ラクーン Research Memo(8):CORECは順調に会員数拡大、課金開始で早期収益化の可能性も

公開日: : 注目トピックス 日本株

■新規事業の概要

ラクーン<3031>は新規事業として、BtoBのクラウド受発注ツール「COREC」と、子会社T&Gによる「事業用家賃保証サービス」という2つの事業を開始している。2015年4月期はまだ収益への貢献は見込んでいないものの、いずれも収益基盤の拡充を図るうえでの有望事業として今後の展開が注目される。以下、各事業の概要について紹介する。

(1)クラウド受発注ツール「COREC」

2014年3月下旬に開始した「COREC」とは、BtoBにおける受発注を、Web上で一元管理するクラウド型の受発注ツールのことである。受発注処理のコスト削減、効率化を目的として開発された。現状、7割以上の企業が受発注の手段として、FAXやメールなど複数の形態を取引先ごとに使い分けながら行っており、非常に煩雑な作業となっている。こうした課題を解決したものが「COREC」のサービスとなる。

図のとおり、バイヤー側から見ると、従来は取引先ごとにFAXやメールなど異なる手段で発注作業を行っていたものが、「COREC」を使うことで全ての発注処理をWeb上で行うことが可能となり、取引先ごとに予め設定された手段(FAX、メールなど)で発注書が送信されることになる。このため、取引先が「COREC」の会員でなくても発注書が従来どおり届くことになる。なお、この仕組みに関して同社はビジネスモデル特許を申請中である。

一方、サプライヤー側は「COREC」を使って受注用フォームを作成し、同フォームを取引先にメールで送信して使ってもらう。取引先ごとにバラバラだった受注フォームが「COREC」で作成したフォームに統一されることで、社内での受注管理業務が簡素化されるというメリットを得られる。また、新商品の案内メールも同ツールを用いて行うことが可能となる。

「COREC」のもう1つの特徴は、会員が自己増殖的に増える仕掛けを作ったことにある。具体的には、会員であるバイヤー側からの発注書には「COREC」の広告がついており、非会員の取引先に「COREC」のサービス認知が進むほか、会員サプライヤー側からバイヤーに送信する受注フォームにも「COREC」の広告がついており、同様に認知度が向上する仕組みとなっている。このため、広告費を大きくかける必要もなく、自己増殖的に会員が拡大していくことが期待できる。

実際、2014年3月17日のサービス開始以降、4月末時点で会員数は384社だったが、5月下旬には500社、6月下旬には600社と順調に会員数の拡大が続いている。業種もアパレル・雑貨メーカーから自動車部品、食品メーカー、サービス業に至るまで多岐に渡っており、「スーパーデリバリー」の会員企業は少ないと言う。また、現時点ではバイヤーとサプライヤーの比率は6:4の比率となっている。

現在は無料サービス期間中だが、利用者からの評価もおおむね好評のようで、9月以降は一定機能以上のサービスを有料プランとして課金していく計画となっている。バイヤー向けには月額980円、サプライヤー向けには月額9,800円を予定しているが(表参照)、今後もユーザーニーズを汲み上げながら、利便性の向上につながる様々な新機能を追加していく予定となっている。

同事業は営業経費もほとんどかからないビジネスモデルであるため、会員数が拡大すれば、収益性の高い事業に育っていく可能性がある。現時点での固定費は年間4百万円程度とみられ、有料会員がバイヤーだけで400社程度集まれば損益分岐点に到達することになる。このため、比較的早期に収益化する可能性も十分考えられ、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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