株式会社アミューズ(証券コード:4301)のIR担当執行役員である宮腰さんをお迎えしてのインタビュー、第3回目は所属アーティストの現状と今後を見据えた育成についてお話をうかがいます。

有価証券報告書によれば、アミューズの特徴のひとつは、主要アーティストの在籍期間が長いことなのだとか(例:サザンオールスターズ35年間、富田靖子30年間、三宅裕司28年間、福山雅治25年間)。
こうした大物アーティストの存在は、現在の経営にとっては大きな安定要因となりますが、持続的な成長という面からみれば、次代を担うアーティストの育成も不可欠です。今回のインタビューでは、このあたりの課題についてお聞きしてみました。

第3回:所属アーティストとポートフォリオ

―― アミューズを代表する大物アーティストの存在は御社の大きな強みですが、一方、今後長期にわたって持続的成長を遂げるためには、次代の「柱」となるアーティストの育成も急務と思います。現状について教えていただけますか?

宮腰:
ご存じの通り、サザン、福山、ポルノグラフィティ等の音楽系アーティストは、ひとつのツアーや作品の規模が大きく、アミューズの業績に与える影響も、非常に大きくなります。その結果、今でも単年度業績で見ますと上位アーティストに依存する比率は高いと言えます。

ただ、最近では上位アーティストの次の層が厚くなって来ました。年度によっては、PerfumeONE OK ROCK(ワンオクロック)やflumpool(フランプール)といった新しい世代の音楽のアーティストが続く、といった形でポートフォリオが充実してきました。
結果、上位アーティストが大きなイベントを開催しない年であっても、若手のアーティストがその分をカバーして余りある状況も見られるようになっています。

(音楽系アーティストだけでなく)役者も上位に何人も入るようになってきています。
第1回インタビューでもお話しましたように、舞台やイベントを開催したり、CM・番組出演が増加することによって、アミューズの売上・利益のボトムラインがだんだん切り上がりつつ安定してきたというのがここ数年の状況で、そこがおそらく、この7~8年でアミューズが昔と大きく変わってきたところなのではと考えています。

アミューズの所属アーティスト一覧はこちらからご覧いただけます

 

―― その下の世代については、どのような形で育成しているのですか?

宮腰:
もちろんそこは多種多様ではありますが、最近の動きで言いますと、「キッズ事業室」で育った子が増えていますね。
キッズ事業室に所属している子供達はCMに出たりドラマに子役として出演したりといった活動はもちろん、彼らだけでお芝居を作ったり、ユニットを作ったりしての活動もしています。

そのユニットのひとつに、「さくら学院」があります。こちらは彼女たちが学校生活とクラブ活動をテーマに色々な分野で個性を表現していく「成長期限定!!」ユニットなのですが、ここからは、BABYMETAL三吉彩花松井愛莉、そして今年4月にデビューする武藤彩未などが出ています。

中でも、BABYMETALはアミューズらしい形で出てきた事例だと思います。
さくら学院は、部活のような形で派生ユニットをたくさんつくっているのですが、その中のひとつ、「重音部」から生まれたのがBABYMETALです。3人組のメタルダンスユニットで、「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成され、今年3月に単独武道館ライブを開催しました。また、海外での人気も高く、近々、ヨーロッパでイベントを行う予定もあり、様々な展開が期待されています。

BABYMETAL

©AMUSE

―― バンドと言えば、私の世代にとってはなつかしい「三宅裕司のいかすバンド天国(通称:イカ天)」もアミューズさんでしたよね。

宮腰:
そうですね。アミューズは昔からライブに力を入れてきておりますので、日本各地の色々なイベンターやライブハウスとお付き合いがあり、「ウチのライブハウスに良いアーティストがいるよ、是非聴きに来てみて」といった情報を頂けます。音楽系のアーティストは、こうした中から育ってくるケースが多いですね。

―― ところで第2回インタビューの最後に「アーティストの育成」というお話がありましたが、それこそ「ベストテン」に出演できるかどうかがモノサシであった時代に比べると、今はアーティストの活躍の場や方向性が非常に多様化しているように感じます。
それだけに育成も難しいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

宮腰:
それはその通りですね。だからこそ、昔アーティストを“当てた”マネージャーが次にもう一回、同じようなアーティストを当てられるかというと、これはかなり難しいと思いますし、逆に言えば、まさにそこがアミューズの強みのひとつになり得る部分だと思うのです。

アミューズにはサザンもいれば、Perfumeもいる。福山のように音楽も役者もやっているアーティストもいる。役者においても、それぞれキャラクターが全然違う。そういった色々な事例があり、アミューズという会社自体が持っているノウハウの蓄積や、音楽と役者それぞれの業界における人脈などを活用することで、おそらく“当てられる”確率をそれなりに持ったかたちでアーティストを育てることができるのではないかな、とは自負していますね。

第4回「音楽ビジネスの稼ぎ方を変えなければならない」へ続く