テレビ局へのプロフェッショナルクリエイター派遣事業。医師が自由に移籍できる「民間医局」。さらに会計士や弁護士まで、「えぇ!?そんな分野のプロまでネットワークしているの?」と驚きのビジネスを展開している株式会社クリーク・アンド・リバー社

経営企画部の杤尾さんに、なぜクリエイターを派遣するのか、この市場は今どうなっているのか、生い立ちから成長戦略まで幅広く伺いました。

Q1: 御社のビジネスは何ですか?わかりやすく教えて下さい。

杤尾:
当社のネットワークにご参加いただいている「プロフェッショナル」の方々のためにお仕事の紹介をしたり、プロジェクトごと請け負ったりするエージェンシー、つまり代理業ですね。

分野としては、創業者である代表の井川がクリエイター出身ですので、テレビ番組制作を始めとするクリエイティブ分野(クリーク・アンド・リバー社)の割合が大きいです。
これに続くのが、医療分野(メディカル・プリンシプル社)で、その他にもITや法曹、会計などの各分野に子会社を作り、進出しています。

C&Rグループ 売上高構成

C&Rグループ(セグメント構成)

(出展:2012年2月期「決算説明会資料」)

―― テレビ局向けの人材派遣需要は大きいのでしょうか?

杤尾:
そうですね。現在、500~600人ほどのクリエイターが、クリーク・アンド・リバー社のスタッフとしてテレビ局の中で働いています。

もともとテレビ局の制作現場には、外部の人材が多いんですよ。
昔は――創業者の井川自身もそうでしたが――個人がテレビ局とフリーランス契約をすることも多かったのですが、最近ではコンプライアンスの観点からも、テレビ局側が個人と契約することは少なくなっています。ですので、当社のようなエージェンシーを活用いただくケースが増えています。

―― クリエイティブな能力と経営能力はまったく別ですので、独立して事務所を運営していくのは、多くのクリエイターさんにとっては大変なことなのでしょうね。

杤尾:
本当にそうですね。だからこそプロフェッショナルの方々がご自分の仕事に専念できるようなバックアップをする、そこに当社の存在意義があると思っています。

―― ところで、最近はテレビ局の制作現場でも経費削減傾向があると聞いているのですが、このあたりの影響についてはいかがでしょうか?

杤尾:
確かに、外注費用を抑制する傾向はあります。ですが、テレビ局内で番組を制作するクリエイターは必ず必要となりますので、当社のクリエイターへの需要はむしろ高まっている傾向があります。結果、この分野での当社の売上も堅調に推移しています。

C&Rグループ 業績推移

(出展:2013年2月期第1四半期 「決算説明会資料」

もちろん、良質のクリエイティブ・コンテンツを生み出すという観点においては、制作予算は適正に配分されるべきところではありますので、人件費か外注費か、そのバランスは難しいところではあるのですが。

ただ、ひとつ確実に言えるのは、プロフェッショナルの力はいつの世においても絶対に必要だということです。私たちの業績が着実に伸びてきたのは、プロフェッショナルを育成し、クライアントの価値創造に貢献してきた証だと思っています。

Q2: 御社の強み、他社との違いはどこにあるのでしょうか?

―― クリエイティブ分野のクライアント数が、3,000社というのはすごいですね。これだけのクライアントから選ばれているということは、御社には質の高いクリエイターさんが集まっていると思うのですが、その秘訣は何でしょうか?

杤尾:
ひとつには、仕事の幅広さがあるのでしょうね。
当社はテレビに限らず、映像、広告出版、ゲーム、デジタルなど色々な分野に展開しております。
たとえばゲームの分野では、最近はソーシャルゲームクリエイターの需要が大きく伸びていますし、当社自身も自社開発のゲームを運営しています。広告出版物やWebサイトまで含めればかなり多彩なクライアント、業界とお付き合いしていますので、クリエイターの方々にとっては幅広い経験を積めるのが当社のネットワークに入る際の魅力になっているかと思います。

―― なるほど。他にはどのような魅力が?

杤尾:
教育面の充実もありますね。
セミナーなどのOffJTに加えて、当社が受託した案件を通じたクリエイターの育成(OJT)機会も増えています。

これは、当社のスタジオでベテランクリエイターが初心者クリエイターと一緒に仕事をし、その過程を通じて学んでいただくなどの形ですね。
また、後ほどご説明しますが「ライツマネジメント」という、クリエイターが持っている資産をお金に変えるお手伝いも始めています。これらをひっくるめて当社では「プロフェッショナルの生涯価値向上」と言っているのですが、こういったスタンスでクリエイターと向きあっている会社は、他にはなかなかないと思います。

Q3: 事業領域について

―― 先ほど少しお話がありましたが、クリエイティブ以外にはどのような基準で事業領域(分野)を広げておられるのですか?

