本日のインタビューは、株式会社アミューズ(証券コード:4301)です。
サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティ、Perfume、岸谷五朗、深津絵里、上野樹里、佐藤健など、アミューズ所属のアーティストをよく目にしますが、上場企業として、投資対象として同社を見る機会はあまり多くないのではないでしょうか?

アーティストのマネージメントを行い、かつ上場している会社は、数えるほどしかありません。その1社である株式会社アミューズは、現在の事業環境をどのようにとらえ、今後、どのように成長していこうと考えているのでしょうか。IR担当執行役員の宮腰さんにお話をうかがいました。

株式会社アミューズの全体像は「3分でわかる株式会社アミューズ」をご覧ください。

中編:海外展開 ~ソーシャルメディア時代の新たな可能性~

―― アミューズの成長戦略に掲げている「海外から日本へ」「日本から海外へ」、どちらにより力をいれておられるのですか?

宮腰:
当社としては、当面はやはり日本のアーティストの海外進出により力をいれて行くことになると思います。現在は、アジアを中心に適宜海外拠点を設立し、その国々のビジネスパートナーとの連携を深め、各国に応じたビジネススキームの検討を進めているところです。

―― どのようなビジネスモデルになりそうですか?

宮腰:
正直、まだ手探りです。音楽ビジネスとして一番分かりやすいのはCDなどのパッケージ販売や音楽配信ですが、著作権管理が進んでいない国があったり、物価水準の差もありますので、なかなか難しいです。

ライブの場合は日本よりチケット代が高い場合もあり、パッケージ販売や音楽配信に比べればビジネスになる可能性があります。しかし、日本のように移動距離が少ない中でそれなりの集客施設がある効率的な市場に比べると、海外を移動してライブを行うことはコスト面で課題がありますし、現地でのチケット販売から会場運営等を行うノウハウ等、まだまだ経験を積まなければならないところはたくさんあると思います。

―― 色々難しそうですね…。

宮腰:
ただ、そうは言いましても、新興国を始めとする各国が、今後GDPの成長とともに一世帯当たりの所得や可処分所得が増えていけば、マーケットは飛躍的に広がり、エンターテインメント市場も育っていく可能性が高いとみています。そのように考えれば、今の段階で各国の市場にきちんと入って行くことは重要です。

日本のコンテンツを広めるという形なのか、現地のマーケットに日本のノウハウを持っていってビジネスをするという形なのか、それとも現地のアーティストを日本やアジア各国に売り込むのか――色々なやり方があり得ますが、国境を超えたビジネス自体はこれからどんどん広がっていきますから、引き続き注力していきたいですね。

―― 海外での事業展開はアジアが中心になるのですか?

宮腰:
リスクを抑えるという意味で、基本的には日本との行き来や拠点展開の容易性、親日的なカルチャーなどを鑑みて、台湾、香港、タイ、インドネシア、シンガポールなどを優先的に考えています。実際、台湾や香港での活動機会は最近、特に多くなりました。

一方で、PerfumeBABYMETALONE OK ROCKなど、欧米で通用する可能性があるアーティストも出て来ました。特にPerfumeやBABYMETALの場合、ソーシャルメディアで人気に火が付いているのが特徴ですね。また、彼女達のYouTube公式チャンネルでコメントや反応を見てみたら、米国や欧州でも人気があるということが見えてきましたので、実際に現地でライブを開催しました。BABYMETALはまさにそんな形で活動範囲が広がっています。

―― 日本にいながらにして世界のマーケットの様子がわかるのは便利ですね。

宮腰:
少し前まで、海外マーケットは行ってみなければ分からない、あるいはパッケージの売り上げでマーケット規模を測っていたところがあったのですが、今は最初から音楽をパッケージで買って聴く事は減ってきていると思います。
また、有料でダウンロードしようとする人も、まずYouTubeをみる。そこではアーティストのビジュアルや、楽曲もある程度分かりますし、再生回数や「いいね!」の数を見ればどのぐらい人気があるかもユーザー側にわかるわけです。

YouTubeやFacebookなどのソーシャルメディアで、もうひとつすごいのは、その拡散性です。
特定のユーザーの好きな動画が、その人の友達やフォロワーに広がっていくという拡散性は、特にPerfumeやBABYMETALのようなダンスユニットとしてのビジュアル性がある音楽にすごく合っているのだろうと思います。

―― 海外と言えば、今年、米国に連結子会社を設立されたと聞きましたが。

宮腰:
はい。リアルなアーティストとアーティストに依存しないビジネス、両方の拠点としてカリフォルニアにAmuse Group USA,Inc.を設立しました。

前者に関しては、Perfume、ONE OK ROCK、BABYMETALなどの活動の場が欧米で広がっていますので、その拠点としての機能を、後者は米国での出資案件等に対応する意味合いがあります。

―― 米国での出資案件とはどのようなものですか?

宮腰:
実はアミューズは、ブロードウェイミュージカルやテレビドラマにも投資しています。所属アーティストとはまったく関係ない形で、自分たちで作ったコンテンツではなく他者が作ったコンテンツに投資する事により、将来的に日本や東南アジアでの興行権も目指していくというスキームです。

興行権についてはまだ具体的になっているケースはありませんが、賞を頂いている作品への投資もできるようになってきました。

 

後編「新たなビジネスモデルへの挑戦」へ続く