株式会社アミューズ(証券コード:4301)のIR担当執行役員である宮腰さんをお迎えしてのインタビュー、第2回目はDVD関連の事業を中心にお話をうかがいます。

音楽CD同様に映画・TVドラマのDVD販売も厳しい事業環境にありますが、アミューズにおいてはこの事業はどのような役割を担っているのでしょうか?

第2回:メディアビジュアル事業とは?

―― 連結売上と営業利益の推移(図表2-1)を見ますと、近年、営業利益率が上昇傾向にあるように見えます。この理由は何ですか?

図表2-1:連結売上・営業利益の推移

(クリックして画像を拡大 :平成25年3月期決算説明会 P3より引用)

宮腰:
「メディアビジュアル事業」―事業環境の厳しいDVD販売が売上の8割以上を占めるセグメント―の構成比率がさがる一方、事業環境が良く相対的に利益率の高いアーティストマネージメント事業の構成比が上がっているのが大きな要因です。

図表2-2:セグメント別営業収入・構成比

(クリックして画像を拡大 :決算説明会資料数値より編集室にて作成)

当社が過去最高の売上を計上したのは、H21/3期のことでした。これは当社の30周年であり、サザンオールスターズが無期限活動休止を発表し久しぶりのライブを行った年でもありました。
このH21/3期の売上高は、約320億円、営業利益が約32億円。売上高のうち、アーティストマネージメント事業は約175億円、売上高が2番目に大きいセグメントであるメディアビジュアル事業が約120億円でした。

一方、その4年後であるH25/3期の売上は、アーティストマネージメント事業が約240億円、メディアビジュアル事業が約45億円となっています。両事業の売上を合計した金額はそれほど変わっていないように見えますが、内訳は大きく変化しているのです。
事業構成比が変わることで、利益率は向上し、かつ安定的に利益を計上できるようになってきた、というのが最近の大きな変化です。

図表2-3:メディアビジュアル事業の業績

(クリックして画像を拡大 :平成25年3月期決算説明会 P7より引用)

―― DVD販売もCD販売同様に厳しい市場なのですか?

宮腰:
DVDのマーケットはCDと同様、非常に厳しい状況にあります。
図表2-4をご覧ください。黄色がVHS、オレンジがDVD、青がブルーレイなのですが、2003~2004年頃をピークに市場規模が縮小しています。

図表2-4:映像事業市場の推移

株式会社アミューズ ホームページ「市場の動向」 より引用)

―― 確かにそうですね。それにしても減少幅が大きいように見えるのですが、これにはどのような要因があるのでしょうか。

宮腰:
視聴形態の変化はよく言われる要因のひとつですね。
テレビの有料放送では映画専門のチャンネルがありますし、ハードディスクレコーダーの登場で気軽に録画できるようになったので、わざわざDVDを買ったり借りたりして映画を観る機会が減っていると思われます。あるいは、まだ大きな影響は出ていませんが、オンデマンドの映像配信ビジネスも出てきています。こうしたサービスが出てきますと、パッケージビジネスは厳しくなってきます。

また、映画というものは1度観た後、10回20回と繰り返して…というものは少ないですよね。音楽と違って映画を観ながら歩くことはできませんし。となると、映像をパッケージで所有するということは、コレクターズアイテムとして所有したり、それなりモチベーションが必要に思われます。

―― 2000年代後半からの市場規模減少を受けて、御社はどのような戦略をとってこられたのですか?

宮腰:
先ほどお話しましたように、H21/3期の時点ではメディアビジュアル事業の売上規模は120億円ありました。ですが、実はセグメント利益はマイナスでした。そこで、翌年のH22/3月期に事業構造改革を行いまして、子会社のアミューズソフトを非常にコンパクトな形にいたしました。
事業方針も、売り上げを作るということではなく、当社として必要な作品、やりたい作品、ヒット確率が高そうなものを丁寧にやっていきましょう、という方向へ転換をしています。

この事業構造改革の結果、H22/3期には創業以来初となる純損失(約8億8千万円)を計上しましたが、その後メディアビジュアル事業自体は、売上が80億→70億→55億→45億円と低下する中でも、利益の方は今のところ、ある程度安定した形で推移させることができるようになってきています。

―― 利益率が低い事業はグループから切り離すのもひとつの手段かと思いますが、それはお考えにならなかったのですか?

宮腰:
今後、環境を踏まえながらさらに調整局面を迎えることはあると思いますが、機能の観点では引き続き保持していきたいと考えています。

先ほどお話しましたように、自社のアーティストが生み出したコンテンツを出来るだけ当社グループの中で内製化することは、収益基盤を多様化・強化する意味で重要なのです。
音楽DVDは、DVDの中でも成長している分野ですが、たとえば、当社所属のアーティストがライブDVDを出すとします。レーベル機能・流通機能を持たないマネージメント会社であれば、レコード会社から発売することになりますが、当社の場合アミューズソフトエンタテインメントがありますので、パッケージビジネス全体を取り込むこともできるのです。

もうひとつの理由は、所属アーティストの育成です。
映画の場合も、当社所属アーティストが出演している作品に出資し、DVD化の権利を得る事により、アーティストにまつわる収益源を、出演料だけでなく、映画の興行収入・DVDビジネスと多様化できます。同時に映画やDVD宣伝の為のアーティスト稼働もしやすくなり成功確率を上げられます。逆に出演者等が決まっていない映画に出資する場合は、キャスティングやタイアップに関して交渉する機会を得る事が可能になり、アーティストの出演のチャンスを広げる事も出来ます。
いずれの場合も収益源の多様化・強化という意味合い以外に、アーティストの育成・キャリア形成のチャンスにつながっているのです。

―― アーティストを育成する上で、選択肢がより多くなるのですね。

宮腰:
まさにそういうことです。CDやDVDを自前で出せる機能を持っているマネージメント会社は業界内でも限られていますがアミューズはその中のひとつです。

第3回「所属アーティストとポートフォリオ」へ続く