節減)するかが共通の課題となり、安い値段のジェネリック薬に大胆に誘導するという政策が急速に広がってきました。
その結果、医薬品市場の成長率は劇的に低下しています。先進国はどこの国に行っても市場の年間成長率が数パーセント台の下の方、日本では実際ゼロ成長に近い状況です。

―― 何年か前は、先進国においても成長率はもっと高かったのでしょうか。

近藤:
はい。第一三共が誕生した7~8年前で言えば、例えば先進国の中でも一番市場規模が大きい米国では一ケタ台後半、たとえば年7~8%といった成長がまだ可能であるという見方をしていました。ところが、その後は米国でも急速にジェネリックが広まり、オバマ政権で実施された医療改革の影響もあり、医薬品市場の規模は縮小方向に向かっています。

したがって、もはや現状では、米国であれ西欧であれ日本であれ、一ケタ台、本当に低い方の成長ぐらいしか実現できないだろうと。しかも、今は高齢化が進んでいますが、日本の例を見るまでもなく、長い目で見れば先進国は近い将来人口が増えなくなっていくわけですから、先進国の市場、しかもその中のブランド薬の市場はシュリンク(縮小)していくと考えざるを得ません。

一方、先進国の中でもジェネリックの市場はまだまだ伸びると思います。これは日本を見ても明らかですね。ですから、そういった視点を持たないといけない。事業環境認識としましては、まずこれが1つの大きなポイントとして挙げられます。

―― 新興国市場についてはいかがでしょう?

近藤:
新興国の特徴は、何といっても経済成長が著しいことにありますね。最近になってややスローダウンしてはいますが、中国・インド・ブラジルあるいはロシアなどは依然としてGDP成長率は一ケタ台後半を維持しています。
かつて欧米や日本がそのような経済成長をしていた時、医薬品のマーケットは経済成長率以上に広がっていったという歴史的な事実がありますし、今の新興国の医薬品市場も実際にそういった傾向を示しています。

なぜこういったことが起きるのかと言えば、もともと経済成長を実現するまでは必要最低限の薬しか購入できなかった方々も、一定の経済水準に達すると、今度は自分たちの生活の質を上げたいというところに、当然ながら関心がいきます。また生活が豊かになることで新たに発生する病気――代表的なものが生活習慣病ですが――もあるんですね。その結果、感染症のような命に関わる治療薬が中心だった医薬品の市場から、もうちょっと生活状態を良くしたい。生活習慣病を改善したい、そういった薬のニーズがどんどん広がっていきます。薬を使う範囲は、経済成長率以上にどんどん広がっていくわけです。

そうした現象が、今、新興国と言われる国ではどんどん起きています。そして人口動態予測で見ましても、特に発展途上国では何十年先になると間違いなく人口は増えます。
人口は、我々製薬会社の潜在的なマーケットサイズを測る際に一番わかりやすい指標です。新興国や発展途上国ではこれがどんどん増えてくる、そういった状況が見えています。

―― 新興国市場の規模は、現時点では先進国市場よりも小さいのですよね?

近藤:
その通りです。ですが、先ほどお話したように、先進国については、今後は
・経済成長率は鈍化。結果、製薬市場の成長率も大きく伸びることは見込めない
・ブランド薬の市場が縮小し、ジェネリックに置き換わるという流れが進む
・人口も増えない
という状況が見込まれます。したがって長期的に見れば、現在あるパイを取り合うという展開になって行くでしょう。

一方、新興国と発展途上国では、現在の製薬市場規模という意味では必ずしも大きくはありませんが、市場の成長率は経済成長とあいまって二ケタ成長となっています。しかも、新興国・発展途上国では間違いなく人口が相当増えます。薬へのニーズはどんどん増えていきます。そうなると、たとえば20年先、30年先を予想しますと、フラットで推移するであろう先進国市場との差はどんどん小さくなるはずです。

だからこそ、今のうちからそういったところに目を向けてビジネスを構成していくことが、今後、長期にわたって第一三共グループの成長を保証するモデルになる――それを、我々がランバクシーのグループ入りを決めた4年前から「ハイブリッドビジネスモデル」と申し上げております。
ハイブリッドビジネスとは、新興国と先進国という地域軸と、新薬とジェネリックという事業軸のマトリクス(組み合わせ)でグローバルビジネスを展開していく、という考え方で、これが第一三共グループの基本的な戦略となっています。

―― 第一三共を経営統合した時にここまでのビジョンを描いておられたのですか?