杤尾:
医療分野への進出は比較的早かったですね(1997年に子会社を設立)。

きっかけは、阪神大震災です。
震災のあと、代表の井川は自分でカメラを担いで現地に乗り込んだのですが、そこで働いていた医療チームには外国人のお医者様が多い割に日本人が少なくて。疑問に思って調べましたら、日本の医局制度にぶつかりまして。

―― そこになぜ関心をお持ちになったのでしょう?

杤尾:
かつて、日本の映画業界には1つの映画会社で仕事をしたクリエイターは他のところでは仕事はできないという暗黙のルールがありました。
“五社協定”というこの考え方とは正反対に、クリエイターが自由に活動できるようにしたいとの想いで当社を興した井川ですから、まったく同じことが医療業界でも起きているという事実を目の当たりにして、そのままにはできなかったのだと聞いています。

医師であれば誰でも所属できて、このエージェンシーを通じて好きなところに移り、ドクターが自分のやりたいことをできるようにしたい――そんな願いを込めて、この子会社のブランドネームは「民間医局」としました。

―― 会計士や弁護士などにも領域を広げた理由は?

杤尾:
私たちは、

  1. 世界中で活躍できる職種
  2. 機械では決して代わることができない職種
  3. 知的財産が蓄積される職種

この3つの条件に当てはまるプロフェッショナルには当社のエージェンシー・モデル が成り立つと考えています。
リーマン・ショックを経て、弁護士事務所も監査法人等も求人を絞っていますが、一方で一般の企業はプロフェッショナルを必要とするようになっている。このニーズをとらえて、プロフェッショナルの活躍機会を作っていきたいですね。

Q4: 今後の成長戦略

―― 事業領域の広がりについては、理解しました。
業務形態としては「派遣」が多いのでしょうか?
また、今後はどのようになっていきますか?

杤尾:
現時点では売上・利益ともに「エージェンシー(派遣・紹介)」の割合が6割強、続いて当社がプロジェクトごと受託する「プロデュース(請負・アウトソーシング)」が4割弱。残りがライツマネジメント(知的財産)とその他、といった割合ですね。
今後はもう少し「プロデュース」や「ライツマネジメント」の割合を増やしていきたいと考えています。

C&Rグループ 事業割合

―― 「プロデュース」の割合は増えていますか?

杤尾:
はい、徐々に。今期は来年夏公開予定の映画「少年H」(配給:東宝)の制作を受託しました。
先日クランクアップしまして、今は編集に入っています。


―― ライツマネジメントとは具体的にはどのような事業なのでしょうか。

杤尾:
わかりやすく申しますと、クリエイターの方々が持っている資産(権利)をお金に変えるというビジネスです。まだまだ規模は小さいのですが、出版の版権や電子書籍の販売などから始めて、今後はゲームや映像などの作品も扱っていきたいですね。こういうところをちゃんとやっていくからこそクリエイターが一層集まってくる、そういう循環を作っていきたいと思っています。

Q5: 海外戦略は?

―― 現在は韓国と中国に進出されているようですが、海外戦略についてはどのようにお考えでしょうか?

杤尾:
韓国は2001年に会社を設立しまして、韓国のテレビ局に韓国人のクリエイターを派遣するという、日本のクリーク・アンド・リバー社と同じモデルで事業を展開しています。業歴は今年で12年目となり、業績も好調です。

中国は人材ビジネスに関する規制が厳しいため、まずは日本の企業が持っている版権を仕入れて中国に販売したり、日本の商品を専門に扱うチャンネルでのテレビ通販を運営するなど、ライツマネジメント事業から開始しました。
アジア市場は今、消費市場としても大きく伸びつつありますので、中国にかぎらず、日本のクリエイティブ資産をアジア市場でお金に変えるというビジネスには将来性があると見ています。

Q6: 個人投資家の皆様にひとことお願いします。

杤尾:
おかげさまで既存のビジネスが堅調に伸びておりますので、ここに、これまでご説明した新領域や新分野での伸びを重ねることで、力強い成長を遂げていきたいと思っております。

皆様にはC&Rグループの成長に是非ご期待いただけますようお願いいたします。

―― ありがとうございました!