近藤:
必ずしもそうではありません。
第一三共は、まずはホールディングカンパニーを2005年の9月に設立いたしましたから、統合の準備という意味では、当時の三共、第一製薬両社の経営者は、それ以前から議論を重ねてきたわけで、それは当然その時点での事業環境認識に基づいていたわけです。

ですが、2000年代前半と、実際に第一三共が誕生した2000年代後半とでは、事業環境はまるで違うものになっていました。

2000年代前半、あるいは少し前の1990年代後半に、私たちのような新薬創出型の企業が何を議論していたかと言えば、新薬の研究開発にできるだけ予算を投入できるように、余計な事業はどんどん切り離して、いわゆる「選択と集中」を進めていました。新薬創出に経営資源を投入して、そこから成長を図るべきという議論が主流だったわけですね。その結果欧米でも日本でも、第一三共のように「2つの会社が1つになる」といった事例が多数起こりました。
ところが、2000年代後半になってくると、新薬を生み出して発売するためのハードル自体がどんどん高くなって行ったのです。

―― 具体的には、どのようなことが起きたのでしょうか?

近藤:
一つ大きかったのは、米国のFDA(Food and Drug Administration:日本の厚生労働省にあたる)に代表される薬事当局が、新薬を今までは積極的に承認していたところから、もう少し安全性も踏まえて新薬を考えようという方針に変わっていったということがあります。
その背景には、新薬をどんどん承認したら各国の医療財政がパンクしてしまうという状況認識もあったと思われますが、いずれにしても、「新薬の承認」という、製薬会社が医薬品を世に出すための入口の門がなかなか開かなくなってきました。

これは調べていただくとわかることなのですが、FDAが1年間にいくつの新薬が承認したのかという数値を見ますと、1990年代と2000年代後半では極端に違うわけですね。製薬企業にとっては、新薬が承認されて発売出来る確率が劇的に下がってしまったわけです。

そうなりますと、これまでの戦略も見直さざるを得ません。「2つの会社が一緒になることで研究開発の予算を拡大し、かつ“選択と集中”を進めることで1つの化合物の研究開発にたくさんのお金を投入することで、成果を上げる」はずが、大枚をはたいて資金を投入してもリターンが来ないのでは、企業経営として大変困ったことになるわけですから。

それでどうなったかと言えば、2000年代半ばから、各社はもう一度経営改革を進めました。その中で出てきたのが、かつて否定した「多様化・多角化」への回帰ですね。リスク分散の一環として。欧米のビッグネームといわれる会社ですら、そういう道を選択し、時代を逆行するかのごとく経営戦略をを取らざるを得なくなってしまったのですね。
こうした中、第一三共グループとしても「選択と集中」型の経営統合を進めている間に全く環境が変わってしまった、そういった流れの中でどうすべきかを模索した結果がハイブリッドビジネスモデルなのです。

―― 成否を判断するにはまだ早すぎる段階とは思いますが、ハイブリッドビジネスモデルの成果について、この4年間を踏まえてどのように見ておられますか?

近藤:
目に見える成果という意味で申し上げますと、まずはランバクシーが実際に一定の売上と営業利益を出し、業績に貢献しているということを挙げておきたいと思います。
第一三共グループとしては、経営統合当時には、もっと業績を上げていけると考えていました。しかしながら、急速な事業環境変化の中で、想定した売上や利益水準に達することはできていない――そういった中でもランバクシーが確実に業績貢献しているという現実、これは間違いなくハイブリッドビジネスのひとつの成果と言えます。

ただし、ランバクシーと第一三共の協業という意味では、まだまだ緒についたばかりです。一部の第一三共製品を世界各国のランバクシーのルートで販売したり、あるいは、一部の国では調達などのバックアップ業務を共有化して展開することで費用面のシナジーを出すような取り組みは行っていますが、いずれもまだ、部分的な協業にとどまっています。

今後どういった展開をしていくのかと言えば、ひとつには、生産拠点の活用があります。ランバクシーの生産拠点はインドなどにありますから、これは当然、第一三共グループの生産拠点よりも費用面で優位性がある。一方で、製造の品質についてはほぼ問題ない水準にあることが確認できていますから、ランバクシーの拠点を活用していくことによるコストダウンという方向性は、当然考えています。

もちろん、コスト面だけではありません。先ほども申し上げましたように、ランバクシーはジェネリックビジネスの中でも非常に品質の高い製造技術、研究開発力を持っていますから、それを第一三共自身が持っている技術と融合させることで、価格競争力があり、かつ他製品よりも一定のプレミアムを得ることができるような製品を開発していくという方向性もあり、具体的な検討に入っています。

あとは、もう少し長い目で見た話になるとは思いますが、第一三共オリジンのいわゆるブランド薬といわれる製品でも一定の価格で広く販売できる国を、もっともっと広げていくという努力、これも大事なテーマであると思っています。

こういった取り組みを実現するため、徐々にではありますがランバクシー・第一三共間では人事面の交流も進めています。近い将来には両社が同じ目標の下で活動を展開する領域をさらに拡大していく、そういったことを視野に入れて色々と進めている状況です。

Q4: 今後の成長戦略は?

インタビュー後編に続く 「今後の成長戦略は?」 >>

こんな質問が続きます!

――  先ほど、2000年代後半から薬事当局の承認が非常に厳しくなったとのご発言がありましたが、そういった事業環境下での研究開発戦略については、どのように考えておられるのでしょうか?

―― がん領域には、色々な医薬品がすでに存在しているような印象があるのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか?